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自己免疫性自律神経節障害  Autoimmune autonomic ganglionopathy 中根 俊成, 安東 由喜雄 Vol. 34
                   
                   
                    (2017)
                   
                   
                    No. 6
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S153&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録マラソンレクチャー11自己免疫性自律神経節障害 Autoimmune autonomic">
ganglionopathy1熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学,2熊本大学大学院生命科学研究部アジア神経難病研究・診療寄附講座 なかね しゅんや中根 俊成1,2,安東由喜雄1従来,一次性自律神経性ニューロパチーとして分類されてきた急性汎自律神経異常症(acute pandysautonomia, APD)はギラン・バレー症候群と類似した病態機序が推測されてきた.しかし1998年に自律神経節におけるアセチルコリン受容体(ganglionicacetylcholine receptor, gAChR)と結合する自己抗体をAPD患者血清中に検出することを報告したことにより,2000年以降は自己免疫性自律神経節障害(autoimmune autonomic ganglionopathy, AAG)という名称が用いられるようになった.AAGは「gAChRに対する自己抗体の存在を認める自律神経ニューロパチー」である.これまでAPDと呼称されていたこともあって経過については急性のイメージがある.しかし抗gAChR抗体陽性AAG症例では急性・亜急性と慢性の経過両方が存在する.本邦における抗gAChR抗体陽性AAG症例で頻度の高い自律神経障害としては消化管障害(特に便秘),起立性低血圧・起立不耐,排尿障害(特に尿閉),発汗障害,が挙げられる.これら広範な自律神経障害をきたす症例もあればごく部分的な自律神経障害しかきたさない症例もある.また精神症状(情動不安定,言動の幼児化など),感覚障害や内分泌障害(SIADH,無月経など)などの自律神経系外症状を呈する症例,悪性腫瘍や膠原病の併存を認める症例など多彩な臨床像を呈する可能性をわれわれは報告している.AAGの治療に関するエビデンスの確立は今後の課題である.これまでには免疫療法の有効性が報告されているが,それは症例報告レベルのものが多い.免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)や単純血漿交換の効果は報告され,また寛解維持のために副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤などの投与がなされ,有効であったことが報告されている.本邦における抗体陽性AAG症例に対してはまず血液浄化治療,IVIg,ステロイドパルスのいずれかによって免疫治療が導入され(first?line治療),その後は経口プレドニゾロン(PSL)の内服を開始,減量されているケースが多い(second?line治療).first?line治療の効果を保持するために経口PSLや免疫抑制薬の継続投与を計画し,このような「複合的免疫治療」の導入が推奨される.◆略歴平成 6年3月 香川大学医学部医学科卒業平成 6年4月 長崎大学医学部附属病院 第一内科平成13年7月 米国メイヨー・クリニック 神経内科・免疫学平成16年8月 徳島大学病院 神経内科平成20年4月 長崎川棚医療センター 神経内科・臨床研究部平成27年4月 熊本大学大学院 神経内科学分野平成29年4月 (現職)神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S153
よくみる自律神経症候:失神・めまい・たちくらみ 朝比奈 正人 Vol. 34
                   
                   
                    (2017)
                   
                   
                    No. 6
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S163&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録メディカルスタッフレクチャー3よくみる自律神経症候:失神・めまい・たちくらみあさひな まさと1神経内科津田沼,2医療法人同和会神経研究所 朝比奈正人1,2自律神経はあらゆる臓器を調節しているので,自律神経機能の異常は多種多様な症状を引き起こします.例えば膀胱を支配する自律神経が障害されると頻尿や尿失禁がみられますし,大腸を支配する自律神経が障害されると便秘が起こります.今回,お話しする失神,めまい,たちくらみといった症状は血圧を調節する自律神経の障害でみられます.自律神経には交感神経と副交感神経があり,血圧の調節に特に重要なのは交感神経です.交感神経の機能が亢進すると高血圧になりますが,これは循環器内科医の専門領域です.一方,交感神経機能低下は神経疾患でよくみられ,主に神経内科医が担当します.交感神経の機能が低下している自律神経不全患者では,立ちあがると血圧が下がり,これを起立性低血圧と呼びます.血圧が下がると,一番高いところに位置する脳に血液が充分届かず,脳の機能が低下し,気が遠くなるようなめまい感,たちくらみが生じます.さらに血圧が下がると,意識がなくなり失神します.起立性低血圧は加齢,心疾患,脱水,長期臥床,薬の副作用など自律神経不全以外の原因でも起こります.このため神経疾患以外の患者においても起立性低血圧の頻度は高く,起立性低血圧に関する知識は診療領域に関わらず医療業務において重要といえます.一方,起立性低血圧以外でも失神は起こります.その代表的な疾患が血管迷走神経性失神で,最も頻度の高い失神の原因です.若い女性に多く,長時間の起立,精神的緊張・恐怖,痛みなどで誘発され,子供が朝礼で気分が悪くなるのも多くはこれが原因です.医療スタッフが失神を経験すことも少なくありません.例えば,緊張感を伴い,じっと動かずに立っている必要のある手術室の器械出しなどは血管迷走神経性失神を誘発しやすい業務と言えます.血管迷走性失神に関する知識はメディカルスタッフが日常業務を遂行する上でも役立つでしょう.本講演では日常的に遭遇することの多い失神・めまい・たちくらみの病態とそのマネージメントについて解説します.◆略歴1987年 千葉大学医学部 神経内科 入局1995年 成田赤十字病院 神経内科 副部長1997年 千葉大学医学部 神経内科 助手2002年 英国ロンドン大学 神経研究所(Queen Square)客員研究員2003年 千葉大学神経内科 助手 復職2004年 千葉大学医学研究院 神経内科学 講師2012年 千葉大学医学研究院 神経内科学 准教授2014年 千葉大学医学研究院 総合医科学 特任教授2016年 神経内科津田沼 所長,医療法人同和会理事慶應義塾大学 論理と感性のグローバルセンター 共同研究員 兼任神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S163
子宮頸がんワクチンに関連した自己免疫脳症 嶋 博, 荒田 仁, 東 桂子, 松浦 英治 Vol. 34
                   
                   
                    (2017)
                   
                   
                    No. 6
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S136&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録シンポジウム10 脳炎・脳症・脊髄症の新たな展開?3子宮頸がんワクチンに関連した自己免疫脳症たかしま ひろし鹿児島大学医学部神経内科 嶋  博,荒田  仁,東  桂子,松浦 英治子宮頸癌ワクチン接種後に体中の痛みや自律神経症状,運動障害,精神症状,記憶学習障害などの多彩な神経症状が出現する例が有ることが知られている.本症は,我々の検討では自己免疫脳症と自律神経障害により引き起こされているのは間違いないが,その他の自己免疫脳症と同様に,その多彩で神経解剖学的につじつまの合わない症状から身体表現性障害と誤診されてしまうことも多い.そのため,今回,本疾患に特徴的な臨床症状,検査所見を提示し,その分析を加え,その症状がなぜ起こるのかを理解しやすい形で提示することにトライしたい.また,当院では免疫療法により多数の患者の治療に成功しており,有効な治療法についてもお示しする.具体的には,2012年〜2016年に当院を受診した子宮頸癌ワクチン接種後にワクチンに関連すると思われる神経症状を発症した患者38 例を対象に臨床症状,各種抗体の出現の有無,画像検査,高次機能検査,皮膚生検での表皮内神経線維密度,治療効果などについて検討した.その結果,85%の患者で頭部,四肢体幹の非特異的な疼痛を認め,その他,記憶障害,不隠などの高次機能障害や精神症状,起立性低血圧,pots,発汗障害などの自律神経症状,振戦や脱力などの運動障害を認めた.約半数に抗ガングリオシド抗体または抗gAChR抗体が陽性であった.皮膚生検では表皮内神経線維密度の低下を認め,SPECTでは高率に脳に多発性の血流低下部位を認めた.治療はステロイド治療,免疫吸着療法,免疫抑制剤投与を行ったが,免疫吸着療法は有効なことが多く,著効例もみられた.子宮頚癌ワクチン接種後神経障害は器質性中枢神経障害と末梢での自律神経障害の組み合わせで発症している新しい病態である.◆略歴1990年 鹿児島大学医学部 卒業 同鹿児島大学 第3内科入局1992年 国立療養所沖縄病院採用2000年 ベイラー医科大学(米国)留学 Post?doctoral fellow 分子人類遺伝学2005年 鹿児島大学医学部 神経病学講座 神経内科・老年病学 助教2010年 鹿児島大学医学部 神経病学講座 神経内科・老年病学 教授神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S136
自律神経障害はこう診断し治療する 朝比奈 正人 Vol. 33
                   
                   
                    (2016)
                   
                   
                    No. 3
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=3&kijiCd=33_368&screenID=AF06S010 自律神経障害の診断と治療●特集/マラソンレクチャー18自律神経障害はこう診断し治療する*朝比奈正人**Key Words:autonomic nervous system disease, diagnosis, disease management, therapeutics(神経治療 33:368?372,2016)はじめに Table 1 Differentiation between vasovagal syncope and carotid自律神経はあらゆる臓器を支配しており,その障害により sinus syndrome生じる症候は多彩である.臨床で問題となる自律神経症候と Carotid sinusVasovagal syncopeしては,失神などの血圧調節障害,頻尿や尿失禁など排尿障 syndrome害,便秘などの消化器症状,発汗過多などの発汗異常などが more frequently un- more frequently overOnset ageder 40 years old 60 years oldある.日常臨床で遭遇する機会が多いこれらの症候の診断・評価・治療は臨床医にとって大きな問題である.しかし,自 more frequently in more frequently inSexwomen men律神経症候は各診療科の境界域に存在するものが多く,系統的な講義や研修を受ける機会に恵まれない現実がある.本稿 sympathetic activa- extension or oppres-Trigertion sion of carotid sinusでは,プライマリ・ケアや神経内科の日常診療で遭遇するこpast history of recur-との多い自律神経障害の診断と治療について概説する. risk factors for arte-Risk factor rent syncope/presyn-rial sclerosisI .血圧調節障害 cope in childhoodusually negative re-血圧調節障害の代表的症候である失神は,「一過性の意識 Head?up tilt test low sensitivity sults消失発作により姿勢の保持ができなくなり,自然かつ完全に意識の回復がみられるもの」と定義され,その病態生理は「脳全体の一過性低灌流」である1).患者はくずれるように倒 脈が生じ,血圧が低下し,意識を失う.血管迷走神経性失神れ,てんかん発作のように勢いよく転倒して外傷を負うこと の初発年齢は40歳以前のことが多い(Table 1).診断のたは少ない.失神の発作時間は短く2),倒れるとともに速やか めの検査としてhead?up tilt試験が汎用されるが,その感度に意識が回復するが,鑑別となるてんかん発作では発作後も は低い5).臨床では問診と診察のみで診断せざるをえないこ意識の減損がしばらく残存することが多い.血清CK値は, とが多く,失神前の状況,失神発作の特徴,失神後の状態な全身けいれんを伴うてんかん発作では高いことが多いが,失 どの詳細な情報を得ることが診断に重要である.神では正常である.しばしば失神患者は一過性脳虚血発作と 頚動脈洞症候群(頚動脈洞性失神)は,振り向く,仰ぎみ誤診されるが,一過性脳虚血発作では巣症状を伴わない意 るなどの頸部を伸展・捻転する動作や,高い襟,ネクタイ,識障害は稀で,倒れることで症状が速やかに回復することも ひげそりなどにより頚動脈洞が圧迫された際などに誘発されない. る失神である.男性に多く,初発年齢は60歳以上のことが最もよくみる失神は血管迷走神経性失神である3).長時間 多い(Table 1).古典的には動脈硬化との関連が指摘されての起立などにより交感神経活動が亢進した状態が続くと おり,頚動脈洞壁が伸展されることで壁内に存在する圧受容Bezold?Jarisch反射4)が誘発されて末梢抵抗血管の拡張と徐 器が過剰に刺激され,圧受容器反射が働き,徐脈と血圧低下* Diagnosis and management of autonomic disorders.** 千葉大学大学院医学研究院総合医科学,現:医療法人同和会神経内科津田沼・神経研究所 Masato ASAHINA : Department of General Medical Science,Chiba University Graduate School of Medicine ; Neurology Clinic Tsudanuma and Institute of Neurologyhttp://doi.org/10.15082/ jsnt.33.3_368神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)368自律神経障害の診断と治療Fig. 1 Neck rotation and flection testfor identifying carotid sinus syndrome.が起きるのが病態と考えられていた.しかし,最近では加齢 起立性低血圧は3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上またに伴う延髄の自律神経経路の障害が原因との指摘がある6). は拡張期血圧が10mmHg以上低下する状態と定義される8).診断は,問診で発作の誘因を特定することが大切で,head? 血管迷走神経性失神と異なり,血圧は起立直後から低下し始up tilt時に頚部伸展・捻転により誘発される徐脈と血圧低下 める.起立性低血圧の原因は自律神経不全に伴う神経原を確認することで診断できる(Fig. 1). 性のものと脱水などの非神経原性のものに分類される当然のことながら見落としてはいけない失神はAdams? (Table 2).起立性低血圧の症状としては,失神などの意識Stokes症候群や肺塞栓など生命にかかわる失神である.これ 低下,眼前暗黒感,眼前白濁,視野狭窄などの視覚症状,倦ら心肺疾患に伴う失神は立位時以外にも起こることがあり, 怠感・易疲労性,呼吸苦,コートハンガー痛(後頚部から肩発作時間は神経調節性失神よりも長いことが多く,労作で誘 にかけての痛み),腰痛などがあるが,高齢者や認知症患者発されやすい.不整脈,心肺疾患の病歴聴取,一般身体の診 では自覚症状のないことも少なくなく,原因不明の転倒とし察は重要であり,疑われた場合は心電図や胸部単純写真など て見過ごされることがある.重度の慢性自律神経不全症患者の施行を考慮する. では,脳虚血を軽減するために立位時に頭を下げる姿勢をと神経調節性失神の治療としては生活指導が大切である.発 ることや,下腿への血液貯留を軽減するために椅子に座った作の誘因や悪化要因である暑熱環境,脱水,飲酒,炭水化物 際に脚を組むことがあり,著者はそれぞれdropped?headの大量摂取などを回避するように指導する.頚動脈洞症候群 sign,crossed?leg signと呼んでいる.血管迷走神経性失神では,頚動脈洞を伸展させる姿勢や頚部の圧迫などを避けれ と異なり,head?up tilt試験での起立性低血圧の再現性は高ば発作は抑制できる.失神は一般に脱水傾向にある午前中に く,検査を行えば診断は容易である.発作を起こしやすいので,毎朝コップ2杯の水を飲んでもら 食事性(食後)低血圧は,自律神経不全症患者や高齢者でう.基礎血圧が低い場合は,充分な水分摂取に加えて塩分の みられる食後に血圧が低下する現象であり,基礎血圧の低下摂取を勧める.気分が悪くなったら直ちに躑踞姿勢をとり, に伴い起立性低血圧も悪化する.炭水化物・糖質の摂取で誘頭を下げるように指導する.薬物治療としてはα1受容体作 発され,脱水傾向にある午前中に顕著であることが多い.診動薬などの血管収縮作用をもつ薬物や循環血液量を増加させ 断には24時間血圧測定や食事負荷試験(臥位の血圧を食前るfludrocortisoneなどが用いられる.血管迷走神経性失神で 後で経時的に測定)が有用である.は失神に先行する交感神経活動の亢進が失神の誘因となるこ 脱水や食事などの影響がない状態では自律神経不全患者のとからβ遮断薬が予防に用いられることがあるが,十分なエ 血圧は臥位でむしろ高くなり,臥位高血圧と呼ばれ,夜間就ビデンスはなく,著者は積極的に用いてはいない.血管迷走 寝時にみられるものは夜間高血圧とも呼ばれる.起立性低血神経性失神では背景にある精神的な問題が交感神経活動の亢 圧に対する代償性の昇圧ホルモンの分泌増加や昇圧薬などの進に関与していることがあり,その場合は精神科的治療で改 治療が原因と考えられている.臥位・夜間高血圧は心肥大,善がみられることがある.血管迷走神経性失神や頚動脈洞症 脳出血,細動脈の動脈硬化などの危険因子となる.候群では発作時にみられる徐脈に対してペースメーカーが用 起立性低血圧,食事性低血圧のある患者では,暑熱環境,いられる場合があるが,血管迷走神経性失神の場合は通常の 飲酒,脱水,炭水化物・糖質の多量摂取などの悪化要因を回設定レートでは血管拡張による血圧低下を予防するのは難し 避することが大切である.下腿筋の筋力訓練も起立性低血圧く,100/分以上のレートに設定する必要があるとの指摘もあ の軽減に有用とされる.食事性低血圧は炭水化物・糖質の摂る7).しかし,失神患者に対するペースメーカー植込は日本 取量・摂取速度に依存するので,時間をかけて食事をとり,では一般的ではないかもしれない. 少量を頻回に摂取するなどの対策をとる.食事性低血圧が顕神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)369自律神経障害の診断と治療Table 2 Causes of orthostatic hypotension1. Autonomic failure (neurogenic)Degenerative diseases (primary autonomic failure)Multiple system atrophyLewy body diseases (Parkinson's disease, dementia with Lewy bodies, pure autonomic failure)Autoimmune diseases (acute/subacute dysautonomias)Autoimmune autonomic ganglionopathy (pure pan?dysautonomia)Acute autonomic and sensory neuropath, etc.HereditaryHereditary sensory and autonomic neuropathiesFamilial amyloid neuropathyDopamine?beta?hydroxylase deficiency, etc.Secondary autonomic failureDiabetic autonomic neuropathyParaneoplastic autonomic neuropathySpinal cord injury, etc.2. Non?neurogenicDrug?induced or toxic disordersDrugs : antihypertensive, diuretic, nitrate, psychotropic, antiparkinsonian, etc.alcoholDecreased cardiac outputCardiovascular diseasesHypovolemia (dehydration, blood loss, etc.)Endocrine diseasesAddison disease, diabetes insipidus, pheochromocytoma, etc.Disusebedridden, space travel, etc.著になりやすい朝の食事の炭水化物量を減らし,不足分は夕 眠前に短時間作用型の降圧薬を投与することを考慮するが,食に摂取し,飲酒などの悪化要因を避ける.食後にカフェイ 起立性低血圧の悪化に注意する.食事性低血圧の治療薬としンを摂取するとよいという報告もある9).夜間・臥位高血圧 ては糖質の吸収を遅らせるα?glucosidase阻害薬が有効であを伴う患者では就寝中に頭部を挙上するとよい.これにより る10).副作用として腹部膨満などの消化器症状の頻度は高い高血圧が軽減するとともに,昇圧ホルモンが賦活されること が,他の糖尿病治療薬の併用がなければ通常は低血糖を起こで起立性低血圧の改善にもつながる. さない.食事性低血圧に対して昇圧薬を用いる場合は食前に自律神経不全患者における典型的な血圧の日内変動を 服用させる.以上のように起立性低血圧,食事性低血圧,夜Fig. 2に示す.食事性低血圧や起立性低血圧は脱水傾向にあ 間・臥位高血圧を総合的にとらえて治療計画をたてる必要がる午前中に目立つが,夕方以降は軽度であることが多い.一 ある.方,臥位高血圧により夜間の血圧は上昇する.この血圧変動II .排尿障害11)パターンを意識して服薬時間を決めるとよい.起立性低血圧の薬物治療としては,本邦ではameziniumやmidodrineを 神経因性の排尿障害は尿路感染により神経疾患の生命予後第一選択とすることが多い.これらを用いる場合は夜間に作 を左右するだけでなく,生活の質(quality of life:QOL)に用が残存して夜間高血圧が悪化しないように朝一回の投与か も大きな影響を与える.排尿障害の診断には問診が重要で,ら開始するのが安全である.起立性低血圧に対して:fludro- 蓄尿障害(尿意切迫感,頻尿,夜間尿,切迫性尿失禁)と排cortisoneは最も有効な治療薬であるが,電解質異常,夜間 出障害(排尿開始遅延,排尿時間延長,残尿感,尿閉,溢流高血圧の悪化などが問題となる.昇圧薬の服薬時間を統制し 性尿失禁)に分けて問診するとよい.最近は国際禁制学会がても夜間の収縮期血圧が200mmHgを超えるような場合は, 「尿意切迫感を必須とした症状症候群であり,通常は頻尿と夜神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)370自律神経障害の診断と治療Fig. 2 Typical daily fluctuation of bloodpressure in a patient with chronic auto-nomic failure間頻尿を伴う」と定義した過活動膀胱という概念も用いられ 悪化させる危険がある.コリン受容体作動薬やコリンエステていて,これは問診だけで診断・治療ができる利点がある. ラーゼ阻害薬も古くから排出障害に使用されているが,エビ神経疾患における蓄尿障害の主な病態は,排尿筋過活動 デンスに乏しく,著者は積極的には使用してはいない.(膀胱排尿筋の不随意収縮)である.夜間排尿による睡眠のIII .発 汗 異 常中断が問題となることが多く,夕食後は水分摂取を控えるように指導する.しかし,自律神経不全症の患者では脱水にな 発汗異常には発汗亢進と発汗低下(無汗・低汗)がある.ると起立性低血圧が悪化し,夜間起床時に失神・転倒する可 問診だけで発汗低下を診断するのはしばしば困難で,温熱発能性がある.蓄尿障害の治療薬としては,平滑筋に存在して 汗試験などの検査が必要になる.一方,定性的試験である温膀胱平滑筋の収縮に関与するM3受容体を抑制する抗コリン 熱発汗試験では発汗亢進の評価は難しく,問診が重要とな薬がある.しかし,神経疾患では認知機能障害を伴うことが る.特発性の全身性発汗過多は上半身に目立つことが多く,多く,抗コリン薬は認知機能障害を顕在化あるいは悪化させ 薬物治療としてclonidineの内服などが行われる.局所性発る可能性がある.特にoxybutyninは認知機能を悪化させる 汗過多である手掌足底発汗過多症では塩化アルミニウムの塗ことがよく知られており12),認知機能障害を伴う患者では投 布,イオントフォレーシス,交感神経切除などが治療として与を控えるべきであろう.その他の抗コリン薬は認知機能へ 用いられる13).の影響が比較的小さいとされるが,認知機能障害のある患者 全身の無汗の原因としては多系統萎縮症などの原発性自律での投与は慎重であるべきである.一方,排尿筋の弛緩には 神経不全症,自律神経ニューロパチー,抗てんかん薬などのβ3受容体が関与している.最近,過活動膀胱の治療薬として 薬剤の副作用,Sj?gren症候群,Fabry病,無汗型外胚葉異発売されたβ3受容体作動薬であるmirabegronは認知機能障 形成症,特発性後天性全身性無汗症などがある.特発性後天害のある患者で使いやすい.薬理作用からは心循環系の副作 性全身性無汗症は,亜急性に発症する全身性の無汗・低汗を用を呈する可能性があるが,我々の経験の範囲では自律神経 主症状とし,他の自律神経症状や神経症状を伴わない.温熱不全の患者でも安全に使用できている.今後の症例の蓄積が 負荷時や運動時に皮膚の痛み,丘疹などを呈するコリン性蕁必要であろう. 麻疹を伴うことが多い.本邦からの報告が多く,若年男性に排出障害の評価には排尿機能検査が有用であるが,一般の 好発し,副腎皮質ステロイド治療がしばしば有効である.詳医療機関では排尿機能検査の機器を備えていないことが多い 細は特発性後天性全身性無汗症診療ガイドライン14)を参照のが現状である.一方,残尿測定は特別な機器を要せず,尿 いただきたい.この疾患は2015年に厚生労働省の難病に認排出障害の重症度評価に有用である.残尿が100ml以上ある 定された.場合は間歇自己導尿の適応となる.残尿が100ml未満の場合は薬物治療が考慮される.尿道括約筋の収縮にはα1受容体 まとめが関与しており,排出障害の治療にα1受容体遮断薬が用い 自律神経症候は多彩であり,実診療で日常的に遭遇する問られる.しかし,自律神経不全症の患者では起立性低血圧を 題であるが,見落とされることも多い.この拙稿が多少なり神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)371自律神経障害の診断と治療とも神経疾患患者の予後およびQOLの改善に役立てば幸い 7)Ammirati F, Colivicchi F, Toscano S et al : DDD pacing withである. rate drop response function versus DDI with rate hysteresispacing for cardioinhibitory vasovagal syncope. Pacing ClinElectrophysiol 21 : 2178?2181, 1998本論文はCOI報告書の提出があり,開示すべき項目はありません. 8)Freeman R, Wieling W, Axelrod FB et al : Consensus state-ment on the definition of orthostatic hypotension, neurally文   献 mediated syncope and the postural tachycardia syndrome.1)Task Force for the D, Management of S, European Society of Clin Auton Res 21 : 69?72, 2011C, et al : Guidelines for the diagnosis and management of 9)Heseltine D, Dakkak M, Woodhouse K et al : The effect ofsyncope (version 2009). Eur Heart J 30 : 2631?2671, 2009 caffeine on postprandial hypotension in the elderly. J Am2)Lempert T, Bauer M, Schmidt D : Syncope : a videometric Geriatr Soc 39 : 160?164, 1991analysis of 56 episodes of transient cerebral hypoxia. Ann 10)Fukushima T, Asahina M, Fujinuma Y et al : Role of intesti-Neurol 36 : 233?237, 1994 nal peptides and the autonomic nervous system in postpran-3)Mathias CJ, Deguchi K, Schatz I : Observations on recurrent dial hypotension in patients with multiple system atrophy. Jsyncope and presyncope in 641 patients. Lancet 357(9253) : Neurol 260 : 475?483, 2013348?353, 2001 11)朝比奈正人:【神経難病の排泄障害対策】[第1部]排泄障害の4)田村直俊:Bezold?Jarisch 反射の発見 Adolf Jarisch Jr. 病態とその管理.難病と在宅ケア 17 : 7?10, 2011(1891?1965).自律神経 49 : 19?23, 2012 12)Pagoria D, O'Connor RC, Guralnick ML : Antimuscarinic5)Humm AM, Z'Graggen WJ : Venepuncture during head?up drugs : review of the cognitive impact when used to treattilt testing in patients with suspected vasovagal syncope ? overactive bladder in elderly patients. Current Urology Re-implications for the test protocol. Eur J Neurol 22 : 389?394, ports 12 : 351?357, 20112015 13)藤本智子,横関博雄,片山一朗ほか:日本皮膚科学会ガイドラ6)Tan MP, Kenny RA, Chadwick TJ et al : Carotid sinus hyper- イン 原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版.日sensitivity : disease state or clinical sign of ageing? Insights 皮会誌 125 : 1379?1400, 2015from a controlled study of autonomic function in symptomat- 14)佐藤貴浩,中里良彦,朝比奈正人ほか:特発性後天性全身性無ic and asymptomatic subjects. Europace 12 : 1630?1636, 2010 汗症診療ガイドライン.自律神経 50 : 67?74, 2013Diagnosis and management of autonomic disordersMasato ASAHINADepartment of General Medical Science, Chiba University Graduate School of Medicine ;Neurology Clinic Tsudanuma and Institute of NeurologyClinically it is very important to diagnose and treat au- bohydrate meals, hot environments, alcohol and vasodila-tonomic symptoms such as syncope, urinary problems and tor drugs. Vasopressor drugs, which are used for treat-sweat abnormalities. Vasovagal syncope, the most com- ment of orthostatic hypotension, can cause or aggravatemon syncopal disorder, usually develops under 40 years recumbent hypertension. Urinary dysfunction is classifiedold. As the sensitivity of head?up tilt test is low, history into storage and voiding symptoms. Anticholinergic drugs,taking is more important for the diagnosis. Carotid sinus which are used for treatment of storage symptoms, maysyncope usually develops over 60 years old and its diagno- exacerbate cognitive impairment. In regard to impairedsis is confirmed based on the evidence of bradycardia and voiding, clean intermittent selfcatheterization is preferredhypotension induced by stimulation to the carotid sinus. in patients having over 100ml of residual urine. Sudomo-Orthostatic hypotension is defined as a sustained reduc- tor abnormalities include hyperhidrosis and hypo/anhidro-tion of systolic blood pressure of at least 20mmHg or dia- sis. For focal hyperhidrosis such as palmoplantar hyper-stolic blood pressure of 10mmHg within 3 minutes of hidrosis treatment like aluminium chloride application,standing or during head?up tilt test. Non?pharmacologi- tap water iontophoresis and thoracic sympathectomy maycal management is important : salt supplementation, fluid be performed. For acquired idiopathic generalized anhid-intake and avoiding precipitating factors such as high car- rosis corticosteroid therapy is often effective.神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)372
慢性頭痛:診断と治療の最前線 竹島 多賀夫 Vol. 34
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=3&kijiCd=34_173&screenID=AF06S010 慢性頭痛:診断と治療の最前線●特集/マラソンレクチャー3慢性頭痛:診断と治療の最前線*竹島多賀夫**Key Words:migraine, cluster headache, trigemal autonomic cephalalgias (TACs), lidocaine(神経治療 34:173?177,2017)はじめにII .国際頭痛分類,慢性頭痛の診療ガイドライン頭痛はありふれた症状であるが,片頭痛に代表される一次性頭痛は有病率が高くquality of life(QOL)を阻害する重 頭痛診療において,国際頭痛分類第3版β版2),慢性頭痛の要な神経疾患である.また,様々な二次性頭痛をきたす疾患 診療ガイドライン20133)は必須の資料である.の診断や治療を神経内科が担当しており,頭痛は臨床神経 ガイドラインは,頭痛一般,片頭痛の診断・疫学・病態・学,神経科学の重要な分野のひとつである.本レクチャーで 誘発因子・疾患予後,急性期治療,予防療法,緊張型頭痛,は,神経内科医に必要な頭痛に関する知識のupdateを紹介 群発頭痛,その他の一次性頭痛,薬物乱用頭痛,小児の頭した. 痛,遺伝子の章建てで,頭痛診療に必要な事項が国内外のエビデンスに基づき網羅的に記載されている.臨床的疑問I .頭痛医療の現状(clinical question:CQ)に対する推奨文,推奨度,解説,わが国のエキスパートによる頭痛診療のレベルは国際的に エビデンスの形式で記載されており,診療に際し使用しやすもトップクラスにあるが,多数の頭痛患者が最適な頭痛診療 い形が取られている.にアクセスできていないのが現状である.片頭痛特異的治療 国際頭痛分類は階層的に構成,コード化されており,診断薬のtriptanはかなり認知されているが,群発頭痛発作や重 は1〜5桁のレベルから使用する階層を決める.1桁のコード度片頭痛発作における在宅自己注射キットの普及は十分とは はタイプ(グループ),2桁はサブタイプ,3〜5桁はサブいえない.製剤の情報提供も不十分な状況である.また,片 フォームと規定されている.最初に,おおよそどのグループ頭痛予防薬の処方を適正に行える神経内科医は多くない.さ にあてはまるかを決める.すなわち,例えば,1.「片頭痛」らに,群発頭痛に代表される三叉神経・自律神経性頭痛の診 か2.「緊張型頭痛」か,3.「三叉神経・自律神経性頭痛」な断と標準的治療,その他の一次性頭痛の診断も必ずしも適正 のかなどを判定し,次いで詳細な診断をするための情報を得になされているとは言いがたい状況である.多くの頭痛患者 てゆく.一般診療では,通常,1桁,2桁レベルの診断でよは頭痛医療の向上を求めている. いが,頭痛専門医の診療,頭痛センターでは,4桁,5桁レ2012年の世界保健機関の「世界21地域における291の疾 ベルまで診断することがふさわしいとされている.病と障害の支障度補正寿命(健康寿命DALYs) 1990? 神経内科医の一次性頭痛の診断のポイントは,1)片頭痛2010年」の報告1)では,緊張型頭痛,片頭痛は地球上で第 を正しく診断する;2)片頭痛か緊張型頭痛か?の鑑別にお2,第3番目に頻度の高い疾病であり,すべての神経疾患に いて,まずは片頭痛の有無を確認し,片頭痛から治療を開始よるburden(重荷)のうち片頭痛は全般的burdenの30%, すること;3)群発頭痛,三叉神経自律神経性頭痛の診断の生活の支障によるburdenの50%以上に関与しており,さら 概略を理解し,診断は1桁,すなわち三叉神経自律神経性頭に,世界の片頭痛による疾病関連のburdenは全疾患中第7 痛でもよいが,それ以上の判断ができない場合は,頭痛セン位,女性では第4位にランクされているとされている. ターや頭痛専門外来へ紹介する;4)その他の一次性頭痛の概要を診断することが挙げられる.* Chronic primary headache : Frontline of the diagnosis and management.** 富永病院神経内科・頭痛センター Takao TAKESHIMA : Department of Neurology Headache Center, Tominaga Hospitalhttp://doi.org/10.15082/ jsnt.34.3_173神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)173慢性頭痛:診断と治療の最前線Table 1 Practical indication of prophylactic medications in mi-III .片頭痛の診断,スクリーナー graine(Takeshima6))片頭痛の診断は,国際頭痛分類の診断基準に沿って行う relative absoluteunnecessaryが, indication indication片頭痛の可能性を疑うポイントは経験的には悪心を伴う中等度以上の頭痛発作は片頭痛の可能性があるということで Headache days/m. <5 5〜15 ≧15ある.片頭痛のスクリーニングツールも開発されているの Migraine days/m. <3 3〜8 ≧8で,使用すると診断の一助になる.わが国で開発された Medication days/m <3 3〜10 ≧10ツール4)では,1)動作による頭痛の悪化,2)悪心,3)光 Exception : cases of過敏,4)臭過敏のうち,2項目以上あれば片頭痛の可能性が contraindication of any高いとしている. acute medicationsNote : Headache days, migraine days medication days are based onIV .片頭痛急性期治療・triptanの使い方 averages of recent three months片頭痛の特異的急性期治療薬triptanを効率的に使用することが,片頭痛患者のQOLを改善することにつながる. 見極め,予防療法の要否を判断する必要があるということで現在,わが国ではsumatriptan,zolmitriptan,eletriptan, ある.rizatriptan,naratriptanが使用可能である. Table 1に実際的な予防療法の判断目安を頭痛日数,片頭Triptan使用のポイントは,1)頭痛が始まってからなるべ 痛日数,服薬日数を基準に示したものを提示した6).エビデく早く,軽度のうちに使用し,アロディニアにも注意する; ンスのある片頭痛予防薬としては,カルシウム拮抗薬(lo-2)前兆期・予兆期に使用しても危険はないが効果は乏しい merizine,verapamil),β遮断薬(propranolol,metopro-ことを理解する;3)1錠で効果が不十分な場合は追加投与す lol),抗てんかん薬(バルプロ酸,topiramate),抗うつ薬る;4)24時間以内に再発した片頭痛にも有効;5)月経時 (amitriptyline),ARB(candesartan)などがある.バルプ片頭痛には高用量,NSAIDs併用するといったことが挙げら ロ酸は公知申請により2010年に片頭痛の予防療法に保険適れる. 用が承認されており,わが国での有用性のデータが多施設試効果不十分な場合の対策としては,服薬タイミングの確 験で示されている7).認,投与量の工夫,triptanのブランドの変更,鎮痛薬・ 新規片頭痛治療薬として抗 CGRP 抗体(ALD403,NSAIDsの併用などを検討するのがよい. LY2951742. TEV?48125), 抗 CGRP 受 容 体 抗 体慢性頭痛の診療ガイドライン3)では,「トリプタン服用の (AMG334)などが開発されつつある.また,鼻根部におけタイミングは,頭痛が軽度か,もしくは頭痛発作早期(発症 る経皮的三叉神経電気刺激装置(Cephaly)が片頭痛予防により1時間ぐらいまで)が効果的である.片頭痛前兆期・予 効果があることも報告されている8).兆後にトリプタンを使用しても支障はないが,無効である可VI .三叉神経・自律神経性頭痛能性がある.」と記載されている.片頭痛のブランドの使いわけは経験的な提案が大部分であるが,有効性のメタ解析を 群発頭痛およびその類縁疾患は,三叉神経・自律神経頭痛した報告もある5). (Trigeminal autonomic cephalalgias, TACs)として纏められており,国際頭痛分類第3版β版ではTable 2のように記V .片頭痛予防療法載されている.TACsは,片側性の眼窩から側頭部の激痛に,慢性頭痛の診療ガイドラインでは,「どのような患者に予 同側の眼充血や流涙などの頭部自律神経症状を伴うものをま防療法が必要か?」というCQでは,「片頭痛発作が月に2回 とめた概念である.鼻閉,鼻漏,眼瞼浮腫,前頭部および顔以上あるいは6日以上ある患者では予防療法の実施について 面の発汗,前頭部および顔面の紅潮,耳閉感,縮瞳または眼検討してみることが勧められる.急性期治療のみでは片頭痛 瞼下垂なども自律神経症状にリストアップされている.これ発作による日常生活の支障がある場合,急性期治療薬が使用 らの症状は頭部副交感神経系の活性化によると考えられていできない場合,永続的な神経障害をきたすおそれのある特殊 る.サブタイプは主として頭痛発作の持続時間で分類されてな片頭痛には予防療法を行うよう勧められる」と記載されて おり,発作性片側頭痛と,持続性片側頭痛は治療量のindo-いる. metacinに反応することがポイントである.しばしば誤解されている点であるが,片頭痛が月に2回以 群発頭痛は,自律神経症状に加え,発作時の不穏状態もその上あれば全員,一律に予防療法を実施すべしということでは 特徴として記載されている.例外もあるが,片頭痛は発作中動なく,月2回以上,あるいは6日以上のケースでは急性期 けず臥床していることが多いのに対し,群発頭痛は興奮したの対処,服薬のみで十分にQOLが改善できているかどうか 様子でじっとしておれないことが特徴で鑑別の参考になる.神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)174慢性頭痛:診断と治療の最前線Table 2 Official Japanese translation and originals of TACs disorders in ICHD?3beta3. 三叉神経・自律神経頭痛 Trigeminal autonomic cephalalgias(TACs)3.1 群発頭痛(Cluster headache)3.1.1 反復性群発頭痛(Episodic cluster headache)3.1.2 慢性群発頭痛(Chronic cluster headache)3.2 発作性片側頭痛(Paroxysmal hemicrania)3.2.1 反復性発作性片側頭痛(Episodic paroxysmal hemicrania)3.2.2 慢性発作性片側頭痛(Chronic paroxysmal hemicrania:CPH)3.3 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(Short?lasting unilateral neuralgiform headache attacks)3.3.1 結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)(Short?lasting unilateral neuralgiform headache attacks with conjunctival injection and tearing:SUNCT)3.3.2 頭部自律神経症状を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNA)(Short?lasting unilateral neuralgiform headache attacks with cranial autonomic symptoms:SUNA)3.4 持続性片側頭痛(Hemicrania continua)3.4.1 持続性片側頭痛,寛解型(Hemicrania continua, remitting subtype)3.4.2 持続性片側頭痛,非寛解型(Hemicrania continua, unremitting subtype)3.5 三叉神経・自律神経性頭痛の疑い(Probable trigeminal autonomic cephalalgia)Fig. 1 The three types of clinical pic-ture of attacks of SUNCT/SUNAShort?lasting unilateral neuralgiformheadache attacks (SUNCT/SUNA) tookone or more of three forms : single stabs,a group of stabs or a long attack with a‘saw?tooth’pattern of stabs betweenwhich the pain would not return to thebaseline.Brain. 2006;129(10):2746-2760. 群発頭痛の発作時治療は,sumatriptan自己注射キット,VII .短時間持続性片側神経痛様頭痛発作の治療酸素吸入が有効でエビデンスもある.Sumatriptanの点鼻も一定の効果が期待できる.経口triptanは群発頭痛発作の持 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(Short?lasting uni-続時間が60分以内のケースではメリットが乏しい.経口剤の lateral neuralgiform headache attacks)は,中等度〜重度なかではrizatriptanが有用として処方されることが多い.群 の一側性の頭痛が,眼窩部,眼窩上部,側頭部またはその他発期の予防療法としては,高用量のverapamilが国際的に標 の三叉神経支配領域に,単発性あるいは多発性の刺痛,また準的な治療薬として用いられている.ステロイドも有効で は間断のない(強い)痛みに刺痛が重なる形(sawtoothあるが,有害事象もあるので短期間の使用に留める.筆者は pattern,Fig. 1)として1〜600秒間持続し,頭痛と同側にステロイドの使用は治療開始後2週間以内としており,この 頭部自律神経症状ないし関連徴候を伴うものである.旨を治療開始時から患者に十分説明している.また,同時にベラパミル等の維持的予防薬を合わせて開始することで, 自律神経症状として,結膜充血および流涙の両方を伴うもステロイド中止後のリバウンドを最小限にするようにして のが,「結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛いる. 様頭痛発(Short?lasting unilateral neuralgiform headache神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)175慢性頭痛:診断と治療の最前線attacks with conjunctival injection and tearing: 流涙を伴った.同様の頭痛が出現し,近医を受診.Pregaba-SUNCT)」として,広く知られている.結膜充血および流 lin(150mg/日)を処方されたが,効果なく,当院紹介入院.涙の両方を伴っていないが,結膜充血,流涙のいずれか,あ 脳MRI・MRA:異常なしるいは他の頭部自律神経症状を伴うものが「頭部自律神経症 入院後経過:Lidocaine(2mg/分)の持続点滴静注により,状を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(Short?last- 頭痛発作は速やかに消失した.Lamotrigineを25mg/日で開ing unilateral neuralgiform headache attacks with cranial 始.点滴を中断するとSUNCT発作が再燃したので,リドカイautonomic symptoms:SUNA)」である.SUNAは国際頭 ン点滴を再開しlamotrigineを100mg/日まで漸増後,lido-痛分類第2版では付録に掲載されていたが,第3版β版で caineを終了した.その後良好な経過であったが,5か月後にSUNCTと並んで本則に掲載された.SUNCTもSUNAも反 再燃したため,lamotrigine200mg/日まで増量し寛解した.復性と慢性のサブフォームがある.SUNCTにおける,lidocaine静注療法の先行研究として欧州神経学会(European Federation of Neurological はMatharuらの報告11)があり,4例の難治性のSUNCT患者Societies:EFNS)のガイドラインではSUNCTの急性期 でlidocaine持続静注(1.3〜3.3mg/kg/hr)で症状が完全に治療は有効な薬剤なし,予防薬はlamotrigineが推奨されて 消失.中止で再燃したが,追加療法として,2例でtopira-いる9). mate,2例でlamotrigineを使用した.Arroyoらは,難治性Parejaらの最近のレビューでは,SUNCTの急性期治療に のSUNCT患者にlidocaine静注(1.3mg/kg/hr)を開始後,は lidocaine静注(1?4mg/kg/hr),予防療法には lamotri- 速やかに改善し,プラセボ(生食)では無効であったころかgine (100?300mg/day), topiramate (50?300mg/day), ら,lidocaine静注がSUNCTの急性期治療だけでなく,診断gabapentin(800?2700mg/day)が記載されている10).わが にも使える可能性を指摘している12).国の慢性頭痛の診療ガイドラインでは,「SUNCT,SUNAの治療薬にはどのような種類があり,どの程度有効か.」の 症例3  43歳,男性CQに対し,「SUNCTおよびSUNAは有病率が低く,対照研 主 訴:連日性の激しい頭痛.既往歴,嗜好歴,家族歴:特究は行われていない.しかし,症例研究などからはlamotri- 記事項なしgineが最も有効でその他,gabapentinやtopiramateが有効 現病歴:1年前に,洗顔や咀嚼で誘発される3秒程度の右顔とされている.また,非常に強く日常生活に影響するような 面の電撃痛が頻発し,当院受診.脳MRIで右三叉神経の頭痛にはリドカインの静注も有効とする報告もある.」と記 root?entry zoneに神経血管圧迫がみられ,典型的三叉神経載されている. 痛と診断された.Carbamazepine(400mg/日)で痛みは消失したが,2週間後に薬疹が出現し,gabapentin(1800mg/以下,SUNCTの治療例を提示して解説する. 日)に変更.2ヶ月後には痛みが消失し休薬していた.今回,右眼周囲の充血,流涙,鼻漏を伴う5秒程度で鋸歯状の激症例1  72歳,女性 痛が約200回/日出現し,gabapentinを再開したが,効果が主 訴:間欠的な激しい頭痛.現病歴:3年前から年に1回, ないため発症7日目に入院した.入院後経過:SUNCTの診左眼窩〜前頭部のズキズキ,ガンガンする30〜60秒程度の 断で,lidocaine静注で治療開始,lamotrigineが奏効し一旦間歇的で激しい頭痛が5〜10回/日にみられたが,約2ヵ月で 退院したが,1年後再発した.微小血管減圧術により,自然寛解.頭痛時に同側の眼充血,流涙,鼻漏を伴った.他 SUNCT発作が寛解した.院でtoramadol・acetaminophen合剤の処方,星状神経節ブロックが施行されたが無効であった.同様の頭痛が出現した Favoniらのレビューによれば13),報告例222例中34例ため,当院紹介受診.Lamotrigineを 25mg/日から開始, (16.9%)に三叉神経に対するneurovascular compression2W後には頭痛は大幅に軽減し,50mg/日に増量後,数日で (NVC)が認められた.7例は薬物でコントロールされたが,頭痛は完全消失した. 薬剤抵抗性の16例に対して三叉神経のmicrovascular de-本例はlamotrigineが奏効した典型的なSUNCTの1例で compression(MVD)が施行され,12例(75%)で有効である. あった.SUNCT/SUNA症例では脳MRIでの神経血管圧迫の評価が重要であり,一部のSUNCT/SUNAでNVCが病因症例2  82歳,男性 である可能性も示唆されるとしている.主 訴:連日性の激しい頭痛VIII .頭痛の保険診療現病歴:3年前から毎年1カ月程度,右眼窩〜前頭部に30秒程度の激痛が約5分毎にみられた.頭痛時には右側の眼充血, わが国で最初に頭痛治療ガイドラインが作成された2002神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)176慢性頭痛:診断と治療の最前線年当時,片頭痛予防薬のエビデンスがある薬剤,amitripty- J Headache 42 : 134?143, 2015line,propranolol,バルプロ酸には片頭痛の適用がなかっ 5)Thorlund K, Mills EJ, Wu P et al : Comparative efficacy oftriptans for the abortive treatment of migraine : a multipleた.その後,頭痛学会,神経学会,神経治療学会から要望がtreatment comparison meta?analysis. Cephalalgia 34 : 258?なされ,公知申請によりバルプロ酸は2010年に,proprano- 267, 2014lolは2012年に片頭痛治療薬として認可された.amitripty- 6)竹島多賀夫:片頭痛治療Update 片頭痛発作予防薬.臨床神経lineは厚生労働省保険局医療課長通知により2012年に,保 学 52 : 973?975, 2012険診療における適用外使用が認められた.これにより,主要 7)Takeshima T, Suzuki N, Matsumori Y et al : Effectivenessand safety of an extended?release tablet of sodium valproateなエビデンスのある片頭痛予防薬がわが国でも日常診療で使for the prophylactic treatment of migraine : Postmarketing用できる環境が整ってきた.しかしながら,topiramateや surveillance in Japan. Neurol Clin Neurosci 4 : 134?141,ボツリヌス毒素はまだ認可されておらず,欧米とのdrug?lag 2016が十分解消されたとはえいない状況であり,わが国の頭痛診 8)Magis D, Sava S, d'Elia TS et al : Safety and patients' satis-療のさらなる向上が望まれる. faction of transcutaneous supraorbital neurostimulation(tSNS) with the Cefaly(R) device in headache treatment : asurvey of 2,313 headache sufferers in the general population.本論文に関連し,開示すべきCOI状態にある企業・組織や団体は以J Headache Pain 14 : 95, 2013下の通り 9)May A, Leone M, Afra J et al : EFNS guidelines on the treat-講演料:ファイザー株式会社,エーザイ株式会社 ment of cluster headache and other trigeminal?autonomiccephalalgias. Eur. J. Neurol 13 : 1066?1077, 2006文   献 10)Pareja JA, Alvarez M : The usual treatment of trigeminal au-1)Murray CJ, Vos T, Lozano R et al : Disability?adjusted life tonomic cephalalgias. Headache 53 : 1401?1414, 2013years (DALYs) for 291 diseases and injuries in 21 regions, 11)Matharu MS, Cohen AS, Goadsby PJ : SUNCT syndrome re-1990?2010 : a systematic analysis for the Global Burden of sponsive to intravenous lidocaine. Cephalalgia 24 : 985?992,Disease Study 2010. Lancet 380 : 2197?2223, 2012 20042)日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会訳:国際頭痛分類第3版 12)Arroyo AM, Duran XR, Beldarrain MG et al : Response to in-beta版.医学書院,東京,2014 travenous lidocaine in a patient with SUNCT syndrome.3)慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会:慢性頭痛の診療ガイ Cephalalgia 30 : 110?112, 2009ドライン2013.医学書院,東京,2013 13)Favoni V, Grimaldi D, Pierangeli G et al : SUNCT/SUNA4)Takeshima T, Sakai F, Suzuki N et al : A Simple Migraine and neurovascular compression : new cases and critical liter-Screening Instrument : Validation Study In Japan. Japanese ature review. Cephalalgia 33 : 1337?1348, 2013Chronic primary headache : Frontline of the diagnosis and managementTakao TAKESHIMADepartment of Neurology Headache Center, Tominaga HospitalAlthough primary headaches are common and disabling Society and its Japanese translation of Japanese Head-neurological disorders, practical management of these dis- ache Society, and Japanese guideline for management ofease still remain to be improved. chronic headaches. I especially focused on acute treatmentI introduced relevant recent advances of management of and prophylactic treatment of migraine headaches andprimary headache disorders and the International classifi- management of trigeminal autonomic cephalalgia.cations of headache disorders by International Headache神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)177
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=6&kijiCd=33_617&screenID=AF06S010 神経治療学 第33巻 第6号目   次Editorial(論説)希少疾患の治験を成功させるためには青木 正志 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 619特 集 免疫介在性壊死性ミオパチー特集にあたって 荒木 信夫 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 621壊死性ミオパチーの筋病理 西川 敦子,西野 一三 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 622壊死性ミオパチーの臨床特徴と治療・予後村田 顕也 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 627壊死性ミオパチーの自己抗体 鈴木 重明 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 633原 著症例報告 妊娠中期に発症し麻痺性イレウスと下肢深部静脈血栓症を併発したGuillain?Barr?症候群の1例谷  裕基,中村 善胤,細川 隆史,中嶋 秀人,木村 文治 . . . . . . . . . . . . . . 638ウエアリング・オフを呈するParkinson病患者に対するistradefyllineの効果: ドパ反応性の良好な症例をターゲットにして冨山 誠彦,今  智矢,船水 章央,上野 達哉,羽賀 理恵,西嶌 春生,新井  陽,鈴木千恵子,布村 仁一,馬場 正之 . . . . . . . . . . . . . . 642東京都の人工呼吸器装着中の孤発性筋萎縮性側索硬化症患者の人工呼吸・栄養療法の導入状況と療養環境の変化  ―2006年度と2012年度の臨床調査個人票の比較を通して―板垣 ゆみ,川田 明広,松田 千春,原口 道子,小倉 朗子,中山 優季 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 646標準的神経治療:自律神経症候に対する治療 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 653神経治療最前線 海外学会参加報告The 8th Inflammatory Neuropathy Consortium関口  縁 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 68915th Asian and Oceanian Congress of Neurology(AOCN)伊井裕一郎 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 69132nd European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis(ECTRIMS)横山 和正,服部 信孝 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 693項目別索引 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 697著者名索引 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 702日本神経治療学会会報 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 709編集後記 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 710神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)617
標準的神経治療:自律神経症候に対する治療 Vol. 33
                   
                   
                    (2017)
                   
                   
                    No. 6
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=6&kijiCd=33_653&screenID=AF06S010 標準的神経治療:自律神経症候に対する治療編集:日本神経治療学会治療指針作成委員会日本神経治療学会治療指針作成委員会緒  言日本神経治療学会の治療指針作成委員会編集による「標準的神経治療」シリーズの一つ「自律神経症候に対する治療」が完成した.自律神経は全身の血圧を維持し,循環動態をコントロールするとともに,発汗機能により,全身の体温調節も行っている.また,消化管の運動を制御し,全身の代謝のホメオスターシスもつかさどっている.さらに,排尿システムをコントロールすると同時に,勃起などもコントロールし,生殖にもかかわっている.このように,ヒトが生きていくためには,自律神経系が全身で順調に働くことが不可欠である.この自律神経系の障害により頻繁に認められる症候として,起立性低血圧,食事に伴ってみられる低血圧(食事性低血圧),発汗障害,消化管の機能異常,排尿障害,勃起機能障害などが挙げられる.標準的神経治療の中で今回取り組むことになった「自律神経症候に対する治療」は,神経内科医のみならず,多くの内科医にとっても日常診療上,非常に役に立つ内容になったと確信している.本指針では,自律神経学会発刊の「自律神経機能検査」の主編集者である田村直俊先生に「起立性低血圧(体位性頻脈症候群も含めて)」について担当していただいた.また,食事に伴ってみられる低血圧について長く研究してこられた長谷川康博先生に「食事性低血圧」についてまとめていただいた.後天性全身性無汗症であるIPSF(idiopathic pure sudomotor failure)の概念を世界ではじめて報告した中里良彦先生には「発汗障害」の項をお願いした.消化器内科で長らく自律神経の研究に従事されてきた中村正彦先生には「消化管機能異常(便秘も含めて)」について,まとめていただいた.さらに排尿障害に関する研究で多くの業績のある榊原隆次先生に「排尿障害」を,また勃起機能障害について多くの研究業績のある泌尿器科の中島耕一先生に「勃起機能障害」を担当していただいた.すべての先生方は,その道,20?30年にわたり研究をされてきたエキスパートばかりで,日常診療で大変役に立つ指針になったと自負している.最後に,小生の手際が悪く編集に時間がかかってしまったため,早く原稿をいただいた著者の方々に追記をお願いすることとなった.ご負担をお詫びするとともに感謝申し上げたい. 本指針「自律神経症候に対する治療」により,自律神経障害の診療に役立つ実践的な知識が整理され,多くの医師に有効に活用され,自律神経障害に悩まれているたくさんの患者さんのために役立つことを期待して序にかえたい.  2016年11月荒木 信夫神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)655標準的神経治療:自律神経症候に対する治療執筆担当者一覧緒言       荒木 信夫(埼玉医科大学神経内科)I  起立性低血圧(体位性頻脈症候群も含めて)田村 直俊(埼玉医科大学短期大学・埼玉医科大学神経内科)II 食事性低血圧   長谷川康博(中部大学生命健康科学部作業療法学科)III 排尿障害    榊原 隆次(東邦大学医療センター佐倉病院神経内科)内山 智之(獨協医科大学排泄機能センター)山本 達也(千葉大学医学部神経内科)舘野 冬樹(東邦大学医療センター佐倉病院神経内科)岸  雅彦(同 上)露崎 洋平(同 上)IV 消化管機能異常(便秘も含めて)中村 正彦(北里大学薬学部臨床薬学研究センター病態解析学)土本 寛二(同 上)V 発汗障害    中里 良彦(埼玉医科大学神経内科)VI 勃起機能障害(ED)中島 耕一(東邦大学泌尿器科学講座)神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)656標準的神経治療:自律神経症候に対する治療標準的神経治療:自律神経症候に対する治療目 次 3 過活動膀胱(OAB)と残尿が同時にみられる場合〜脊髄疾患,緒 言 多系統委縮症  おわりにI 起立性低血圧(体位性頻脈症候群も含めて) 後記はじめに  1 起立性低血圧(OH)の治療と evidence?based medicine IV 消化管機能異常(便秘も含めて)(EBM) はじめに2 起立性低血圧(OH)と臥位高血圧 1 上腹部愁訴の種類3 起立性低血圧(OH)の非薬物療法 2 上腹部愁訴の原因4 起立性低血圧(OH)の薬物療法 3 上部消化管症状の治療5 体位性頻脈症候群(PoTS)の治療方針 4 下部消化管愁訴と疾患おわりに 5 下部消化管愁訴,特に便秘の治療後記 後記   II 食事性低血圧 V 発汗障害はじめに はじめに1 食事性低血圧 1 多汗症1) 食事性低血圧の定義・判定基準 1) 手掌・足底・腋窩多汗症2) 食事性低血圧の臨床像 a) 疫学3) 食事性低血圧の病態 b) 症状・診断・重症度2 食事性低血圧の治療 c) 治療1) 治療原則 2) 頭部顔面多汗症2) 非薬物療法 2 無汗症a) 血圧低下増強因子への対応 1) 特発性後天性全身性無汗症(AIGA)b) 食事療法 a) 疫学c) 飲水 b) 病因・病態生理d) 理学療法・運動 2) 診断・症状3) 薬物治療 3) 治療a) 交感神経機能刺激薬 おわりにb) 血漿増量作用薬 後記c) 消化管ホルモン分泌抑制薬  d) 糖吸収遅延作用薬 VI 勃起機能障害e) その他 はじめにおわりに 1 ED治療の第一選択肢  2 陰茎海綿体注射(PGE1)の有効性III 排尿障害 3 陰圧式勃起補助具はじめに 4 陰茎プロステーシス挿入術1 過活動膀胱(OAB)〜多発性脳梗塞など おわりに2 残尿・尿閉〜糖尿病性ニューロパチーなど神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)657標準的神経治療:自律神経症候に対する治療I 起立性低血圧(体位性頻脈症候群も含めて) 降圧薬は朝でなく就寝前に服用させる.夜間の臥位高血圧が高度なときは,就寝時にnitroglycerineパッチを貼付し,起床時にはずす方はじめに 法がある12, 13).起立性低血圧orthostatic hypotension(OH)・体位性頻脈症候群 3. 起立性低血圧(OH)の非薬物療法postural tachycardia syndrome(PoTS)・神経調節性失神neurally OHの治療においては可能な限り,臥位高血圧を惹起する薬物療法mediated syncope(NMS)は,起立によって立ちくらみ症状を生じ を避けるべきで,QOLを改善するためのきめ細かな生活指導が最優る近縁の病態で,いずれも心・血管系の自律神経調節(広義の圧受 先である(Table 1).EFNSのガイドライン公表以降に,吸気時に容器反射)に何らかの機能異常があり,起立時に重力の作用による 唇をすぼめる,鼻から吸気する,吸気時の流入量だけを選択的に抑下半身の静脈系への血液貯留を代償することができない1, 2).発生機 制する装置を用いるなどの方法で呼吸ポンプを賦活し,過換気を抑序の詳細は割愛するが,交感神経活動に注目すれば,OHでは活動低 制すると,OHが改善することが報告された23).下,PoTSでは活動亢進,NMSでは発作前駆期の活動亢進と発作時 4. 起立性低血圧(OH)の薬物療法の活動停止がみられる.本稿ではOHとPoTSの治療方針を概説す Table 2に主要なOH治療薬を示す.これらのうち,etilefrine,る. dihydroergotamine(経口剤),ameziniumの3薬は,ドイツなどで1. 起立性低血圧(OH)の治療とevidence?based medicine randomized controlled studyがなされエビデンスレベルIIa ,日本(EBM) でもOH治療薬として承認されているが,英語圏では未発売である.2006 年,欧州神経学会連合 European Federation of Neuro- この3薬に加えて,EBMの概念が登場する前から汎用されていたlogical Societies(EFNS)のOH治療ガイドラインが公表された fludrocortisone エビデンスレベルIIa(本邦では保険適応未承認;(Table 1)3).本稿の記述のうち,とくに文献引用のない箇所は,こ 薬価が安いため,適応の申請が行われる見込みもない)とephe-のガイドラインとその公表以降に出版された英文の総説4〜9)(および drine エビデンスレベルIV (保険適応未承認・覚醒剤取締法適応対筆者の経験)に基づいている.欧州心臓学会による失神のガイドラ 象)も,新薬に比べるとEBMに基づく治験が少ない.いずれにしてイン(2009)10),日本循環器学会など関連6学会による失神のガイド も,これほど多数のOH治療薬が試みられている事実は,逆にいえライン(2007)11)の中にもOHについての記載がある. ば,OHの薬物治療の困難さを意味するものである.しかしながら,OHの治療は本来,EBMや標準化にはなじまない 第1選択薬としては,2006年以降に執筆された英文の総説6編中4問題である.その理由は以下の通りである. 編4, 6, 7, 9)(うち2編6, 7)は同じ著者が執筆)がfludrocortisone,1編8)@OHの原因疾患は多岐にわたる上,同一疾患によるOHでも症例 がmidodrine+pyridostigmine,1編5)がpyridostigmineを推奨してごとに病態生理が異なり,同一症例であっても経過と共に病態生理 いる.ただし,いずれの総説も効果が不十分のときは,最初に用いが変容する.それゆえ,OHの治療においては画一的な対応でなく, た薬物の用量を増加するより,fludrocortisoneとmidodrineの併用当該症例の病態生理(および患者の生活状況)に基づいたきめ細か を勧めており,現在のところ,fludrocortisone・midodrine・pyri-なオーダーメイドの対応が必要である. dostigmineの3薬が最も標準的なOH治療薬であるといえよう.AOH治療の目的は血圧の数値の改善ではなく,quality of Life Fludrocortisone24〜28)(保険適応未承認)は類aldosterone作用に(QOL)の向上にあるので,たとえ起立時の血圧下降幅が大きくて よる循環血漿量の増加作用を有し,同時に血管壁α1受容体の感受性も,症状が軽微であれば治療の必要はない(治療すべきでない). を高める作用もある.半減期が7時間と作用時間が長いこと,低K血OHに関する全ての治験は血圧の数値を指標としているが,治療効果 症を惹起するという重篤な副作用があることに注意が必要である.を血圧の数値で評価することに大きな意味はない. それゆえ,0.1g(1錠),1×朝の少量処方とすること(英語圏ではB最も重要なことであるが,OHの薬物治療は多かれ少なかれ, 1.0g/日まで増量可能とされている),定期的に血清K値の追跡を行う臥位高血圧を惹起する(後述)ので,長期の投薬は脳血管障害や心 ことが不可欠である.筋障害の危険を増大し,間違いなく生命的予後を悪化させる.効果 Midodrine37〜41)は血液脳関門を通過せず,作用時間も短い選択的が大きい治療薬ほどその危険も大きい.極言すれば,OHの薬物治療 α1刺激薬で,非特異的な交感神経刺激薬(ephedrine,phenylpro-とは「QOLと生命の引き替え」であり,長期的予後についての検討 panolamine,droxidopaなど)に比べて安全である.標準3薬の中が十分集積されるまでは,治療法を標準化すべきでない. で最も高いエビデンスレベルIを有し,しかも日本で唯一保険適応が2. 起立性低血圧(OH)と臥位高血圧 認められているので,日本では本薬が第1選択薬とされる場合が多いOH患者は圧受容器反射が破綻しているので,もともと臥位高血圧 と思われる.0.4g(2錠),2×朝,午後(6時前)の処方で開始し,を伴う症例が多い上,OHの薬物治療の目標は血圧の「底上げ」であ 最大0.8g/日まで増量可能である.るので,治療が奏効すれば,臥位高血圧が必発である.すなわち, Pyridostigmine45, 58〜60)(保険適応未承認)は重症筋無力症に用いOHを治療すれば臥位高血圧が増悪し,高血圧を治療すればOHが増 られるcholinesterase阻害薬で,交感神経節前線維の作用を賦活し,悪するという重大なジレンマが存在する12, 13). 節後線維終末からのnoradrenaline放出を促進するとされる.臥位OHの診療においては,とくに夜間臥床時の血圧に留意し,可能な 高血圧を惹起する危険は比較的小さいが,理論上,交感神経節後線ら24時間自動血圧測定を実施する.日中は臥位にならないこと,夜 維の機能が一部残存している軽症例にしか効果が期待できない(こ間も頭部を15〜25cm挙上して就寝することを指導する.もともと のことはyohimbine,amezinumなどにも該当する).報告された成臥位高血圧を伴っている場合,なるべく作用時間の短いOH治療薬 功例の多くはmidodrineなどとの併用例である59, 60).60mg(1錠),(例えばmidodrine)を選び,午後6時以降の服薬を避ける.一方, 2×朝,夕で開始し,90mg〜180mg,分3を維持量とする.神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)658標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 1 欧州神経学会連合のOH治療ガイドライン3)(一部補足して改変)一般的な原則○高温環境,熱い湯への入浴の回避○日中の長時間の臥床,とくに朝・起床時の急激な起立の回避○大量の食事,とくに炭水化物とアルコールの回避(食事性低血圧の予防)○運動訓練(水泳,エアロビクス,可能ならサイクリングやウォーキング)○臥位高血圧への対策(例えば,就寝時の降圧薬内服やnitroglycerine舌下錠12, 13)) 非薬物治療○ゆっくりした起立(起立前にしばらく座位をとったり,ストレッチをしたりする,とくに朝の起床時)○重力に抵抗する身体動作(足組み,筋肉の緊張,しゃがみ込み,折り畳み式のイスの携帯など)14〜17)                               :エビデンスレベルIIb,推奨度C○弾性ストッキングや腹部緊縛18)                :IIb,C○夜間睡眠時の頭部挙上(20?30cm)19)             :IIb,C○適度の食塩(最低限,8g/日以上)・水分(2?2.5?/日)の摂取  :I,C○500m?の飲水で即時の昇圧効果あり20〜22)○心臓ペースメーカ植え込みは推奨されない 薬物治療○fludrocortisone :エビデンスレベルIIa,推奨度C○midodrine :I,A○droxidopa :I,A○octreotide :III,C○ephedrine :IV○yohimbine :III○dihydroergotamine :III○desmopressin :IV○erythripoietin :貧血を伴う場合はIII○ indomethacin :III上記3薬を組み合わせても十分な効果が得られないときは,当該 療法67)をTable 3,各治療法のエビデンスレベル68)をTable 4に症例の病態生理,すでに投与した薬物の効果や副作用を考慮した上 示す.で,作用機序の異なる他の薬物をさらに追加するか,一部の薬物と PoTS(≒NMSの準備状態)の病態生理はheterogeneousで,発入れ替えて,根気強く有効な組み合わせを模索する.どのような薬 生機序についてのコンセンサスも確立されていないので,現在のと物の組み合わせが最適であるかは,症例ごとに驚くほど異なる.近 ころ,PoTSの治療やNMSの予防は全て理論的裏付けのない経験的年,欧米ではnoradrenalineの前駆物質であるdroxidopaの有効性が な方法である.おおまかにはOHに対する治療と同じであるといえ強調されているエビデンスレベルI 51〜54)が,本薬はもともと日本で るが,以下,筆者の独断でPoTSの治療(≒NMSの予防)とOHの開発された薬物で,日本には欧米に先行する長い使用経験があ 治療の微妙な相違点を指摘しておく.@PoTSでは圧受容器反射が完る49, 50).Droxidopaは昇圧効果が強く,難治の症例に対する「最後の 全には破綻していないので,臥位高血圧に対する配慮はそれほど必切り札」になり得る(全く無効の症例もある)が,長期の投薬で脳 要でない.APoTSは交感神経機能亢進と起立性頻脈を示すので,理血管障害や心筋障害を引き起こす危険が大きく,使用に踏み切るに 論上,β受容体も刺激する非特異的な交感神経刺激薬(例えばあたっては,臥位高血圧に対する十分な注意とinformed consentが droxidopaやamezinium)は使用すべきでない.Bティルト台・ト不可欠である. レッドミル・ジョギングなどによる運動訓練69, 70)とβ遮断薬70, 71)5. 体位性頻脈症候群(PoTS)の治療方針 は,OHに対してはそれほど推奨されていないが,PoTSに対してはPoTSの研究を先導するMayo Clinicで行われているPoTSの治 第1選択といえるかもしれない.神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)659標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 2 OHに用いられている主要な薬物薬物 主な作用機序 備考循環血液量増加作用を有する薬物fludrocortisone24〜27) 類aldosterone作用による循環血漿量増加desmopressin28) vasopressin作用による循環血漿量増加 夜間頻尿の改善で,排尿のため夜間に起立し転倒することを防止erythropoietin29) 赤血球増加 貧血を伴った症例に有効(皮下注) 血管収縮作用を有する薬物etilefrine30, 31) 直接的・非選択的なα・β刺激作用dihydroergotamine31〜35) 静脈選択性のα刺激作用(静脈はα2受容体>α1受容体)phenylephrine36) 選択的α1刺激作用midodrine37〜41) 選択的α1刺激作用clonidine35, 42) 選択的α2刺激作用(中枢性降圧薬) 重症例に有効,交感神経節後機能残存の軽症例では血圧下降の危険ありyohimbine43〜45) 選択的α2遮断作用 交感神経節後機能残存の軽症例に有効amezinium26, 46) noradrenaline再吸収阻作用 交感神経節後機能残存の軽症例に有効atmoxetine47, 48) noradrenalineトランスポータ阻害作用 交感神経節後機能残存の軽症例に有効droxidopa49〜54) noradrenalineの前駆物質effedrine36, 39, 55) 間接的交感神経刺激作用(noradrenaline放出促進)phenylpropanolamine44, 56, 57) 間接的交感神経刺激作用(noradrenaline放出促進)pyridostigmine45, 58〜60) 抗cholinesterase作用(交感神経節前線維賦活) 交感神経節後機能残存の軽症例に有効 血管拡張抑制作用を有する薬物propranolol/pindolol61〜63) β2遮断作用Indomethacin/ ibuprofen44, 64) prostaglandin遮断作用octreotide65, 66) somatostatin同族体 食事性低血圧を伴った症例に有効(筋注)Table 3 1993年から2003年までの間にMayo Clinic神経内科で行 進歩は明白である.30年間で最も大きく変わった点は,臥位高血圧われたPoTSの治療67)(一部補足して改変)がOH治療の最大の問題点であり,薬物療法はできるだけ回避すべ治療法(n:調査した全患者数) 患者数(%) きであると認識されたことである.また,1990年代にOHの近縁病循環血液量の増加(水分・食塩摂取)(n=147) 136(92.5) 態であるPoTSの概念が登場している.PoTSの病態生理についてはβ遮断薬(n=150) 116(76.7) 未だコンセンサスが得られていないが,治療の観点だけからいえば,fludrocortisone(n=152) 60(39.5) OHの「軽症型」とみなし得る.midodrine(n=152) 48(31.6) 後 記選択的serotonin再吸収阻害薬(n=147) 76(51.7) 本稿脱稿後,OHに対してnoradrenaline再吸収阻害薬のato-phenobarbital(n=119) 19(16.0 moxetineの方がmidodrineより効果が大きいとする成績73),PoTS)に対して睡眠リズム調整薬のmelatoninが有効とする成績74)が報告acetazolamide(n=119) 5(4.2)された.欧米の心臓病学関係の学会(複数)によるPoTS(およびclonidine(n=119) 14(11.8)NMSなど)の診断と治療に関する合意声明(2015)75)が発表され,pyridostigmine(n=150) 8(5.3)PoTSの治療については,持続的な運動訓練,midodrineまたは低ティルト・トレーニング(n=145) 103(71.0)用量のpropranololが最も高い推奨度を有すると明記された(共弾性ストッキング(n=150) 16(10.7) に推奨度B).また,下記の比較的重要な総説76〜79)が発表された.1つはOHに対する36治験のエビデンスレベルを初めて検証した総説で,EBMの観点からいえば,全てエビデンスが不十分であると結論おわりに している76).1つは米国高血圧学会が推奨するOHの治療方針の紹介約30年前(1986),筆者は本誌に「起立性低血圧の病因と治療」 であり,OHの治療法は全てエビデンスが乏しいことを指摘した上と題する総説72)を執筆したが,本稿と読み比べて頂くと,30年間の で,まず非薬物療法から開始すること,薬物としては高血圧を伴わ神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)660標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 4 PoTSに対する各治療法のエビデンスレベル68)(一部補足 文   献して改変) 1)田村直俊:起立性低血圧,体位性頻脈症候群,神経調節性失神治療法 エビデンスレベル の病態生理学的関係.自律神経 46 : 387?397, 2009非薬物療法 2)Thulesius O : Diagnosis of orthostatic hypotension. 自律神経 水および塩分の補充 III 48 : 4?8, 20113)Lahrmann H, Cortelli P, Hilz M et al : EFNS guidelines on 運動(ティルト・トレーニング) Ibthe diagnosis and management of orthostatic hypotension. 弾性ストッキング IV Eur J Neurol 13 : 930?936, 2006薬物療法 4)Gupta V, Lipsitz LA : Orthostatic hypotension in the elderly : fludrocortisone III diagnosis and treatment. Am J Med 120 : 841?847, 2007 midodrine IIb 5)Gupta D, Nair MD : Neurogenic orthostatic hypotension :chasing“the fall”. Postgrad Med J 84 : 6?14, 2008 β遮断薬 III6)Freeman R : Neurogenic orthostatic hypotension. N Engl J 中枢性交感神経遮断薬(clonidineなど) III Med 358 : 615?624, 2008 pyridostigmine IIb 7)Freeman R : Current pharmacologic treatment for orthostat- ivabradine(洞結節遮断薬) III ic hypotension. Clin Auton Res 18(Suppl 1) : 14?18, 2008 octreotide III 8)Low PA, Singer W : Management of neurogenic orthostatichypotension : an update. Lancet Neurol 7 : 451?458, 2008 erythropoietin III9)Lanier JB, Mote MB, Clay EC : Evaluation and management desmopressin IV of orthostatic hypotension. 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Clin Auton Res 3 : 57?65, 1993midodrine メトリジン 15)Bouvette CM, McPhee BR, Opfer?Gehrking TL et al : Roledropidopa ドプス of physical countermaneuvers in the management of ortho-octreotide サンドスタチンLARstatic hypotension : efficacy and biofeedback augmentation.ephedrine 塩酸エフェドリン,エフェドリン「ナガヰ」yohimbine ガラナポーン Mayo Clin Proc 71 : 847?853, 1996dihydroergotamine ジヒデルゴット 16)Smit AAJ, Wieling W, Opfer?Gehrking TL et al : Patients'desmopressin デスモプレシン choice of portable folding chairs to reduce symptoms of ortho-erythropoietin エスポー,エポジン static hypotension. Clin Auton Res 9 : 341?344, 1999indomethacin インテバンSP17)Krediet CTP, Go?Sch?n IK, Kim YS et al : Management ofetilefrine エホチールphenylephrine ネオシネジン initial orthostatic hypotension : lower body muscle tensingclonidine カタプレス attenuates the transient arterial blood pressure decreaseamezinium リズミック upon standing from squatting. Clin Sci 113 : 401?407, 2007atmoxetine ストラテラ 18)Podoleanu C, Maggi R, Brignole M et al : Lower limb and ab-phenylpropanolamine 単剤としては本邦未発売(市販の感冒薬に含有)dominal compression bondage prevent progressive orthostat-pyridostigmine メスチノンpropranolol インデラル ic hypotension in elderly persons. A randomized single?blindpindolol カルビスケン controlled study. J Am Coll Cardiol 48 : 1425?1432, 2006ibuprofen ブルフェン 19)Fan CW, Walsh C, Cunningham CJ : The effect of sleepingphenobarbital フェノバール with the head of the bed elevated six inches on elderly pa-acetazolamide ダイアモックスtients with orthostatic hypotension : an open randomizedivabradine 本邦未発売methylphenidate リタリン,コンサータ controlled trial. Age Ageing 40 : 187?192, 2011melatonin 本邦未発売(類似薬 ramelteon;ロゼレム) 20)Jordan J, Shannon JR, Black BK et al : The pressor responseto water drinking in humans. A sympathetic reflex? 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OH,即ち食事性起立性低血圧postprandial orthostatic hypoten-測定法は,通常,一定の栄養成分,カロリーを調整した検査食や sion(PPOH)の基準などをどう設定するかは未解決の問題である.ブドウ糖(50gあるいは75g)水の経口摂取7)による方法で実施され 2) 食事性低血圧の臨床像る.食後の血圧低下は朝食時に目立つことから早朝空腹時の試験が PPHがみられる疾患・病態をTable 1に示す.PPHを呈する疾患望ましく8),姿勢条件は,座位や臥位での安静保持である.食前およ には神経疾患が多く,中枢性,末梢性の神経障害にかかわらず観察さび食後2〜3時間は観察し,この間10分毎での血圧,心拍数を自動血 れている.中でも,高度のPPHを呈するのは多系統萎縮症などのAF圧測定機などにより測定する.加えて,心拍出量,門脈血流,静脈 が中心である.軽度のPPHは,自律神経障害が臨床的に明らかでなコンプライアンスなど血行動態的な諸指標,他に心電図R?R変動, い糖尿病や高血圧の患者,さらには高齢者において多い傾向がある.筋交感神経活動など電気生理学的指標,血中の糖,インスリン,カ PPHの頻度は,施設入居高齢者で25〜67%10)である.Parkinson病テコールアミン,消化管ペプチドなど諸液性因子を測定することで, 患者では83%11),40〜100%5)であり,便秘と同様にPPHの頻度は高PPHの病態をさらに詳しく解析,評価することができる7).非拘束 い.PPHの諸疾患における正確な頻度は,判定基準や判定法が一定自由行動下での24(〜48)時間携帯型自動血圧計を用いた測定法 せず,不明であるが,OHの有病率よりも高い可能性がある5).(ABPM)は,一日の食事毎でのPPHの有無や程度,再現性や評価 PPHを誘発あるいは増強する危険因子には,脱水,発熱,高熱環も可能である.1回の血圧値の測定精度は高くはなく,OHの影響な 境,長期臥床,運動不足,起立保持,食事時刻(とくに朝食),高炭どを受けて純粋にPPHを示すとは言いがたい難点があるが,PPHの 水化物食12),大食,高温食,高血圧,神経疾患や糖尿病など疾患スクリーニングや治療の判定法としても簡便で有用である.各個人 の合併,降圧薬や抗Parkinson病薬などの内服,高齢などがあ内でのPPHの再現性は高い9)ので検査は1回のみで十分である. る3〜5, 10).レボドパは投与開始あるいは増量時に一過性に血圧を低下神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)664標準的神経治療:自律神経症候に対する治療させることがあるが,食後にめまい感を訴えたParkinson病例にお 意であるが,PPHを有するParkinson病や多系統萎縮症患者では欠いてレボドパの内服がPPHとOHの両者を増強していることが確認 如しているか軽度の増加に留まっている27).これは交感神経遠心路されている13).PPHにはOHや臥位高血圧を伴うことが多く14),降圧 機能の障害の反映と考えられる.薬が不適切に処方されていることがあり,注意が必要である. PPHに関与すると推測される主要な消化管ペプチドホルモンにPPHがみられてもほとんどは無症状であることが,PPHが見過ご は,ニューロテンシン(NT),血管作動性腸管ペプチド(VIP),ソされやすい要因の1つである.PPHに関連した臨床症候は,めまい, マトスタチン(SMS),サブスタンス?P,ブラデイキニン,グルカゴ立ちくらみ,全身脱力,視症状,失神,吐き気,狭心痛,肩痛coat ン様ペプチド?1,2(GLP?1,?2)などが挙げられる.NTは,強力なhunger pain,転倒など,血圧低下,脳環流低下に起因する症候が主 血管拡張作用,血圧低下作用を有し,ブドウ糖の経口摂取で分泌さである.臨床症候とPPHの程度との関連性についての知見はほぼ皆 れやすい.PPHを有するAFやParkinson病では健常者よりも食後無であり,個人差があり,個別に観察評価すべきである3).食事は の分泌度が大きく28),また,その血中濃度の増加度と血圧低下度とOHを増強する.PPHとOHの併存例はとくにParkinson病15)や多 の間に相関が認められている29).一方,SMSは,ブドウ糖よりも蛋系統萎縮症などのAF患者に多いが,どちらか一方しか見られない例 白質や脂質の経口摂取時に分泌されやすく,NTとは逆に昇圧作用をもおよそ数〜数十%存在する16, 17).Parkinson病では,PPHはOHに 示す.この作用はインスリンや各種消化管ペプチドの分泌を抑制す先行しやすいと考えられる.これらの事実は,PPHとOHの病態が ることにより発揮される.GLP?1は,インスリン分泌を促進し,胃完全に共通したものでなく異なった点のあること示している.PPH 排出時間を遅延し,昇圧作用があり,このペプチドの分泌低下との病態には自律神経障害以外の消化管ペプチドホルモンなどの液性 PPHの関連が推測される.VIP,サブスタンス?P,ブラデイキニン因子の関与も推測される. には血管拡張作用があるが,PPHにおける役割は否定的である.食PPHの臨床的意義について,高度なPPHは立ちくらみや失神を呈 事中に含まれる成分の違いにより分泌される消化管ペプチドの種類し,転倒,骨折を来し,さらには脳を含め諸臓器の機能障害をもた や量に差があることから,食事内容に依っては血圧変動が異なるこらす可能性がある.さらには基礎疾患の予後の悪化にも結びつく. とが推測される.PPHとOHが併存すれば,低血圧症状はいっそう出現しやすくなる. 2. 食事性低血圧の治療認知症では認知機能の増悪因子ともなりうる18, 19).食後の血圧低下 PPHの治療法には,食事療法,理学療法などの非薬物療法,およは血行動態的一過性脳虚血発作(transient ischemic attacks:TIA) び薬物治療がある3〜5).PPHの治療効果についてのこれまでの知見はや脳梗塞の誘因となりうる20)ため,とくに脳血管の主幹動脈に狭窄 AFなどの一部の疾患や高齢者にほぼ限られたもので,対象となったや閉塞がある例では注意が必要である.高齢者では,転倒・骨折や 例数もそれほど多くはない.また,急性効果をみた結果がほとんど心血管イベントの発現,高死亡率との関連が強く,寿命短縮の独立 で,長期的な有効性や安全性を検討したものは稀である.非薬物療因子となる. 法,薬物治療にかかわらずEBMの観点からのRCTなどで有効性や3) 食事性低血圧の病態 安全性が確認された治療法は少なく,多くは経験的使用によるもの食物の栄養成分の中で,血圧低下が最も早く生じるのは,ブドウ であり,確立されていない3〜5).糖,炭水化物である.水分のみでは血圧低下は生じない.同カロ 1) 治療原則リー同浸透圧に調整した食物成分毎の血圧に及ぼす影響を調べた結 治療法では,PPHの病態に対応した特定の方法を選択することが果,血圧低下効果はブドウ糖が最大であり,次いで脂質,蛋白質の 理想的である.しかし,実際上はすべて個々の症例で原因や病態を順であったことが明らかにされている3).ブドウ糖による血圧低下の 明らかにすることは容易なことではなく,また種々の要因が複雑に度合いが蛋白質に比較して大きいのは,心拍出量の増加が乏しく, 絡んで存在することも少なくない.PPHの治療は,PPHの病態にお一方門脈血流および下肢血流の増加が大きいことによると考えられ いて神経原性OHと共通した要因があることから,OHの治療内容とる21).PPHの血行動態学について,自律神経障害を呈する多系統萎 かなり重なっているが,PPH特有のものも存在する.縮症などの中枢性神経疾患と末梢性自律神経ニューロパチーとの比 治療の原則は,非薬物療法の導入を先決として,次に薬物治療を較検討では,前者は血圧低下が高度で遷延したが,これに対して後 併用する(Table 2,Table 3).両者の治療を効果的にするために者では軽度で一過性であった22).前者では副交感神経機能障害に加 は,個々の患者においてわかりやすい説明と生活上の注意など指導えてα系とβ系両者の交感神経機能障害が強く,一方後者ではα系交 が大切である.治療法の選択では,治療の原則に則り,今回提案す感神経機能を除いた自律神経機能が比較的保存されていることが, る治療の流れ(Fig. 1)に従うのが望ましい.両者のPPHの程度や内容に違いがある理由と推定できる. 2) 非薬物療法微小神経電図検査(法)microneurographyを用いた検討で,AF a) 血圧低下増強因子への対応患者では健常者とは異なってブドウ糖の経口摂取後に交感神経活動 PPHの危険因子(脱水,発熱,高熱環境,長期臥床,運動不足,が賦活化されず,交感神経障害がPPHの要因であることが確認され 起立保持,高炭水化物食30),飲酒,大食,貧血,高血圧,神経疾患,た23).高齢者においても同様にブドウ糖摂取後の交感神経活動の賦 糖尿病など疾患の合併,血液透析,薬物(降圧薬,利尿薬31)などの活化が減弱している結果が得られている24). 使用,高齢など)について,患者に説明し,それらへの具体的対処インスリンの役割は明らかでない25).ブドウ糖の静注では,経口 法について生活指導することが先決である.正しく実施されている摂取に比較して,血清インスリンの増加は高度であったにもかかわ か,時々確認する.脱水には水分のみでなくミネラルの補給も欠からず血圧低下は生じず,PPHにおけるインスリン単独の関与は否定 せない.血液透析中の食事は避ける.PPHやOHのある患者では同的である26).食後の血中ノルアドレナリンの増加は,健常者では有 時に臥位高血圧を合併することは少なくないので,夜間高血圧が高神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)665標準的神経治療:自律神経症候に対する治療33+ ????ホ??? Fig. 1 食事性低血圧の治療の流れ食事性低血圧(PPH)の判定・評価で症状を伴うものであれば,直ぐに治療を開始す??≧ RU?DQG ?? 33+ ↓?≧ DQG b? 33+ る.無症状でも,PPHの程度が高度であれば治療するのが望ましい.まずは,I. 非薬物療法が選択され,それが無効であればII. 薬物治療を併用する.非薬物療法およ33+ ? ? ? ??ほ? び薬物治療では,それぞれにおいて複数の,? ?????? 治療法や薬物が組み合わせて使用可能で???? ある.?????????????????↓? ??,,? ????? ?????????????????????????度であれば夜間は頭部を数十度高くして就寝する. 齢者において確認されており,PPHの有望な治療法として注目されb) 食事療法 る5).胃血管反射‘gastrovascular reflex’による交感神経機能の賦食事療法は,PPHの治療法としての独自性が高く,重要で基本と 活化や潜在的脱水の改善効果などが推測されている42, 43)が,飲水になる4).食物の消化吸収を遅延させる方法および胃壁の伸展を増す方 よる昇圧機序の詳細は不明である.本邦では常温の水道水が使用で法が追求される.ブドウ糖や炭水化物の摂取は日中は少なくし,夕 き,費用のかからない簡便な治療法として期待されるが,長期的治食に多く配分する.大食,一気食いは避け,頻回に分割して摂取す 療としての有効性や安全性についての知見はない.至適飲水量の設る32).食事の温度は高すぎないようにする33).冷食は胃排出時間を遅 定,水中毒など副作用の問題など,検討課題は少なくない.らせる作用がある34).飲酒は臥位及び起立時の血圧を低下させる35) d) 理学療法・運動ので禁止し,昇圧効果が期待できるコーヒーや紅茶を摂るようにす 両下肢全体への弾性包帯・靴下の装着は有効である44).腹帯の併る.胃排出時間が短縮している病態や十二指腸に直接栄養液を注入 用でいっそう効果が高まる.OH合併例では是非使用すべきである.すると血圧が低下しやすい36)ため,経管栄養液の注入速度を速すぎ 施設入所中のPPHを有した高齢者では食後10分間の歩行中に有意なないように調節する.入浴直後や暑い部屋での食事摂取は避ける. 血圧上昇が認められている45)が,歩行中止後血圧はすぐに低下し発熱に対して早めに対処する. PPHは持続する.一方,AFなどの患者においては,臥位での運動グアガムguar gumはグア豆から抽出される水溶性の食物繊維の一 によるPPH改善効果は認められない(無作為非盲検試験)46).AF患種で,糖尿病,高コレステロール血症,便秘,高血圧,肥満の予防 者においては運動時/後低血圧が稀ではないことからも,食後の運動や改善を期待して用いられている.本邦ではサプリメントやお茶と が妥当であるか否かは未解決問題といえる.少なくとも食後安静起しても一般に市販されている.恐らく胃排出時間および消化管から 立の保持は避けるべきである.リハビリテーション実施時刻とも絡の糖の吸収の遅延作用によりPPHに有効である.高齢者や糖尿病患 んで重要と思われるが,症例毎で注意深い観察を基に判断する必要者のPPHに9g37, 38)(無作為非盲検試験)あるいは4g39)(無作為単盲 がある.検試験)のグアガムが有効であった.副作用として下痢,鼓腸,腹 3) 薬物治療痛などがある. PPHに対して有効とする薬物が報告されているが,RCTにより確c) 飲水 認されたものは少ない.多くはOHに使用されている薬物でもある食前の飲水350ml(非無作為非盲検試験)40),480mL(無作為非盲 が,一部,octreotideなどPPH独自と考えられる治療薬が知られる.検試験)41)による1時間以上にわたる昇圧効果42)がAF患者や高 実際上は,作用の異なる薬物を複数組み合わせて使用することが薦神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)666標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 2 食事性低血圧の非薬物療法 amineとの併用50)で用いられる.多数例での検討が必要である.避けること C Droxidopa(L?DOPS) 高炭水化物含有食事 Droxidopa(L?DOPS)は,ノルアドレナリンの前駆アミノ酸で, 大食 本邦で開発され販売に至り,Parkinson病やOHの治療薬として汎用 短時間での食事(一気食い) されている.本薬はAF患者でのPPHに対してもかさ上げ的効果が 経管栄養液の急速注入 主体であるが有効である(オープン試験)51).PPHへの有効性と安全性が,DL?DOPSではあるが,二重盲検試験(無作為プラセボ対照 高温食交叉試験)の結果52)によって裏付けされた.閉塞隅角緑内障,妊婦 高温環境下での食事には禁忌である.副作用には,食思不振など消化器症状,胸焼け, 飲酒頭痛などがある.本薬は第一選択薬となりうる. 脱水状態b) 血漿増量作用薬 立ち食い@ Vasopressin 食後の息こらえ(排尿,排便時) Arginine?vasopressin(AVP)は,点滴静注療法(0.3単位/分)で 食後の立位での排尿 AF患者の高度のPPHをほぼ完全に抑制できる(オープン試験)23). 食後の起立保持,歩行 抗利尿作用の他に,腹部内臓の細動脈の収縮作用(門脈血流の減少) 食直後の入浴 を介して効果が発揮されると考えられる.PPHの程度に応じて注入推奨されること 量が調節でき,効果がほぼ確実に期待できる治療法となる.静注療法 飲水(1回数百ml,とくに食前) であり,毎日使用しづらいのが難点である.1回1〜2単位の点鼻投与 ミネラルの摂取 法もある.本邦では,下垂体性尿崩症,食道静脈瘤出血に効能が認められている.冠動脈硬化,心不全,慢性腎炎には投与禁忌である. 食物繊維を多く摂るLysine?vasopressin(LVP)の点鼻もAVPとほぼ同様にPPHに高い 低温食効果が得られる53).Desmopressinは,血管の直接的収縮作用は弱く, 食事の少量頻回摂取臥位高血圧は出現しにくいのが利点とされる. 食事に時間をかけるA Fludrocortisone 数杯のコーヒー,紅茶,緑茶 Fludrocortisoneは硬質コルチコイドであり,血漿増量作用が主で 両下肢への弾性包帯・靴下の装着 あるが,ノルアドレナリンの末梢血管に対する収縮反応を増強させ 食事中・後の体位の工夫(脚交叉,足踏み,横臥) る作用もある.αアドレナリン受容体刺激薬との併用によって昇圧効果が高まり,とくに欧米ではOHの第一選択薬に位置づけられている.PPHの治療薬としても,第一選択薬として推奨される54).本邦められる.ほとんどの薬物は低血圧やPPHの保健適応が認められて では副腎機能不全に適応がある.内服薬で使用しやすい.いるものではない点に留意すべきである. 漸増が基本であり,重度高血圧,心不全,水中毒,電解質異常なa) 交感神経機能刺激薬 どの出現に注意すべきである.定期的血圧測定,血液検査などが必@ Dihydroergotamine 須である.Dihydroergotamineはαアドレナリン受容体刺激薬で,おもに末 c) 消化管ホルモン分泌抑制薬梢の静脈系に作用し内臓血管への影響は少ない.カフェインとの併 Somatostatinの長時間作用型注射薬octreotideのPPHへの有効性用で高齢者のPPHに軽度有効である(無作為プラセボ対照交叉単盲 は高い.最初,自律神経ニューロパチー患者において有効性が報告検試験)47)が,多系統萎縮症などのAF患者では無効48)であった. された55).AF患者48),高齢高血圧患者(無作為プラセボ対照交叉単A Midodrine 盲検試験)56)においても有効である.これらの薬剤はおもにインスα1受容体選択的刺激薬のmidodrineとβ1受容体選択的刺激薬 リンや消化管ペプチドの分泌を強力に抑制して内臓の血管抵抗を上denopamineとの併用は,前者の単独使用よりも,AF患者のPPHに げて血流を減少させる57)ことで昇圧効果を発揮する.Octreotide高い有効性を示す(オープン試験)49).食後の血管抵抗の増加,心拍 acetateは,本邦では先端巨大症や消化管ホルモン産生腫瘍を適応症数,心拍出量の増加が有意となり,即ちα系とβ系の交感神経機能が として使用されている.皮下注射であることが使用しづらく,吐き賦活化される結果,PPHが抑制される.この治療法は,somatosta- 気・嘔吐,下痢,腹痛,めまい,高血糖,QT延長,徐脈などの副作tinやoctreotideとは異なり,門脈血流の低下およびインスリンや消 用がある.化管ペプチドの分泌抑制を来さず,食後の内臓の生理学的状態を保 d) 糖吸収遅延作用薬つ点で,自然で理にかなっている.α系とβ系の両者の交感神経機能 αグルコシダーゼ阻害薬であるacarboseやvogliboseは糖の腸管でが障害されている場合には理想的治療法と言える.通常量での使用 の吸収を遅延し,恐らくインスリンや消化管ホルモンの分泌を低下では,副作用は少ない. させ,内臓血流を減少させることでPPHへの有効性58, 59)を発揮するB Amezinium と考えられる.高齢者において,二重盲検無作為交叉試験法で,Ameziniumはノルアドレナリンの不活性化を抑制して交感神経機 acarbose 100mgが蔗糖水の経口摂取60)および十二指腸への注入61)能を高める
接型交感神経作用薬である.単独使用やdihyderergot- 後の血圧低下に対して軽減効果が認められている(無作為交叉二重神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)667標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 3 食事性低血圧の治療として使用される薬物薬物 主な作用機序 用量・用法 推奨度I. 交感神経機能刺激薬 dihydroergotamine* αアドレナリン受容体刺激 3〜9mg/日,分3,経口 B midodrine* α1受容体選択的刺激 2〜8mg/日,分2,経口 B denopamine β1受容体選択的刺激 10mg/回(midodrineと併用) B amezinium* 間接型交感神経賦活作用 20mg/日,分2,経口 C1 droxydopamine(L?DOPS)* ノルアドレナリン前駆物質 300〜900mg/日,分3,経口 A II. 血漿増量作用薬 vasopressin 抗利尿ホルモン,血管収縮  arginine?vasopressin(AVP) 0.3単位/分/回,点滴静注 B  lysine?vasopress(LVP) 5〜10単位/回,点鼻 C1  desmopressin(DDAVP) 5〜20μg/回,点鼻,静注 C1 fludrocortisone 硬質コルチコイド 0.1〜0.3mg/日 分1,経口 C1 III. 消化管ホルモン分泌抑制薬 octreotide(ソマトスタチン誘導体) 消化管ホルモン分泌抑制 10〜50μg/回,2〜3回/日,皮下注(食前) B(0.4〜0.8μg/Kg) IV. 糖吸収遅延作用薬 acarbose αグルコシダーゼ阻害 150〜300mg/日,分3,経口(食直前) A voglibose αグルコシダーゼ阻害 600〜900μg/日,分3,経口(食直前) B V. その他 カフェイン アデノシン受容体拮抗 50〜250mg/回,経口 A indomethacin プロスタグランジンE2合成阻害 50〜75mg/回,経口 C1 protirelin(TRH誘導体) 交感神経緊張 0.5〜2mg/日,皮下注,筋注,静注 C1 vildagliptin ジペプチジルペプチダーゼ?4阻害 100mg/日,分2,経口 C1用法・用量は,これまでの知見および本邦での各保険適応疾患における使用法を基に設定した.食後よりも食前の使用で有効性が得られやすい.適宜増減して使用するが,原則漸増し,とくに適応外使用では注意が必要である.推奨度はAgency of Health Care Policy and Research(AHCRP)に基づいて評価された日本神経治療学会提示の基準に依った.*本態性低血圧,起立性低血圧などに保険適応がある.盲検試験).施設入所中の高齢者においてはacarbose50mgはABPM 制を目的に2型糖尿病に用いられており,下痢や鼓腸など消化器症状法で評価したPPHの63%に有効であった(非無作為交叉単盲検試 の副作用がある.解決すべき点はあるが,現在のところPPHの治療験)62).疾患では,PPHを有する純粋自律神経不全(PAF)で, 薬としては最良のものとされる5).acarbose100mg内服は,プラセボに比較して,食後の血圧は有意に e) その他高かった(無作為交叉二重盲検試験)63).多系統萎縮症のPPHに対し @カフェインても,acarboseの有効性が認められている(非無作為交叉単盲検試 Caffeineはアデノシン受容体拮抗薬であり,高齢者65)(無作為交験)64).Acarbose投与後,内臓血流増加作用があるGLP?2の分泌抑制 叉二重盲検試験)やAF患者(無作為コントロール交叉試験)66)の傾向がみられ,内臓血流増加の抑制がPPHの一因と推測される64). PPHに対して軽度ないし中等度の効果が認められている.作用機序一方,vogliboseについては,Parkinson病や多系統萎縮症の患者に としては,交感神経機能賦活作用やアデノシン受容体に拮抗した内於いて,voglibose200μgの内服によりブドウ糖の経口摂取後の血圧 臓血管の拡張抑制などが推定されている.PPHに有効なcaffeineの低下抑制作用が血中ニューロテンシンの分泌抑制と共に認められてい 必要量は50〜250mgであり,この量は,日常飲用しているコーヒーる(オープン単試験)59).αグルコシダーゼ阻害薬は,食後の高血糖抑 や紅茶(無作為コントロール平行試験,無作為交叉二重盲検試験),神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)668標準的神経治療:自律神経症候に対する治療緑茶68)(無作為コントロール交叉試験)65  67)では少なくとも数杯に当 orders of the Autonomic Nervous System  fifth edition  editedたる.高齢者においては二重盲検法によりその効果が否定された報 by Mathias CJ and Bannister R  Oxford University Press 告もあり,有効性の評価が一定していない.しかし,簡便かつ安価 2013  pp354?3704)長谷川康博:神経疾患における食事性低血圧―病態・治療―.で使いやすく,日常先ずは試みられるべきものとして推奨できる.自律神経 43 : 117?122  2006副作用には胃腸症状が多く,不眠,精神症状の出現や増悪には注意5)Trahair LG  Horowitz M  Jones KL : Postprandial hypoten-が必要である. sion : a systematic review. J Am Med Direct Assoc 15 : 394?A Indomethacin 409  2014IndomethacinはPPHに対する効果が認められた最初の薬物であ 6)Jansen RW  Lipsitz LA : Postprandial hypotension : epidemi-る69).本剤はプロスタグランジンE2合成阻害作用があり,PPHへの ology  pathophysiology and clinical management. Ann Intern有効性はおもに血管拡張の抑制効果によると考えられる.胃腸障害 Med 122 : 286?295  1995などの副作用のために長期的には使用しづらいが,低血圧が増悪し 7)長谷川康博:ブドウ糖負荷試験 自律神経機能検査第4版,日やすい感染症や発熱時に短期的に使用するには好都合である.消化 本自律神経学会編,文光堂,東京,2007,pp144?1488)Vloet LC  Smits R  Jansen RW : The effect of meals at differ-性潰瘍,重度高血圧,アスピリン喘息,重篤な肝,腎障害,妊婦にent mealtimes on blood pressure and symptoms in geriatricは投与禁忌である.patients with postprandial hypotension. J Gerontol A BiolB Protirelin Sci Med Sci 58 : 1031?1035  2003Protirelin tartrate(TRH誘導体)は,本邦で小脳性運動失調症 9)Puisieux F  Court D  Baheu E et al : Intraindividual reprodu-に使用されている.本薬は,交感神経緊張作用も知られ,OHに有効 cibility of postprandial hypotension. Gerontology 48 : 315?であり,PPHにおいても昇圧効果が期待できる70).多数例での検討 320  2002が必要である. 10)Luciano GL  Brennan MJ  Rothberg MB : Postprandial hypo-C 降圧薬 tension. Am J Med 123 : 281.e1?281.e6  2010食前の血圧が高いほどPPHが高度となりやすいため,高齢高血圧 11)長谷川康博:パーキンソン病 食事性低血圧―新たな血圧異常の臨床― 橋 昭監修,長谷川康博,古池保雄編,南山堂,患者のPPHの治療として降圧薬投与の試みがある(無作為交叉二重東京,2004,pp150?161盲検試験)71).食後血圧降下の減弱効果はそれほど高いものではなく,12)Vloet LC  Mehagnoul?Schipper DJ  Hoefnagels WH et al :高度の高血圧患者に限って慎重な投与が望まれる. The influence of low?  normal?  and high?carbohydrate mealsD Dipeptidyl peptidase?4阻害薬 on blood pressure in elderly patients with postprandial hypo-Dipeptidyl peptidase?4阻害薬のvildagliptinは2型糖尿病に使用 tension. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 56 : M744?M748  2001されるが,100mg/日(分2)の内服1週間後,糖尿病のない高齢高 13)長谷川康博,高城 晋:Levodopa内服により食事性低血圧・血圧例において,PPHの減弱効果が認められている72).本薬は, 起立性低血圧の増強を伴いめまいが誘発されたParkinson病のGLP?1の分解を阻害してその血中濃度を増加させるが,GLP?1の血 1例.神経内科 56 : 59?62  2002管収縮作用や胃排出時間の延長作用によりPPHが改善すると考えら 14)Ejaz AA  Haley WE  Wasiluk A et al : Characteristics of 100consecutive patients presenting with orthostatic hypoten-れる.他のdipeptidyl peptidase?4阻害薬による効果も期待できるsion. Mayo Clin Proc 79 : 890?894  2004が,多数例での検討が必要である.15)Umehara T  Toyoda C  Oka H : Postprandial hypotension inおわりに de novo Parkinson's disease : a comparison with orthostaticPPHの治療には非薬物療法および薬物治療が知られるが,EBM hypotension. Parkinsonism Relat Disord 20 : 573?577  2014の観点での高い有効性を示す治療法は少なく,また長期的な効果や 16)長谷川康博,古池保雄,白水重尚ほか:原発性自律神経不全症安全性についての検討はほぼ皆無な現状である.PPHの治療は,非 における食事性低血圧―起立性低血圧との関連性―.自律神経薬物療法を先行し,その後薬物治療を併用することが原則であり, 29 : 428?434  1992日頃の生活指導が大切である.可能な限りPPHの病態に応じた治療 17)Micieli G  Martignoni E  Cavallini A et al : Postprandial and法が試みられるべきである.非薬物療法では飲水が,薬物治療では orthostatic hypotension in Parkinson's disease. Neurology37 : 386?393  1987糖吸収抑制薬の使用が現実的であり,先ず推奨できる5).ここに提示18)Idiaquez J  Rios L  Sandoval E : Postprandial hypotension inする治療指針を基本的参考にして,患者毎に最適な治療が施されるAlzheimer's disease. Clin Auton Res 7 : 119?120  1997ことが望まれる. 19)長谷川康博,高城 晋,吉田眞理ほか:「痴呆を伴う筋萎縮性側索硬化症」と起立性低血圧―1剖検症例の呈示と前頭側頭型文   献 痴呆症例における自律神経障害についての考察―.自律神経1)Gladstone SA : Cardiac output and related functions under 38 : 160?164  2001basal and postprandial conditions. A clinical study. Arch In- 20)Kamata T  Yokota T  Furukawa T et al : Cerebral ischemictern Med 55 : 533?546  1935 attack caused by postprandial hypotension. Stroke 25 : 511?2)Seyer?Hansen K : Postprandial hypotension. Br Med J 2 : 513 19941262  1977 21)家田俊明,平山正昭,古池保雄ほか:自律神経機能不全症にお3)Mathias CJ  Jones K : Postprandial hypotension in autonom- ける食事性低血圧発現の病態(5)―蛋白質負荷とブドウ糖負ic disorders. In  Autonomic Failure. A Txtbook of Clinical Dis- 荷が血流動態に及ぼす影響.自律神経 30 : 535?540  1993神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)669標準的神経治療:自律神経症候に対する治療22)Hirayama M  Watanabe H  Koike Y et al : Postprandial hypo- guar attenuates the fall in blood pressure induced by glucosetension : hemodynamic difference between multiple system in healthy older adults. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 60 :atrophy and peripheral autonomic neuropathy. J Auton Nerv 940?946  2005Syst 43 : 1?6  1993 40)Deguchi K  Ikeda K  Sasaki I et al : Effects of daily water23)Hakusui S  Sugiyama Y  Iwase S et al : Postprandial hypo- drinking on orthostatic and postprandial hypotension in pa-tension : microneurographic analysis and treatment with tients with multiple system atrophy. 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Elsevier Science Publishers35)Chaundfuri KR  Maule S  Thomaides D et al : Alcohol inges- BV 1991  pp249?253.tion lowers supine blood pressure  causes splanchnic vasodi- 52)Freeman R  Young J  Landsberg L et al : The treatment oflatation and worsens postural hypotension in primary auto- postprandial hypotension in autonomic failure with 3 4?DL?nomic failure. J Neruol 241 : 145?152  1994 threo?dihydroxyphenylserine. Neurology 47 : 1414?1420 36)O'Donovan D  Feinle C  Tonkin A et al : Postprandial hypo- 1996tension in response to duodenal glucose delivery in healthy 53)Hakusui S  Takahashi A  Mano T et al : Administration ofolder subjects. J Physiol(Lond) 540 : 673?679  2002 vasopressin preparation therapy for postprandial hypoten-37)Jones KL  MacIntosh C  Su YC et al : Guar gum reduces post- sion as nasal drops. Adv Clin Neurosci 2 : 233?239  1992prandial hypotension in older people. 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させる末梢性抗コリン薬:propiverine,tolterodine,solifenacin,matter disease:WMD)が,近年,脳ドックの普及等により広く imidafenacinなどを投与する10  11)エビデンスレベルI.抗コリン薬注目されている.脳MRI画像でグレード4/9以上,体積>1.5mL以 の副作用として便秘(消化管M2 3受容体が関与),口渇(唾液腺M3上のWMDは,55歳以上一般人口の約10%(7.6?24%)に認められ 受容体が関与)があり,膀胱抑制が強いと残尿を来すこともある.る.WMDは高齢者に多く,脳卒中と同様に,動脈硬化の危険因子 抗コリン薬が,万一,血液脳関門(blood?brain barrier,BBB)を(喫煙,高血圧,脂質異常症,メタボリック症候群,頚動脈プラー 通過して中枢M1受容体等に結合した場合,認知機能を悪化させる懸ク,CAVI(脈波による血管硬化度),アンギオテンシン変換酵素遺 念がある12).抗コリン薬の中でoxybutyninは脂溶性が高く,BBBを伝子多型などを有するものに多い.病理では,虚血に伴う脱髄が認 通過しやすいため,認知症患者には薦められない12  13).一方,められる.WMDの症状として,(脳)血管性Parkinson症候群 imidafenacinなどの新しいOAB治療薬は,比較的BBBを通過しに(vascular parkinsonism),血管性認知症(vascular dementia)と くいと考えられる13).本邦ではまだ使用できないが,M3受容体に共に,近年,脳血管性失禁(vascular incontinence)をきたすこと 選択的なdarifenacinは,中枢に移行しても,認知機能に影響しにが知られるようになってきた.WMDは高齢者に非常に多いことか くいと考えられる.1人の患者に,認知症とOABがある場合は,どら,高齢者OABの原因として脳血管性失禁が注目される2). う対処したら良いだろうか?最近の報告によれば,認知症とOABWMDでの排尿症状の頻度として,夜間頻尿は75%と非常に高頻 がある26名に対して,donepezil 5mg/日に,末梢性抗コリン薬であ度であり,MRIでの4段階法に従うと,夜間頻尿はgrade 1で60%; るpropiverine 20mg/日を追加したところ,mini?mental state ex-grade 2で58%;grade 3で93%;grade 4で91%と,gradeが上がる amination(MMSE),Alzheimer's Disease Assessment Scale cog-ほど増加する.同様に,切迫性尿失禁は40%にみられ,grade 1で nitive subscale(ADAScog)の増悪を伴わず,OABが改善した14).33%;grade 2で25%;grade 3で57%;grade 4で45%と,gradeが 動物実験による検討でも,2剤の薬理学的相互作用は少ないとされ上がるほど増加する.これらのOABの頻度は,歩行障害,認知症よ ている.最近発売された,アドレナリンβ3受容体(膀胱弛緩作用がりも高頻度であった.すなわち,WMDでOABが初発症状になる場 あり,残尿もきたしにくいとされる)に選択的なmirabegronも,合があると思われ,注意が必要と考えられる2).これらの患者にウロ 認知機能に影響しにくいと考えられる15).ダイナミクス(urodynamics:尿流動態検査,尿道カテーテルを通 OAB治療の第一選択である末梢性抗コリン薬が,副作用のため使してゆっくり注水し,蓄尿排尿を再現するもの)を行うと,排尿筋 用できない,または効果が充分でない場合,様々な治療の試みがな過活動(detrusor overactivity:DO,患者の意志と無関係に膀胱が されている16)(以下,本邦で認可されていない薬剤も含まれる).末勝手に収縮してしまうもの)がみられ,正常では500ml程の膀胱容 梢性薬物の中でphosphodiesterase(PDE)5 inhibitorは,cGMP量が100?200mlに減少している. を介して一酸化窒素NOを増加させ,平滑筋を弛緩させる作用があWMDでOABをきたすのはなぜであろうか? 排尿には脳の様々 る.勃起機能障害(electile dysfunction:ED)治療薬として開発さな部位が関与していると考えられるが,脳卒中の症例から考えると れたsildenafil,tadalafil,vardenafilが,最近,OABも改善するこ特に,前頭葉が深く関わっていると考えられる.WMDは,MRI上 とが報告された17).ただし,PDE 5 inhibitorは,起立性低血圧を増の病変は広汎であるが,病理学的には前頭葉で高度に認められ3),脳 悪させる可能性があるので注意が必要である.血流も前頭葉で高度に低下している4).前頭葉については,古くから 中枢性薬物の中で,抗うつ薬の副作用として排尿困難・尿閉が以排尿との関連性が指摘されており,AndrewとNathanらは1964年 前から知られている.縫線核セロトニン系は,5?HT1A受容体を介に,前頭葉内側面で帯状回を含む部位の血管障害,腫瘍で排尿障害 して下行性に排尿反射を抑制しており18  19),serotonin norepinephr-をきたすと報告した5).近年の機能的脳画像による検討でも,前頭 ine reuptake inhibitor(SNRI)であるmilnacipranは,抗コリン薬葉・帯状回での賦活が報告されている6).前頭葉病変でOABを呈す が禁忌である重症筋無力症その他の神経疾患のOABに対して有用でることが多いことから,総じて,前頭葉は排尿反射に抑制的に作用 あった20).慢性疼痛に使用されているtramadol/acetaminophen合神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)672標準的神経治療:自律神経症候に対する治療剤は,mu?type opioidとSNRIの性質を併せ持つ薬剤である.mor- が多いが,OAB(48?55%)もしばしば同時にみられる31).これらのphineなどのopioid製剤の副作用として,排尿困難・尿閉が以前から 患者にウロダイナミクスを行うと,排尿筋低活動(detrusor under-知られている.中脳水道灰白質opioid系は,mu?type,delta1 type activity,排尿企図時に膀胱が充分に収縮しないもの)が48%にみらを介して下行性に排尿反射を抑制していると考えられており21), れ,30ml以上の残尿が57%にみられた(平均残尿量102.9ml).残tramadolは神経障害に伴うOAB患者に有用と報告されている22).抗 尿は糖尿病の罹病期間に伴って増加する傾向がある.さらに,蓄尿てんかん薬のgabapentinは,欧米では神経因性疼痛,不安,睡眠障 期の膀胱知覚低下が32%にみられた31).害などに対しても使われている.Gabapentinは,前シナプスでカル 糖尿病で排尿筋低活動,膀胱知覚低下をきたすのはなぜであろうシウムの流入を抑制し,神経伝達物質の遊離を抑え,また,脳内 か? 排尿筋低活動,膀胱知覚低下はそれぞれ,膀胱を支配する運動GABA量を増加させ,GABA神経機能を維持・増強させる.Gaba- 神経(骨盤神経)および感覚神経(骨盤・陰部・下腹神経など)のpentinは,神経障害に伴うOAB患者に有用と報告されている23). 障害を示唆する.病理学的に,糖尿病患者では膀胱壁内神経(細径Pregabalinは,gabapentinと同様,中枢神経内でカルシウムの流入 線維)の軸索膨化・変性がみられ32),膀胱壁のコリン性線維が減少を抑制し,神経伝達物質の遊離を抑える薬物である.Pregabalinは, している33).糖尿病性膀胱障害は,四肢の痛覚低下(細径有髄Aδ・欧米では抗てんかん薬として広く用いられているが,本邦では末梢 無髄C線維),運動・感覚神経伝導速度低下・低振幅(大径有髄神性神経障害性疼痛に対して用いられる.Pregabalinも,OAB患者に 経)34),交感神経性皮膚発汗反応低下(細径有髄Aδ・無髄C線維)と有用と報告されている24). 相関する35).一方,膀胱知覚低下が,過伸展膀胱損傷を引き起こし,経口薬物抵抗性のOAB患者に対して,残尿を同時に有している場 2次的に膀胱運動線維が障害された可能性もある.ストレプトゾトシ合(脊髄疾患による排尿障害など),抗コリン薬の自己導尿カテーテ ン誘発糖尿病ラットでは,著明な多尿と頻尿が良く知られており,ルからの膀胱内注入が有効な場合がある25).難治性OAB患者に対し これらのラットでは膀胱の神経線維,平滑筋,上皮に形態的・機能て,自己導尿施行中の場合,膀胱拡大術が有効である26  27).さらに, 的変化が生じる.その機序として,ブドウ糖・ポリオール代謝の変欧米ではpulse generator(ペースメーカー)埋め込み型S3根刺激 化,膀胱過伸展,血管障害による虚血,酸化ストレス,膀胱求心線治療(neuromodulation)が認可され,難治性OAB患者に対して行 維?後根神経節における神経成長因子の軸索輸送の障害が指摘されてわれている28). いる36).最近の研究では,末梢神経障害の一部で,括約筋弛緩不全A型ボツリヌス毒素は,SNAP?25(SNARE蛋白の一つで,コリ も伴うことが明らかになってきた37).ン作動性運動神経終末でのアセチルコリンの開口分泌に関与)を選 膀胱知覚が低下している場合,過伸展を防ぐため,膀胱内に400?択的に阻害し,骨格筋を麻痺させる神経毒である.A型ボツリヌス 500ml以上溜めないように定時排尿を指導する.膀胱知覚低下は,毒素は,顔面痙攣,痙性斜頚,痙縮に対して用いられている.欧米 一旦出現してしまうと,一般に回復は難しい.Imidapril HClは降圧では,多汗症に対して用いられ,Parkinson病の流涎に対しても耳 薬であり,アンギオテンシン転換酵素/キニナーゼII阻害作用を有す下腺内注射が試みられている.これは,分泌腺を支配するコリン作 る.このため,末梢/中枢でのサブスタンスPを増加させ,気道感覚動性交感神経終末に対する効果である.同様に,コリン作動性副交 の亢進による咳がみられる場合がある.これを利用して,高齢者の感神経終末に対して,A型ボツリヌス毒素の膀胱平滑筋内注射が行 誤嚥を治療する試みが報告されている.最近,imidapril HClが膀胱われ,神経障害に伴うOAB患者に有効である29).その他,下腹部の 知覚低下を改善させることが報告された38).干渉低周波,下半身皮膚の電気刺激,鍼灸,会陰部の磁気刺激が行 100ml以上の残尿に対して,まず清潔間欠導尿(clean  intermit-われ,OAB患者にある程度有効とされる30). tent catheterization, CIC)を指導するエビデンスレベルII 39).2. 残尿・尿閉〜糖尿病性ニューロパチーなど CICは残尿100mlに対して1日1回,200mlに対して1日2回行うよ国民成人の約10%が糖尿病を有しているといわれ,厳格な血糖コ う指導する.夜間多尿があり頻回のCICが困難な時は,ナイトバントロールを行っても,糖尿病性ニューロパチーの進行を止めるこ ルーン(間欠式バルーンカテーテル)を併用すると良い.神経疾患にとは困難ともいわれる.糖尿病性ニューロパチーの成因として,代 伴う残尿に対しては,なるべくウロダイナミクスを施行し,排出障害謝障害(アルドース環元酵素によるポリオール経路の亢進など)と の機序を明らかにすることが望ましい.ウロダイナミクスが施行でき微小血管障害(基底膜の肥厚,内皮の膨化など)が良く知られてい ない時,尿道抵抗を減少させるα交感神経遮断薬を開始する.薬剤とる.糖尿病性ニューロパチーでは,大径線維が障害されると,四肢 して,urapidil(受容体非選択的),naftopidil,tamsulosin(尿道選の腱反射消失,遠位部主体の筋力低下,歩行時ふらつき(深部感覚 択的)などがあるエビデンスレベルII 40).起立性低血圧のある患者障害による)がみられ,Aδ・C線維などの細径線維が障害されると, に,受容体非選択的薬剤を投与すると,尿道のα1A/D受容体と末梢表在感覚低下・しびれ,排尿障害を含めた自律神経障害をきたす. 血管のα1B受容体を同時に遮断してしまい,起立性低血圧を増悪させ糖尿病における排尿障害の頻度は報告によってかなり差があり, るので,注意が必要である.逆に,起立性低血圧に対する(受容体非2?83%と報告されている.無自覚の糖尿病患者でも,検査上の異常 選択的)交感神経刺激薬は,尿道のα1A/D受容体と末梢血管のα1Bが43?87%にみつかったとの報告もある.その理由の一つとして, 受容体を同時に刺激するため,尿閉をきたす可能性がある41).末梢性疾患では,中枢性疾患と異なり,求心線維が同時に障害され 排尿筋低活動に対して,コリン作動性薬物であるbethanechol HCl,るため,患者の自覚症状になりにくいことが考えられる.その場合, distigmine,pyridostigmineなどをもちいるエビデンスレベルIV 42〜44).残尿があっても患者に余り自覚されず,高度な場合,尿閉状態に distigmineは末梢性抗コリンエステラーゼ薬であり,重症筋無力症なっても痛みが全くなく,高齢女性で下腹部の腫瘤として受診する の治療薬でもある.コリン作動性ニューロンは,α運動ニューロンこともある.排尿症状として,尿勢の低下/排尿時間の延長(71%) として,仙髄オヌフ核を含めた脊髄前角,脳幹部運動諸核に広く分神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)673標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Fig. 1 (説明は次頁へ)布しており,その受容体はニコチン性受容体である.副交感神経の 組み合わせや,多発性脳梗塞のOABに対して抗コリン薬を使用中に節後線維もコリン作動性であり,その受容体はムスカリン性受容体 効きすぎてしまった時などにもみられる.脊髄疾患,多系統萎縮症である.ウブレチドは,神経平滑筋接合部でのアセチルコリン濃度 では,さらに排尿筋括約筋協調不全(括約筋が弛緩しないもの,を高めることにより,排尿筋低活動を改善させる.一方,脊髄中間 detrusor?sphincter dyssynergia:DSD)を伴う場合もある.これ外側核に分布する自律神経節前ニューロンもコリン作動性であり, らの場合,残尿の治療をまず行い,CICを指導しながら抗コリン薬胸腰髄では交感神経節内のアドレナリン作動性ニューロンに結合し を追加投与すると良い39 46  47).ている(受容体は主にニコチン性).急性自律神経ニューロパチー おわりには,神経性ニコチン性アセチルコリン受容体に対する自己免疫疾患 排尿障害の治療は,エビデンスレベルの高い大規模研究がまだ少であり,尿閉と起立性低血圧を同時にきたす.pyridostigmineは, なく,今後の研究が期待される.このうち,OABに対して抗コリン自律神経節前ニューロンを刺激することにより,尿閉と起立性低血 薬,残尿・尿閉に対してCIC,α交感神経遮断薬,コリン作動薬を組圧を同時に改善する場合がある44).排尿筋低活動に対して,欧米で み合わせながら投与することが勧められる.排尿障害の治療を積極はpulse generator埋め込み型S3根刺激治療(neuromodulation) 的に行い,患者の生活の質を向上させることが望まれる.が行われ,有効と報告されている28). 後記3. 過活動膀胱(OAB)と残尿が同時にみられる場合〜脊髄疾患, 本稿脱稿後,Parkinson病/Parkinson症候群の排尿障害について多系統萎縮症など の国際ガイドライン48)が出版された.その中では@2016年時の文脊髄疾患,多系統萎縮症などでは,OABと残尿が同時にみられ 献レビュー,AParkinson病の診断がついている患者の排尿障害のる.ウロダイナミクスでは,蓄尿期の排尿筋過活動と,排出期の膀 診療フローチャート,B歩行障害(Parkinson症候群)と排尿障害胱麻痺(排尿筋低活動)がしばしば同時にみられる(detrusor を同時に有する患者をどのように診療すると良いかのフローチャーhyperactivity with impaired contraction:DHIC)45).多系統萎縮症 トが示されている.このうちBのフローチャートをFig. 1に掲載すでの排尿障害の病態については,既報告を参照されたい46  47).DHIC るので参照されたい.と同様の病態は,多発性脳梗塞と腰椎症/糖尿病性ニューロパチーの神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)674標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Fig. 1 排尿障害と歩行障害がある高齢者の診療フローチャート 神経疾患の鑑別診断は,歩行障害を扱う神経内科医が行うことが多い.一方,下部尿路機能障害と歩行障害の両方がある患者さんが,泌尿器科外来を最初に受診することは少なくないものと思われる.その際,泌尿器科医も,ある程度の神経疾患の鑑別法を知っておくと良いと思われる.泌尿器科医と神経内科医が協力して患者さんの診療にあたることが,患者さんの生活の質(quality of life,QOL)を高めることにつながると思われる. 高齢者の歩行障害/転倒(Parkinson症候群,左右差のない緩徐・小刻み歩行)はしばしば下部尿路症状(lower urinary tract symptom,LUTS),特にOABを伴う.その理由は十分に明らかでないが,同じ脳の病変(前頭前野,大脳基底核など)が,同時に歩行障害とOABをきたすことが知られるようになってきた. 下部尿路機能障害と歩行障害がある高齢者では,まずコモンな泌尿器科疾患の有無を診断し対処する.これらの中で,50歳以上の男性患者の場合,前立腺肥大の有無を,超音波前立腺計測(正常<20ml,30ml位から典型的な排尿困難・頻尿症状を呈する),膀胱鏡,前立腺特異抗原などを行って確認する.出口部閉塞は,ウロダイナミクスでの閉塞パターンで確認できる.同様に,50歳以上の女性患者では,腹圧性尿失禁の有無を問診する(咳,笑う,急に立ち上がるなどの腹圧動作で尿失禁がみられる).腹圧時膀胱尿道造影(腹圧時の骨盤底の下降と膀胱尿道角の開大),腹圧負荷ウロダイナミクスで確認できる.排尿日誌(排尿量と症状を24時間で記載するもの)を行うと,多尿(一日尿量が3000ml以上),夜間多尿(夜間尿量が一日の33%以上)が確認できる. 次に(または上記の前に),残尿測定を超音波(携帯型超音波残尿測定器〜ブラダーマネージャーBVI6100など)またはカテーテルで行う.コモンな泌尿器科疾患がないにもかかわらず,多量(100ml以上)の残尿がある場合は,末梢性の神経因性膀胱が考えられる.これらの中で,コモンな末梢神経疾患として,糖尿病性ニューロパチー(末梢神経炎)と,腰椎症がある.糖尿病性ニューロパチーの典型例では,左右差のない両足先のしびれがみられ,血糖,神経伝導検査,ウロダイナミクスでの膀胱知覚低下により確認できる.腰椎症は,一側下肢後面から尻(サドル領域)にかけてのしびれがみられ,腰椎MRIで確認できる.脊髄疾患(多発性硬化症など)では,しびれ・歩行障害がなく,残尿のみをきたすことは稀である. これらが否定された場合,多系統萎縮症(multiple system atrophy?parkisonian type,MSA?P,Parkinson型)の可能性がある.Parkin-son病(Parkinson disease:PD)とMSA?Pの歩行障害は区別が難しいことが少なくない.しかし,PDと異なり,MSA?Pでは頚部前屈,足のジストニア,錐体路徴候,下部尿路以外の自律神経症候(起立性低血圧,睡眠時無呼吸など)がしばしばみられ,脳MRIでの被殻のスリットサイン,橋のクロスサイン,小脳萎縮により確認できる.MSAの頻度は少ない(★). 多量の残尿がない場合,LUTSの主体はOABと考えられ,OABを伴うParkinson症候群の鑑別を行う.これらの中で,安静時振戦はPDで特徴的にみられる.認知症を伴う場合,Lewy小体型認知症が病名となる.便秘,大人の寝言(レム睡眠行動異常)をしばしば伴い,嗅覚低下が一部の患者にみられる.脳DAT(dopamine transporter scan)SPECT(感度・特異度85%程度),心筋MIBG(metaiodobenzylguanidine)シンチグラフィー(感度・特異度90%程度)で確認できる.PDの頻度は中等度である(★★). 振戦がない場合,上半身の動きの乏しさ(小声/仮面様顔貌/手の使いにくさ)があるとMSAその他の変性疾患の可能性が高い.MSAは,初期(発症から2年以内)には残尿がみられず,その後多量の残尿・尿閉に至ることが多い.変性疾患の1つである進行性核上性麻痺(progres-sive supranuclear palsy,PSP)は,核上性眼球運動障害(呼んでも目線が合わないなど),認知症をしばしば伴う.MRIでの中脳萎縮(ハチドリサイン,皇帝ペンギンサイン)により確認できる.PSPの頻度は少ない(★). 上半身の動きの乏しさがない場合,非変性性の下半身のParkinson症候群が考えられ,開脚をしばしば伴う.代表的な疾患は白質型多発性脳梗塞(white matter disease,WMD,かくれ脳梗塞ともいわれる)である.WMDの3徴として,(脳)血管性Parkinson症候群,(脳)血管性認知症,(脳)血管性尿失禁があり,尿失禁の前にOABの時期が通常みられる.進行すると,感情失禁,誤嚥性肺炎もみられる.MRIでの白質病変により確認できる.WMDの頻度は多い(★★★).WMDと鑑別を要する疾患として正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus,NPH)がある.ベッドサイドでの3徴はWMDと区別が難しく,MRI前額断での脳室拡大,穹窿部圧排,シルビウス裂開大により確認できる.NPHの頻度は少なく(★),WMDの1/10程度とされる.しかし,シャント手術で改善することから,見落とさないようにする必要がある.さらに稀な疾患,フローチャートに当てはまらない症例もあるが,まずこれらに留意すると良いと思われる.文   献 and disturbances of micturition and defaecation. 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Acta Neurol Scand 115 : 174?180  2007 tion modulates cortical control of urinary bladder in Parkin-4)Hanyu H  Shimuzu S  Tanaka Y et al : Cerebral blood flow son's disease. Brain 129 : 3366?3375  2006patterns in Binswanger's disease : a SPECT study using 9)Sakakibara R  Tateno F  Kishi M et al : Pathophysiology ofthree?dimensional stereotactic surface projections. J Neurol bladder dysfunction in Parkinson's disease. Neurobiol DisSci 220 : 79?84  2004 46 : 565?571  20125)Andrew J  Nathan PW : Lesions of the anterior frontal lobes 10)Madhuvrata P  Singh M  Hasafa Z et al : anticholinergic神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)675標準的神経治療:自律神経症候に対する治療drugs for adult neurogenic detrusor overactivity : a systemat- outcomes of augmentation ileocystoplasty in patients withic review and meta?analysis. Eur Urol 62 : 816?830  2012 spinal cord injury : a minimum of 10 years of follow?up. BJU11)Marinkovic SP  Rovner ES  Moldwin RM et al : The manage- Int 109 : 1236?1242  2012ment of overactive bladder syndrome. BMJ 344 : e2365  2012 28)Lay AH  Das AK : The role of neuromodulation in patients12)Sakakibara R  Uchiyama T  Yamanishi T et al : Dementia with neurogenic overactive bladder. Curr Urol Rep 13 : 343?and lower urinary dysfunction : with a reference to anticholi- 347  2012nergic use in elderly population. Int J Urol 15 : 778?788  29)Sussman D  Patel V  Del Popolo G et al : Treatment satisfac-2008 tion and improvement in health?related quality of life with-13)Chancellor M  Boone T : Anticholinergics for overactive blad- onabotulinumtoxinA in patients with urinary incontinenceder therapy : central nervous system effects. CNS Neuro- due to neurogenic detrusor overactivity. Neurourol Urodynscience & Therapeutics 18 : 167?174  2012 32(3) : 242?249  201214)Sakakibara R  Ogata T  Uchiyama T et al : How to manage 30)Choe JH  Choo MS  Lee KS : Symptom change in womenoveractive bladder in elderly individuals with dementia? A with overactive bladder after extracorporealmagnetic stimu-combined use of donepezil  a central AChE inhibitor  and pro- lation : a prospective trial. Int Urogynecol J Pelvic Floor Dys-piverine  a peripheral muscarine receptor antagonist. J Am funct 18 : 875?880  2007Geri Soc 57 : 1515?1517  2009 31)Yamaguchi C  Sakakibara R  Uchiyama T et al : Overactive15)Traynor K : Mirabegron approved for overactive bladder. 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Urology 59(Supplement 5A) : urol Urodynam 18 : 639?645  199930?36  2002 35)Soylu A  Akinci A  Yilmaz R et al : Sympathetic skin respons-19)Ito T  Sakakibara R  Nakazawa K et al : Effects of electrical es in type1 diabetic children:relationship tp urodynamic find-stimulation of the raphe area on the micturition reflex in ings. Neurourol Urodynam 25 : 243?248  2006cats. Neuroscience. 142 : 1273?1280  2006 36)Yoshimura N  Chancellor MB  Anderson KE et al : Recent ad-20)Sakakibara R  Ito T  Uchiyama T et al : Effects of milnaci- vances in understanding the biology of associated bladderpran and paroxetine on overactive bladder due to neurologic complications and novel therapy. BJU International 95 :diseases : a urodynamic assessment. Urol Int 81 : 335?339  733?738  20052008 37)Takahashi O  Sakakibara R  Tsunoyama K et al : Do sacral/21)Nagasaka Y  Yokoyama O  Komatsu K et al : Effects of opioid peripheral lesions contribute to detrusor?sphincter dyssyner-subtypes on detrusor overactivity in rats with cerebral in- gia? LUTS 4 : 126?129  2012farction. Int J Urol 14 : 226?231  2007 38)Sakakibara R  Yamaguchi C  Yamamoto T et al : Imidapril 22)Safarinejad MR  Hosseini SY : Safety and efficacy of trama- an angiotensin?converting enzyme inhibitor  can reverse lossdol in the treatment of idiopathic detrusor overactivity : a of bladder sensation. J Neurol Neurosurg Psychiatry 77 :double?blind  placebo?controlled  randomized study. Br J 1100?1101  2006Clin Pharmacol 61 : 456?463  2006 39)Fowler CJ  Panicker JN  Drake M et al : A UK consensus on23)Carbone A  Palleschi G  Conte A et al : Gabapentin treat- the management of the bladder in multiple sclerosis. Post-ment of neurogenic overactive bladder. 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Clin26)Khastgir J  Hamid R  Arya M et al : Surgical and patient re- Auton Res 13 : 51?53  2003ported outcomes of‘clam’augmentation ileocystoplasty in 42)Yamanishi T  Yasuda K  Kamai T et al : Combination of aspinal cord injured patients. Eur Urol 43 : 263?269  2003 cholinergic drug and an alpha?blocker is more effective than27)Gurung PM  Attar KH  Abdul?Rahman A et al : Long?term monotherapy for the treatment of voiding difficulty in pa-神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)676標準的神経治療:自律神経症候に対する治療tients with underactive detrusor. Int J Urol 11 : 88?96  2004 IV 消化管機能異常(便秘も含めて)43)Barendrecht MM  Oelke M  Laguna MP et al : Is the use ofparasympathomimetics for treating an underactive urinary はじめにbladder evidence?based? BJU Int 99 : 749?752  2007自律神経症候としての消化管機能異常は,消化管運動障害に伴44)Yamamoto T  Sakakibara R  Yamanaka Y et al : Pyridostig-う症候がほぼ相当すると考えられる.代表的なものは,嚥下障害,mine in autonomic failure : can we treat postural hypoten-sion and bladder dysfunction with one drug? Clin Auton Res 逆流症状,消化不良(dyspepsia),下痢,便秘などであるが,腹痛,16 : 296?298  2006 食欲不振なども消化管の機能的異常に由来する場合も多く,広い意45)Yamamoto T  Sakakibara R  Uchiyama T et al : Neurological 味では自律神経症候に含まれる.diseases that cause detrusor hyperactivity with impaired 上部消化管では,潰瘍や腫瘍などの器質的粘膜病変がないもの,contractile function. Neurourol Urodynam 25 : 356?360  2006 生化学的および内分泌学的異常がないものについては,古くは胃下46)Ito T  Sakakibara R  Yasuda K et al : Incomplete emptying 垂,胃アトニー,胃痙攣などに分類され,最近まで慢性胃炎に伴うand urinary retention in multiple system atrophy : when 上腹部愁訴,不定愁訴の範疇に入れられていたが,1988年のRomedoes it occur and how do we manage it? Mov Disord 21 :委員会の提言に従い機能性dyspepsia(functional dyspepsia:FD816?823  2006あるいはnon?ulcer dyspepsia;NUD)として取り扱われることが47)Sakakibara R  Uchiyama T  Yamanishi T et al : SphincterEMG as a diagnostic tool in autonomic disorders. Clin Auton 多くなった.また,下部消化管の慢性の下痢,便秘症状は,感染症Res 19 : 20?31  2009 や炎症性超疾患などを除けば,過敏性腸症候群(irritable bowel48)The Neurourology Promotion Committee in The Internation- syndrome:IBS)の範疇にはいるものが多い.Rome委員会は,こal Continence Society : A guideline for the management of の両者をまとめて,消化器症状を呈しながらその病態を説明しうるbladder dysfunction in Parkinson's disease and other gait 明らかな所見を同定できないものを,機能性消化管障害(functionaldisorders. Neurourol Urodyn 35 : 551?563  2016 gastrointestinal disorders:FGIDs)として取り扱うことを提唱し,諸外国ではそのように分類される場合も多くなっている.しかし,いうまでもないが,症状が強いあるいは継続する際には,胃,十二指腸潰瘍,炎症性腸疾患,癌などのより重篤な器質的疾患の除外診断が必要となる.また,治療開始後も新たな器質的疾患が現れることを念頭においてある程度の間隔での検査をおこなうべきである.1. 上腹部愁訴の種類心窩部痛(胃痛),胃もたれが代表的な症状であるが,心窩部膨満感,食欲不振,嘔気,悪心,嘔吐,胸やけ,呑酸(げっぷ)なども広く用いられる.1998年にアメリカ消化器病学会が 前述のFD,あるいはNUDを潰瘍症状型,消化管運動不全型,逆流症状型,非特異方の4型に分類したが1),その後逆流症状型は食道症状であり,胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)として別に取り扱われている.最近のRome IIIの提言では心窩部痛症候群(epigastric pain syndrome:EPS)と食後愁訴症候群(post?pran-dial distress syndrome:PDS)に集約されている.FDは,消化器科の外来患者の半数近くを占めることも明らかとなっており,自律神経症候を呈する症例を見た際には忘れてはならない疾患概念ではある.本邦では,保険病名で慢性胃炎が特定疾患として取り扱われていることもあり,慢性胃炎が診断名として広くつかわれているのは致し方ない面もあろう.しかし,長期予後の面からは胃癌の発症率が大きく異なることから,後述するピロリ菌(Helicobacter pylori:Hp)が関与する可能性が高い組織学的胃炎とFDを区別することが重要と考えられる.2. 上腹部愁訴の原因この原因としては,消化管自体の問題,すなわち胃排出遅延を中心とする消化管運動不全,胃底部進展不全,進展刺激に対する内蔵知覚過敏などの自律神経に関係した機序が想定され,さらに発育歴における環境要因,社会心理要因などが中枢神経を介して関与することも指摘されている.特に消化管運動不全に関しては,nitric神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)677標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 1分類 薬品名 商品名 特徴プリンペラン,ドパミンD2受容体遮断薬 metoclopramide 胃,十二指腸,回腸の運動性,透過性亢進.中枢性作用ありテルプランdomperidone ナウゼリン 抗ドパミンD1作用もあるがD2の方が強い.中枢性作用なしドパミンD2受容体遮断作用とアセチルコリンエステラーゼ阻害ドパミンD2受容体遮断+抵AChE薬 itopride HCl ガナトン作用により,アセチルコリンの作用を促進する抗コリン薬 mepenzolate bromide トランコロン 消化管の攣縮緩解.下部消化管に選択性ありセロトニン5?HT4受容体作動薬 mosapride citrate hydrate ガスモチン 消化管神経叢の5?HT4受容体刺激によりアセチルコリンを遊離オピオイド受容体作動薬 trimebutine maleate セレキノン 消化管神経叢のオピオイドK受容体刺激,μ受容体拮抗Fig. 1oxideの産生低下,排出障害などが関与することが想定されており, などの食道への逆流に由来する症状は,慢性胃炎に由来するとされ創薬も行われている. ていたが,最近は逆流性食道炎(GERD)によるものも多いと考えさらに,酸逆流症状を呈する場合は,消化管運動障害,特に胃排 られている.また,内視鏡検査では食道胃接合部に変化を認めない出能の低下が病態形成には関与する場合が多いが,治療を考えると NERDが多いことも明らかとなっており,その成因としては胃酸分その背景にある酸分泌を抑制することを考える必要がある.また, 泌が多いということよりも,消化管運動障害が関係すると考えられGERDによると考えられる酸逆流症状に関しても,内視鏡検査では ている2).mucosal breakなどの異常を認めない場合も多く,non?erosive 各種消化管運動改善薬をTable 1,その作用点をFig. 1に示す.reflux disease(NERD)という概念も提唱されており,形態学的診 治療の観点からすると,その切れ味あるいはエビデンスレベルは,断と自律神経症候などの自覚症状が必ずしも対応しない点も念頭に 強力な酸分泌抑制薬がより強いと考えられ,proton pump inhibi-入れておく必要がある. tor,H2受容体拮抗薬が用いられることも多いのが現状であろう.ピロリ菌感染の自律神経症候あるいはFDとの関連については関係 また,明らかなストレスの関与や不安症状が強い場合は,抗不安薬する,関係しないの両方の意見があり,まだ一致した見解がない. も用いられる.臨床的には,後述する酸分泌抑制薬や消化管運動改善薬を投与して 4. 下部消化管愁訴と疾患も効かない場合には,ピロリ菌のガイドラインに沿った除菌を行う 下部消化管自律神経症候を引き起こす場合,過敏性腸症候群に該ことも一部で行われている. 当する場合も多く,その類縁した状態である場合もある.過敏性腸3. 上部消化管症状の治療 症候群の最近のRome IIIの診断基準では,過去3ヶ月間,月に3日胸やけ,呑酸などの酸症状については,以前は,こういった胃酸 以上にわたって腹痛や腹部不快感が繰りかえし,排便の頻度,形状神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)678標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 2分類 薬物名 特徴下剤 塩類下剤 酸化マグネシウム 硫酸マグネシウム 腸内に水分吸引し緩下作用膨張性下剤 carmellose Na 腸管内の水分で膨潤浸潤性下剤 dioctyl sodium sulfosuccinate 硬便に水分を浸潤させる 宿便対策小腸粘膜のCIC?2クロライドチャネルを活性化 クロライドチャンネル活性化剤 lubiprostone(アミテイーザ)便の水分含有量が増加大腸刺激性下剤 phenovaline sennoside 腸粘膜を刺激し蠕動運動活性化浣腸剤 グリセリン 薬用石鹸 結腸,直腸粘膜を刺激消化管運動促進役 metoclopramide mosapride 消化管運動活性化過敏性超症候群治療薬 mepenzolate bromide 下部消化管鎮痙作用pipethanate HCl 抗コリン作用で運動抑制非吸収性整腸薬 polycarbophil calcium 便の水分バランスを調整Fig. 2の変化を伴うこととなっている.実際の診断にあたっては,器質的 が,その際には種類によっては便秘の増悪に注意する必要がある3).疾患の除外診断が必要なのは前述の通りであり,血便,体重減少, 成因に関しては,上部消化管と同様に消化管運動不全,進展刺激家族歴,炎症マーカー上昇などの警告症状(alarm symptom)には に対する内蔵知覚過敏,社会心理要因などが中枢神経を介して関与注意を要するのは,上部消化管と同様である. することも指摘されており(Fig. 2)4),さまざまな機序の薬剤が開より軽度な状態であっても,高齢者などでは排便のコントロール 発中であり,今後,治療方針に大きな影響を与えると考えられる.に難渋する場合が多い.この多くは,機能性便秘であり,生活習慣 後記などの関与も強いと考えられ,その場合は規則正しい生活,植物性 本稿でふれたramosetron(イリボー)の投与に関して,薬事・食繊維など食生活の改善,体調がゆるせば運動なども薬物治療ととも 品衛生審議会医薬品第一部会から2015年4月より一部変更承認されに重要となる. たので,その点について追記したい.5. 下部消化管愁訴,特に便秘の治療 この薬は,下痢型の過敏性腸症候群に対して用いられるが,当初過敏性腸症候群の治療は,便性状のコントロール,大腸運動以上 の治験では男性のみ用量依存的な効果が見出され,女性では有害事の調整,内蔵知覚過敏の是正およびストレスのコントロールを目標 象の発現率が高く,効果にも一定の傾向が認められなかったため,とする. 男性のみ認可されていた.その後,女性においては投与量を少なくTable 2に便秘型のIBSにも使われる薬剤を列挙した.下痢型の することにより効果が確認され,有害事象も減少したため認可とIBSに対しては,loperamideや 5?HT3受容体拮抗薬ramosetron なった.その機序には女性では月経期に血中セロトニン濃度が上昇HClが用いられる.うつ病が関与する際には抗うつ薬も用いられる することなどが関与すると考えられている.神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)679標準的神経治療:自律神経症候に対する治療そのため,男性と女性で投与量が異なる薬であり,男性は,5μg V 発汗障害を1日1回経口投与.1日最高投与量は10μgまで,女性では,2.5μgを1日1回経口投与,1日最高投与量は5μgまでとなっている点には はじめに留意する必要がある. 手掌や腋窩の多汗が原因で機能上,美容上の問題で悩む人は多いが,多汗のみで機能的障害をきたすこと少ないことから,これまで文   献 美容外科の領域以外では多汗症は疾病として認識されてこなかった.1)Talley NJ  Silverstein MD  Agr?us L et al : AGA technical re- しかし,発汗過多で日常生活に支障をきたすこともしばしばあり,view : evaluation of dyspepsia. American Gastroenterological 適切な治療が必要である.一方,多汗症に比べ無汗症の頻度は少なAssociation. Gastroenterology 114 : 582?595  1998 く,その病態が一般内科医はもとより神経内科医にもよく知られて2)本郷道夫,佐竹 学:NUD定義の変遷.臨消内科 18 : 397? いるとはいえない.近年,原発性局所多汗症1),特発性後天性全身性402  2003無汗症2)の診療ガイドラインが作成され,治療のアルゴリズムが示3)Camilleri M  Choi MG : Review article : irritable bowel syn-された.本稿ではこのガイドラインを中心に紹介し,発汗障害の標drome. Aliment Pharmacol Ther 11 : 3?15  1997準的治療について述べる.4)Tack J : Prokinetics and fundic relaxants in upper functionalGI disorders. Current Opinion in Pharmacology 8 : 690?696  1. 多汗症2008 多汗症は発汗過多の分布によって全身性多汗症と局所性多汗症に分類される.全身性多汗症は感染症(結核など),内分泌疾患(甲状腺機能亢進症,褐色細胞腫),薬剤性など二次性に生じることが多く,原発性全身性多汗症はまれである.一方,局所性多汗症の多くは未だ原因疾患が明らかになっていない一次性局所多汗症(原発性局所多汗症)で,手掌,足底,腋窩,頭部・顔面に生じることが多い.二次性局所多汗症は,耳下腺手術後に食事によって顔面発汗が生じるFrey症候群などが知られているがその頻度はまれである.本稿では,多汗症のうち頻度の高い原発性局所多汗症の標準的治療について述べる.発汗過多の治療について,米国の自律神経学の標準的教科書では,発汗過多の部位,誘引によって分類し標準的治療を提示している(Table 1)3).本邦では2010年,日本皮膚科学会誌に原発性局所多汗症診療ガイドラインが発表された1).この中で適切な治療により多汗症患者の苦痛を軽減するとともに勤勉・勤労意欲を高めることを目的とした基本的な標準的治療を定めている.このアルゴリズムで挙げられている標準的治療法について解説する.1) 手掌・足底・腋窩多汗症a) 疫学手掌多汗症の罹患率はイスラエルで0.6〜1%,アメリカ合衆国で2.8%,中国で4.36%との報告がある.本邦では2009年度厚生労働省難治疾患克服研究の特発性局所多汗症研究班の全国調査で5.3%と報告されており,本邦での頻度は比較的高い1).b) 症状・診断・重症度手掌・足底は精神的発汗が生じる部位である.発汗は覚醒時にのみ認められ,睡眠中は発汗が停止する.掌蹠(手掌・足底)多汗症は,幼小児期ないし思春期ころに発症し,両側の手掌,足底に精神的緊張により多量の発汗を認める病的状態である.一方,腋窩は精神性発汗と温熱性発汗が生じる部位である.腋窩多汗症は左右対称性に多汗を認め,掌蹠多汗症を伴っていることがある.診断基準としてHornbergerら4)は局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6カ月以上認められ,以下の6症状のうち2項目以上あてはまる場合を多汗症としている.@ 最初に症状がでるのが25歳以下であることA 対称性に発汗がみられることB 睡眠中は発汗が止まっていることC 1週間に1回以上多汗のエピソードがあることD 家族歴がみられること神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)680標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 1 発汗過多に対する治療3)発汗過多 発汗過多治療薬・治療内容 製剤・手技 治療の実際(投与方法・投与量など)の部位 のタイプ頭頸部 味覚性 Glycopyrrolate 0.5?2% クリーム 1日1〜2回局所塗布1  2mg 錠 1mgから開始,必要に応じて2mgまで増量(2〜4回/日)Clonidine 0.1mg 錠;0.1?0.3mg/日 0.6〜1.2mg/日(分2〜3回)まで増量頭頸部 味覚性, Topiramate 25mg 錠 50mg/日(分2回)から開始,50mg/週づつ増量し100〜局所発作性 200mg/日(分2回)腋窩・掌蹠・ Aluminum 20%塩化アルミニウム 充分な効果が得られるまで毎晩局所に塗布し,その後,1回/頭頸部 chloride (無水エチルアルコール溶液) 週まで漸減12%塩化アルミニウム(炭酸ナトリウム水溶液)掌蹠・腋窩 Iontophoresis 15?30mAの電流, 局所に各々30分,1〜2回/日,または各々20分,2  3日ごとunit 0.1% glycopyrrolate溶液 に,または10分,3?5回/週,グリコピロレート溶液は効果を増強する.掌蹠・腋窩 味覚性 Botulium toxin A 0.1% BT?Aを0.9% 腋窩:BT?Aを12?20回皮内注射(計75?100単位),手掌:(BT?A) 生理食塩水で希釈 各20回皮内注射,足底:各24?36回皮内注射.4?8か月有効.再注射は効果あり.腋窩 局所切開 真皮の汗腺の脂肪吸引と掻爬 Minor法で発汗領域を決定し,小切開し掻爬カニュラで吸引.効果は永続的で発汗の40?70%減少で有効とする.手掌・腋窩 交感神経遮断術 様々な手法による T2と星状神経節の交感神経節切除で代償性発汗は最小限(他の治療に抵抗する重症例) T2  T3 and/or T4の交感神経節と 選択的T3交感神経節切除では代償性発汗は少ないその連絡路遮断 腋窩多汗症に対するT2?4の交感神経切徐は体幹の代償性発汗と味覚性発汗の発生頻度が増加する.E それらによって日常生活に支障をきたすこと障害を与えないが,長年の使用では廃用性に汗腺が萎縮するとされ原発性局所多汗症の重症度は,Struttonら5)によりhyperhidrosis ている.10?50%の塩化アルミニウム(本邦では塩化アルミニウムdisease severity scale(HDSS)が提唱されている.HDSSは自覚 六水和物を主成分とすることが多く,院内製剤として調整される.)症状により,以下の4つに分類されている. を,就寝時に多汗部位へ外用することが勧められる.症状に応じて,@ 発汗は全く気にならず,日常生活に全く支障がない 水基剤やエタノール基剤の濃度を調整し,ODT療法(ガーゼや綿手A 発汗は我慢できるが,日常生活に時々支障がある 袋に含ませてラップやゴム手袋で覆う)が適応となることがある6).B 発汗はほとんど我慢できず,日常生活に頻繁に支障がある 外用の副作用としては,掻痒や灼熱感などの接触性皮膚炎などがあC 発汗は我慢できず,日常生活に支障がある.るが,休止やステロイド外用対応が可能である.本邦では保険診療このうち,B,Cを重症としている. の適応薬はなく,院内製剤として処方されている.c) 治療 A水道水イオントフォレーシス原発性局所多汗症診療ガイドラインでは,手掌(Fig. 1),足底 掌蹠多汗症に特に有効で塩化アルミニウム液の外用と並んで第一(Fig. 2),腋窩(Fig. 3)の3部位に分けてそれぞれのアルゴリズム 選択である(手掌:推奨度B,足底:推奨度C1).機器内に手・足が示されている.これによれば,全ての部位に対して塩化アルミニ を浸して10?15mAの電流を約20分間通電する.2?3か月中止後に再ウム液の単純外用/密封(occlusive dressing technique:ODT)療法 発することが多い.通電する電流量と溶媒pH低下に比例して汗孔数が第一選択である.さらに,手掌,足底についてはイオントフォ が減少することが解析されており,水素イオン汗孔部を障害して狭レーシスも第1選択とされている.全ての部位で第2選択治療はA型 窄させると考えられている.ピリピリする不快感,小水疱出現などボツリヌス毒素(BT?A)の局所療法である.内視鏡的胸部交感神経 の合併症はあるが,比較的問題にならない7).外来診療の医療機器と遮断術(endoscopic electrocautery of thoracic ganglia:ETS)は手 して,保険請求が可能.家庭用の機器と併せて,ガイドラインに購掌多汗症のみ条件付で推奨される.内服治療は主体的治療にはなら 入方法なども紹介されている1).ないが併用療法として推奨される.以下に各治療法の内容を述べる. BA型ボツリヌス毒素(BT?A)の局注療法@塩化アルミニウム液の単純外用/ODT療法 コリン作動性神経の接合部に作用し,アセチルコリンの放出を抑原発性局所性多汗症の全ての部位に第一選択とすることが推奨さ 制することで発汗を抑制する.手掌,足底,腋窩で第二選択の治療れている(手掌,腋窩:推奨度B,足底:推奨度C1).表皮内汗管が 法である(腋窩:推奨度B〜C1,手掌・足底:推奨度C1).本邦で閉塞するという病態で発汗の減少がおこる.汗の分泌細胞自体には は,BT?Aはボトックス?(Allergan Inc.)とディスポート?(Ipsen)神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)681標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Fig. 1 原発性手掌多汗症の診療アルゴリズム1)Fig. 2 原発性足底多汗症の診療アルゴリズム1)が使用されている.施術時の疼痛には局所麻酔薬の外用を併用する 発汗低下),神経損傷,血胸,代償性発汗(施術反対側の多汗)などか,冷却で対応する8).合併症としての筋力低下は手掌・腋窩とも一 を起こす可能性があるため,前述の治療に難渋,かつ十分な説明の過性で経過観察のみで軽快するといわれている.重症度に応じて投 もと患者本人の強い希望があるという条件付きで,手掌多汗症のみ与単位数を調整するが,片手・片足にはボトックス? 50?100単位, に推奨されている(手掌:推奨度B).交感神経の遮断法についてもディスポート? 100?200単位.腋窩にはボトックス? 50単位,ディ 熱凝固,部分切除,全切除のほか,切除しないクリップ法がある9).スポート? 100?200単位を目安とされている.2012年11月に重症腋 遮断部位としては,T4がT2・3と比して治療効果が同等で,代償性窩多汗症に対して保険診療の適応となった. 多汗の合併が少ないとされている.C交感神経遮断術 D内服治療10)内視鏡的胸部交感神経遮断術が,近年保険診療として認められた. 主体的治療法にはならないが,侵襲が低い治療法であり,推奨度手術での交感神経遮断は確実であるが,全身麻酔下で内視鏡を胸郭 C1〜C2で勧められる.内に挿入する必要がある.合併症にHorner症状(縮瞳,眼瞼下垂, 副交感神経遮断薬は口渇,調整麻痺性視力障害(緑内障),便秘な神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)682標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Fig. 3 原発性腋窩多汗症の診療アルゴリズム1)どの副作用に注意し,propantheline bromide 60mg/分2(推奨度 も多い.2013年,厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究C1),oxybutynin 推奨度C1などを使用.情動での発汗量増加を抑 事業)特発性後天性全身性無汗症の病態解析及び治療指針の確立班制する目的に,ベンゾジアゼピン系のtofisopam150mg/分3(推奨 の監修,「特発性後天性全身性無汗症診療ガイドライン」作成委員会度C1),SSRIの中で抗コリン作用を持つparoxetine,三環系抗うつ の編集により診療ガイドラインが発表された2).薬のamitriptyline,抗てんかん薬のclonazepamなどは併用療法と a) 疫学して試みる価値がある推奨度C1〜C2 . AIGAは2006年の集計11)では,93例(男性84例,女性9例)の各治療法には利点と欠点があるので,多汗症の部位,重症度を考 報告があり,3例(韓国人,イスラエル人,インド人)を除いて全て慮しガイドラインに従って治療法を選択する必要がある. 日本人である.発症年齢は平均27±12歳.まれな疾患と考えられて2) 頭部顔面多汗症 いたが,前述の研究班の行った疫学調査では過去5年間で145例(男頭部,顔面に温熱性あるいは精神性に生じる発汗にも多汗が生じ 性126例,女性19例)が集積され,本症は決してまれではないことることが知られている.中高年の男性に生じることが多い.原発性 が示された.発症年齢は1歳から69歳(好発年齢は10歳代〜30歳局所多汗症の1タイプと位置づけられている.前述の米国の教科書で 代,平均30.3歳)で,若年男性が多かった.は,clonidine(中枢性交感神経抑制薬),topiramateなどの内服治 b) 病因・病態生理療が推奨されている(Table 1).本邦では厚生労働省班会議のガイ AIGAはその病巣部位から,@発汗神経障害(sudomotor neuro-ドライン作成委員会で頭部顔面多汗症についての診療ガイドライン pathy),A特発性純粋発汗不全(idiopathic pure sudomotor fail-が検討中である. ure:IPSF),B特発性汗腺不全(sweat gland failure)の3つの病2. 無汗症 態が推定されている12).このうち,IPSFの頻度が最も高い.IPSFで無汗症は無汗の部位が全身性か局所性かによって対応が異なる. は発汗系交感神経末端から放出されるアセチルコリンに対し,汗腺全身性の場合には暑熱時や運動時に容易にうつ熱になるため,熱中 のコリン受容体が反応しないために無汗になっていると考えられる.症の予防目的に治療を検討する.全身性無汗は多系統萎縮症や 2) 診断・症状Parkinson病の進行期に生じるが,完全無汗となることはまれで無 AIGAは後天性無汗症のうち,神経疾患,内分泌・代謝疾患を基汗に対する積極的治療は行われていない.基礎疾患が明らかでない, 礎に生じる後天性無汗症,薬剤性無汗症などの続発性無汗症を除く,全身性無汗症は特発性後天性全身性無汗症(acquired idiopathic 「後天的に明確な原因なく発汗量が低下し,発汗以外の自律神経異常generalized anhidrosis:AIGA)と診断されている.一方,局所性 および神経学的異常を伴わない疾患」と定義され,表に示すAIGA無汗症では無汗自体は直接の治療適応となることは少ない.無汗と の診断基準が提示された(Table 2).AIGAの症状は運動や暑熱環反対側の代償性発汗過多を訴えることがあり,この場合は美容上, 境下でうつ熱を起こし,全身のほてり感,体温上昇,脱力感,疲労生活上の問題で治療が考慮される.本稿ではAIGAの標準的治療に 感,悪心・嘔吐,頭痛,めまい,動悸などがみられ熱中症に至るこついて述べる. ともある.IPSFの特徴は,温熱性発汗は障害されるが手掌・足底の1) 特発性後天性全身性無汗症(AIGA) 精神性発汗は保たれること13),運動や暑熱環境下で誘発される全身本症では全身無汗のため,体温調整ができずに暑熱時には容易に 皮膚のピリピリする痛み,発疹(コリン性蕁麻疹)がしばしば認めうつ熱となる.熱中症を予防するために日常生活が制限されること られることである.神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)683標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 2 AIGAの診断基準2)A :明らかな原因なく後天性に全身の無汗/減汗(発汗低下)を生じる.ただし,発汗以外の自律神経症候および神経学的症候を認めない.B1:発汗試験で全身の広範にわたる温熱性発汗の低下・消失がみられる.2:発汗低下によると思われる症状の既往がある.(運動や暑熱環境での全身のほてり感,体温上昇,脱力感,顔面紅潮,悪心・嘔吐,頭痛,めまい,動悸など). 参考項目1.発汗誘発時に皮膚のピリピリする痛み・発疹(コリン性蕁麻疹)がしばしばみられる.2.発汗低下に左右差なく,腋窩の発汗ならびに手掌・足底の精神性発汗は保たれていることが多い.3.アトピー性皮膚炎はAIGAに合併することがあるので除外項目には含めない.A+B1またはA+B2をもってAIGAと診断する.Table 3 AIGAの重症度分類2)重症度レベル分類レベル1:生活や仕事に支障がない.レベル2:熱中症は起こさないが,暑熱環境や運動を避ける必要性や,皮膚の痛みのために生活や仕事に時々支障がでる.レベル3:熱中症は起こさないが,暑熱環境や運動を避ける必要性や,皮膚の痛みのために生活や仕事に頻繁に支障がでる.レベル4:体温上昇のために,めまい・たちくらみ・筋肉痛・筋肉の硬直・気分不快・意識障害・痙攣などの熱中症の症状がみられるため暑熱環境や運動を避ける必要性がある.3) 治療 対する正しい知識を持つ必要がある13  14).AIGAでは副腎皮質ステロイド薬の全身投与が推奨される(推奨 後記度C1).ステロイドの有効性を検討した無作為比較試験の報告はな 本稿を脱稿後に原発性局所多汗症,特発性後天性全身性無汗症のガいが,多数の症例報告の知見からは推奨される治療である.発症か イドラインが改訂された.以下の論文を参考にされたい.また,特発ら治療開始までの期間が長い場合には治療反応性が不良であり,治 性後天性全身性無汗症は2015年7月に厚生労働省の指定難病(http://療は発症早期に行うことが勧められる2).ただし,自然寛解(夏に寛 www.nanbyou.or.jp/entry/4391)に指定されたことを付記する.解,冬に増悪することが多い)することがあり,重症度レベル分類 1. 日本皮膚科学会ガイドライン 原発性局所多汗症ガイドライン(Table 3)でレベル1では疾病教育・生活指導を行う.重症度レベ 2015改訂版.日皮会誌 125 : 1379?1400  2015ル分類でレベル2〜4では治療を考慮する(治療法アルゴリズム). 2. 特発性後天性全身性無汗症診療ガイドライン作成委員会:特発性後天性全身性無汗症診療ガイドライン改訂版.自律神経 52 :とくに熱中症をおこす危険が高い場合(レベル4)には早期からステ352?359  2015ロイド治療を検討すべきである.ステロイド治療の内容は,@ステロイドパルス療法単独(metylprednisolone 500〜1000mg/日)の3 [註](一般名) (商品名)日間点滴静注を1〜2クール行う.Aステロイドパルス療法後に後療propantheline bromide プロ・バンサイン法としてステロイド内服を追加(パルス療法後に30〜60mg/日の oxybutynin ポラキスprednisolone内服),Bステロイド内服治療単独(30〜60mg/日の tofisopam グランダキシンparoxetine パキシルprednisolone内服で開始し漸減)が行われている.ステロイドパルamitriptyline トリプタノールス療法はしばしば治療開始直後〜数日に寛解するなど,かなり早い clonazepam ランドセン  リボトリール時期から改善がみられるため,短期間での改善を期待する場合に適 clonidine カタプレスmexiletine メキシチールしている.とくに,重症例ではステロイドパルス療法が勧められる.topiramate トピナおわりに metylprednisolone メドロール発汗異常は生命を脅かすほど重症となることはまれであるため,日常診療では軽視されがちである.しかし,患者は発汗異常により文   献quality of life(QOL)が損なわれ,治療を希望していることが多1)田中智子,横関博雄,片山一郎ほか:日本皮膚科学会ガイドラい.原発性局所多汗症は医療機関を受診していない潜在性の患者も イン 原発性局所性多汗症診療ガイドライン.日皮会誌 120 :多く,患者への啓蒙が必要である.一方,AIGAは未だ医療者にも 1607?1625  2010充分に認知されていないため,多くの患者は適切な治療を受けられ 2)特発性後天性全身性無汗症診療ガイドライン作成委員会:特発ていない.早期治療で改善する可能性があり,神経内科医は疾患に 性後天性全身性無汗症診療ガイドライン.自律神経 50 : 67?74 神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)684標準的神経治療:自律神経症候に対する治療2013 VI 勃起機能障害3)Fealey RD  Atkinson JLD  Cheshire WP Jr : Hyperhidrosisand Anhidrosis. Clinical Autonomic Disorders  3rd ed (ed はじめにLow PA  Benarroch EE) 2008  p560?578  2008勃起機能障害(erctile dysfunction:ED)の診療・治療について4)Hornberger J  Grimes K  Naumann M et al : Recognition  di-は日本性機能学会が編集した「ED診療ガイドライン」が存在していagnosis and treatment of primary focal hyperhidrosis. J AmAcad Dermatol 51 : 274?286  2004 る.2008年1月に第1版が,2012年5月には第2版が刊行された.こ5)Strutton DR  Kowalski JW  Glaser DA et al : US prevalence のガイドラインは性機能障害を専門としていない泌尿器科医も含めof hyperhidrosis and impact on Individuals with axillary hy- た一般医家を対象にしており,疫学から診断・治療に至る一連のperhidrosis : results from a national survey. J Am Acad Der- 流れがまとめて理解できる一冊である.世界にあってはEuropeanmatol 51 : 241?248  2004 Association of Urology,American Urological Association,Brit-6)藤本[田中]智子,横関博雄:皮膚疾患治療のポイント 掌蹠 ish Society for Sexual MedicineなどもEDの診療に関したガイドラ多汗症に塩化アルミニウムのODT(密封療法)が効く.臨皮 インを発行しversion upを行っている.欧米と本邦では認可されて65 : 104?109  2011いる薬剤・医療器具の違いもあり必ずしも同様な治療方針が示され7)嵯峨堅次:掌蹠多汗症 水道水イオントフォレーシス治療.皮ているわけではないが,本稿においては「ガイドライン」とは日本膚臨床 52 : 1548?1551  20108 性機能学会編集の第2版ED診療ガイドラインを指すものとして,こ)伊東慶子,玉田康彦,大嶋雄一郎ほか:掌蹠多汗症 ボツリヌス毒素注射.皮膚臨床 52 : 1552?1555  2010 れに則して解説していきたいと思う.9)安部洋一郎:掌蹠多汗症 胸腔鏡下交感神経切除術.皮膚臨床 1. ED治療の第一選択肢52 : 1556?1559  2010 ED 治療の第一選択肢は phosphodiesterase type 5 inhibitor10)中里良彦:掌蹠多汗症の治療:神経内科的アプローチ.発汗学 (PDE5阻害薬)である推奨度A.15 : 19?22  2008 現在本邦では3種類のPDE5阻害薬が使用可能である.Sildenafil11)中里良彦:特発性無汗症.Annual Review 神経 : 309?317  が25mgと50mg,vardenafil,tadarafilが5mg,10mg,20mgであ2006る.血管内皮細胞や非アドレナジック非コリナージック神経末端か12)Nakazato Y  Tamura N  Ohkuma A et al : Idiopathic pure su-ら供給されたnitric oxide(NO)は平滑筋細胞に取り込まれるとdomotor failure : anhidrosis due to deficits in cholinergictransmission. Neurology 63 : 1476?1480  2004 soluble guanylyl cyclase(可溶性GC)を活性化してGTPをcGMP13)中里良彦:無汗症と多汗症.自律神経 48 : 187?191  2011 に変換して平滑筋の弛緩をもたらす.PDE5阻害薬はcGMPの分解14)二宮充喜子:発汗障害の治療.神経治療 30 : 22?28  2013 を阻害することで目的とする効果を発揮している.これら3剤に関しては国内外で十分な有効性・安全性の報告がなされている.1999年のバイアグラ発売当初は心血管系の評価など使用前検査がかなり慎重に行われたが現在はほとんど実施されていない.むしろ血管内皮機能への賦活作用などが報告され1〜4)心血管系への利点が明らかになってきており,ED治療目的以外にも内服を推奨する向きもあるほどである.ただし硝酸剤/NO供与薬との併用禁忌は変わらないので問診上の留意点である.使用方法であるが最初から高用量とするかは必ずしも一定のコンセンサスがあるわけではないが,3剤に関する国内臨床試験の結果(いずれも用量依存性に効果発現が認められ,合併症の増加が認められなかった)や治療脱落例の検討5)から,我々は特に問題のない患者に対してsildenafilは50mg,vardenafilとtadarafilは20mgの高用量を開始量として用いている.先述したとおり硝酸剤との併用の確認は絶対的に必要であるが,それ以外に各社のインタビューフォームを参照すると,高度腎機能障害(クレアチニンクリアランス<30ml/m)や肝機能障害(child?pugh class B),65歳以上においては留意が必要である(Table 1).糖尿病患者でのPDE5阻害薬の有効率は56%6)と報告されており決して高くない.しかし血糖コントロール良好な患者はより治療効果が高いことも報告されている7).糖尿病患者においては血糖コントロールを是正したうえでのPDE5阻害薬投与が重要である.糖尿病のみならず,EDのリスクファクターとしてガイドラインにおいては13項目(Table 2)を挙げているが,この中で治癒可能な疾患や対応可能なリスクファクターについてはそれぞれの対応が推奨されている.効果無効例については,まず服薬状況の確認が大切である.神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)685標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 1 PDE5阻害薬使用上の主な留意点(各社インタビューフォームより抜粋)条件および併用薬 シルデナフィル バルデナフィル タダラフィルCYP3A4阻害剤 25mgから開始 5mgが最大量 10mgが最大量抗HIV薬/抗真菌薬 25mgから開始 禁忌 10mgが最大量65歳以上 25mgから開始 5mgから開始 制限なし腎機能障害(Ccr<30mL/m) 25mgから開始 透析患者は禁忌 5mgが最大量肝機能障害(Child?Pugh:B) 25mgから開始 5mgから開始 10mgが最大量α遮断薬 25mgから開始 5mgから開始 制限なし硝酸剤 禁忌 禁忌 禁忌不整脈薬 塩酸アミオダロン禁忌 QT延長症候群 なしクラスIA,III抗不整脈薬塩酸アミオダロン禁忌Sildenafiとvardenafilにおいては高脂肪食摂取後では吸収が抑制さ うな薬剤開発のコンセプトも見直されている機運も存在する.れ効果減弱するし,内服タイミングの間違いによっては必要な時に またsildenafilの特許が世界各国で切れつつある.韓国では2012効果が発現しない事態に陥る.また3剤に共通していることだが, 年5月,タイでは2012年9月に特許が切れており,早速多種多様なPDE5阻害薬を催淫薬と勘違いして内服しただけで性的刺激をして ジェネリック製品が登場し始めている.本邦においても2014年4月いないケースも散見される.PDE5阻害薬は血流を改善するだけで にsildenafilの特許が切れ複数のジェネリック製剤が登場した.またあり性的刺激あるいは性的興奮がないと勃起には至らない.このよ 錠剤しか本邦には存在していなかったが,2016年8月にsildenafilのうな不適切な服用が,初期治療失敗の原因の8割以上を占めており, 口腔内崩壊フィルムが登場し使用に際しての利便性の向上も図られ再教育することで約半数は救済されることが報告されている8  9).ま ている.た偽造薬の使用についても留意が必要である.インターネットなど 2. 陰茎海綿体注射(PGE1)の有効性を介しての購入には十分注意が必要である10).またテストステロン 陰茎海綿体注射(PGE1)の有効性は高い推奨度Bが低下している可能性もあるのでこれをチェックする.テストステ PGE1の陰茎海綿体注射は有効性が高く,これで勃起が誘発されロンの分泌は日内変動があるので午前中の採血を心がける.国際的 れば血管系は正常に作動していると診断できる(ファーマコテスには総テストステロン値の測定が推奨されているが,本邦では「加 ト).注意すべき副作用は持続勃起症でありこれには専門医による速齢男性性腺機能低下症候群診療の手引き」で遊離テストステロン値 やかな対応が求められる.測定を推奨している.テストステロンの低値が認められればホルモ 2011年2月に注射用プロスタンディン? 20が「勃起障害の診断」ン補充療法を検討する.補充療法そのものは本稿の主題から外れる の効能・効果を取得してEDの診断薬として保険診療が可能となっので詳述はしない.成書をご参照いただきたい. た.しかし治療薬としての認可は未だ取得に至らず,自主臨床研究このように他のPDE5阻害薬への変更を試みたり再教育でも効 として施行されているのが実情である.使用方法はPGE1を5?40μg果が認められなければ,cAMPを介する作用機序をとるプロスタグ の範囲で生理食塩水1?2mlに溶解して陰茎海綿体に直接注射する.ランジンE1(prostaglandin E1:PGE1)の陰茎海綿体注射を検討 PDE5阻害薬無効例に対するテストでは70.6?77%が有効な反応を示する. している12  13).PDE5阻害薬やPGE1といった薬物治療に反応しなけ―新規PDE5阻害薬とジェネリック薬品― れば陰圧式勃起補助具(vacuum constriction device:VCD)か陰本邦では3剤のPDE5阻害薬のみが使用可能であるが,世界的には 茎プロステーシス移植手術を選択することになる.新規のPDE5阻害薬の開発も進んでおりさらには上梓に至っている 3. 陰圧式勃起補助具製品も存在している.PDEは現在のところ11種のファミリーに分類 陰圧式勃起補助具(VCD)は性交に可能な勃起状態を90%で達成されている.そのうちでPDE6との交差反応により副作用として色 可能であるが,満足度や長期の継続率は高くない.副作用は軽度の覚異常が出現することはよく知られたところであるが,より選択性 ものが多い推奨度B.を高め,半減期(Thalf)や最高血中濃度到達時間(Tmax)を短縮 VCDは安全で,すべての原因によるEDに高い効果がある14).しすることで必要な時に,十分な効果を発揮すれども副作用の軽減を かし,VCDは装着に手間がかかり,リングや陰茎の阻血による疼痛図るというコンセプトで新規薬剤の開発が今なお進んでいる.その があるため脱落者も多い.以前はいわゆる雑貨として何等の規制も中でavanafilが注目されている.REVIVEと命名されたPhaseIIIの なく販売されていたが1998年以降は厚生労働省による「医療用具と結果を受けて11)2014年にFDAが承認している.このPDE5阻害薬 して製造(輸入)承認および許可」が必要になった.依然成人雑誌はTmaxが35分と短く速やかな効果が期待されている.今後の本邦 の広告等には各種のVCDが宣伝・販売されてはいるがこれらを医療への導入が見込まれている薬剤である. 用として用いることは問題である.現在認可を受けているVCDは一方で血管内皮機能の改善の効果などanti?agingの観点から VCD式カンキ(快生薬研製:http://kaiseiyakken.jp)のみである.PDE5阻害薬の使用を試みる考え方もあり,作用時間を延長するよ 購入に際して処方箋は不要であるが自費購入となる.上記インター神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)686標準的神経治療:自律神経症候に対する治療Table 2 EDのリスクファクターと推奨される対応リスクファクター 推奨される対応 推奨度加齢喫煙 禁煙を促す B高血圧 専門医に紹介し適切な治療を受けさせる C1糖尿病 専門医に紹介し適切な治療を受けさせる C1高脂血症(注)肥満と運動不足 生活習慣病の改善指導や運動の指導 Bうつ病 専門医に紹介し適切な治療を受けさせる C1下部尿路症状/前立腺肥大 α遮断薬による治療を考慮するか,泌尿器科専門医を紹介する C1慢性腎臓病 専門医に紹介し適切な治療を受けさせる C1睡眠時無呼吸症 専門医に紹介し適切な治療を受けさせる C1神経疾患不妊症薬剤 主治医に連絡を取り,原疾患の治療に差支えのない範囲で,原因薬 C1剤の減量・変更・中止を図る注:本邦ではリスクファクターとは言い難いネットへのアクセスで購入可能である. 文   献4. 陰茎プロステーシス挿入術 1)Mazo E  Gamidov S  Iremashvili V : The effect of vardenafil陰茎プロステーシス挿入術は侵襲的かつ不可逆的な治療であり, on endothelial function of brachial and cavernous arteries.Int J Impot Res 18 : 464?469  2006非侵襲的かつ可逆的なほかの治療が失敗に終わった器質的ED患者に2)Rosano GM  Aversa A  Vitale C et al : Chronic treatmentのみ実施されるべきである推奨度B.with tadalafil improves endothelial function in men with in-陰茎プロステーシスは2007年8月末まではノンインフレータブル creased cardiovascular risk. Eur Urol 47 : 214?220  2005型のAMS600マレアブル?とDuraII?,インフレータブル型の 3)Forresta C  Lana A  Cabrelle A et al : PDE?5 inhibitor  Var-AMS700CXM?が承認されていたが,いずれも表面に抗菌薬を denafil  increases circulating progenitor cells in humans. Intコートしたタイプにモデルチェンジされたために承認がはずれ,現 J Impot Res 17 : 377?380  2005在のところ医師の個人輸入などによる以外事実上入手不可能な状況 4)Forresta C  Caretta N  Lana A et al : Relationship betweenとなっている.インフレータブルタイプはthree?piece typeが主流 vascular damage degrees and endothelial progenitor cells inで腹部にリザーバを留置して,陰嚢にポンプそして陰茎海綿体に1対 patients with erectile dysfunction : effect of vardenafil ad-ministration and PDE5 expression in the bone marrow. Eurのシリンダーを挿入する.インフレータブルタイプは必要な時に陰Urol 51 : 1411?1417  2007茎を増大させより自然な勃起状態とやわらかい非勃起状態を再現で5)Sato Y  Tanda H  Kato S et al : How long do patients withきるため,患者・パートナーともに満足度が高いが,構造が複雑なerectile dysfunction continue to use sildenafil citrate? Drop-ため故障や感染が起きうる欠点がある15). out rate from treatment course as outcome in real life. Int Jおわりに Urol 14 : 339?342  2007現在本邦において実施可能なEDの3段階の治療戦略,1.PDE5 6)Vickers MA  Satynarayana R : Phosphodiesterase type 5 in-阻害薬 2.PGE1陰茎海綿体注射あるいはVCD 3.陰茎プロス hibitors for the treatment of erectile dysfunction inpatientsテーシス挿入術を概説した. with diabetes mellitus. Int J Impot Res 14 : 466?471  2002薬物治療については新規のPDE5阻害薬やジェネリック薬品の登 7)Fonceca V  Seftel A  Denne J et al : Impact of diabetes melli-tus on the survey of erectile dysfunction and response to場あるいは剤形を変え利便性の改善した先発品の登場など,一般医treatment : analysis of data from tadalafil clinical trials. Dia-家の先生方にとっても選択肢が広がるものと思われる.2段階以降のbetologia 47 : 1914?1923  2004治療法は泌尿器科医でも性機能を専門医扱っている医師に相談する8)Jiann BP  Yu CC  Su CC et al : Rechallenge prior sildenafil必要がある. nonresponders. Int J Impot Res 16 : 64?68  20049)Hatzimouratidis K  Moysidis K  Bekos A et al : Treatment[註](一般名) (商品名) strategy for“non-responders”to tadalafil and valdenafil : asildenafil バイアグラ real life study. Eur Urol 50 : 126?133  2006vardenafil レビトラ 10)佐々木春明,永尾光一,石井延久ほか:インターネットを介しtadarafil シアリスた偽造ED医薬品4社合同調査.日性会誌 25 : 19?28  2010神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)687標準的神経治療:自律神経症候に対する治療11)Goldstein I  McCullough SR  Jones LA et al : A randomized double?blind  placebo?controlled evaluation of the safety andefficacy of avanafil in subjects with erectile dysfunction. JSex Med 9 : 1122?1133  201212)佐々木春明,七条武志,椎木和彦ほか:われわれの施設におけるPGE1 ICIテストの現状.日性会誌 18 : 225?229  200313)小谷俊一,伊藤裕一:脊髄損傷患者に対するPGE1 ICIテストと自己注射(当科での経験).日性会誌 18 : 253?260  200314)Levine LA  Dimitriou RJ : Vacuum constriction and externalerection devices in erectile dysfunction. Urol Clin Noeth Am28 : 335?341  200115)Natali A  Olianas R  Fisch M : Penile implantation in Europe :successes and complications with 253 implants in Italy andGermany. J Sex Med 5 : 1503?1512  2008神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)688"
夜間頻尿:Parkinson病を中心に 榊原 隆次 Vol. 33
                   
                   
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                    No. 5
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=5&kijiCd=33_S103&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録シンポジウム7 日内リズムによる問題症状とその対応?3夜間頻尿:Parkinson病を中心に東邦大学医療センター佐倉病院内科学神経内科 榊原 隆次Nocturia : special reference to Parkinson's DiseaseNeurology, Internal Medicine, Sakura Medical Center, Toho UniversityRyuji SAKAKIBARA夜間頻尿は,Parkinson病(PD)患者の70%と非常に高頻度に認められ,PD患者の夜間睡眠の質を低下させる大事な症候と思われる.PDの夜間頻尿は,過活動膀胱(OAB)/排尿筋過活動に由来すると考えられ,残尿は通常ほとんどみられない.一方,PDの夜間頻尿には,夜間多尿も重畳している可能性がある.PD患者のOABの機序は,膀胱抑制的に働く前頭葉?基底核D1直接回路の障害が考えられる.PDのOABに対する治療として,抗コリン薬等を開始することが勧められる.その際,認知症を増悪させないよう,中枢移行の少ない抗コリン薬や,選択的β3受容体刺激薬を選ぶと良いと思われる.この点について,最近欧州で,PDの下部尿路障害治療ガイドラインが発刊されている.PDと鑑別を要する多系統萎縮症(MSA)は,進行性に尿閉に至る疾患であり,初診時に100ml以上の残尿がある場合,その疑いがある.とくにPD患者の前立腺肥大症に対して,手術療法を考慮する際は,MSAを充分に除外しておく必要がある.◆職歴榊原 隆次(さかきばらりゅうじ)東邦大学医療センター佐倉病院 内科学講座神経内科分野 教授1984年 旭川医科大学卒業1984年 千葉大学神経内科入局1993年 鹿島労災病院神経内科部長1996年 千葉大学神経内科助手1997?98年 ロンドン大学神経研究所Queen Square 泌尿神経科 客員研究員2003年 千葉大学神経内科 講師2007年 東邦大学医療センター佐倉病院 内科学講座神経内科分野 准教授2016年4月から現職the Movement Disorders Society(PSP Committee member),the International Continence Society(Standardization Steering,Neurourology Promotion他Committee member),International Consultation in Incontinence(Committee member),日本脊髄障害医学会(理事),日本排尿機能学会(理事),日本神経学会(代議員),日本自律神経学会(「自律神経」編集委員他;評議員),日本神経治療学会(評議員),日本老年泌尿器科学会(評議員)など神経治療 Vol. 33 No. 5(2016)S103
慢性頭痛:診断と治療の最前線 竹島 多賀夫 Vol. 33
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=5&kijiCd=33_S146&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録マラソンレクチャー3慢性頭痛:診断と治療の最前線富永病院神経内科・頭痛センター 竹島多賀夫Chronic headache : Recent advances of diagnosis and managementTominaga Hospital, Department of Neurology, Headache CenterTakao TAKESHIMA頭痛はしばしば遭遇する症候である.鑑別すべき疾患は無数にあるが,頭痛性疾患のうち,他の疾患がなく,慢性的に頭痛を繰り返す疾患群を一次性頭痛としている.二次性頭痛を含め,頭痛性疾患の分類と診断は国際頭痛学会が刊行している国際頭痛分類とその診断基準に沿って行う.現在第3版beta版が公開されている.一次性頭痛は片頭痛,緊張型頭痛(TTH),三叉神経・自律神経性頭痛(TAC),その他の一次性頭痛の4つのグループに大別されている.片頭痛は日常生活に支障をきたす頭痛発作を繰り返す疾患で,一過性の神経学的脱落としての前兆を伴うものと,前兆のないものに大別される.頭痛の特徴として片側性,拍動性頭痛のほか,動作による頭痛の悪化,悪心,嘔吐,光過敏,音過敏などが重要である.前兆は閃輝暗点などの視覚性前兆が代表的であるが,感覚障害,失語性言語障害,運動麻痺などが出現することもある.複視,運動失調,意識レベル低下など脳幹性前兆もみられる.単眼性の視覚障害は網膜性前兆とする.片頭痛発作が高く,慢性化したものを慢性片頭痛とする.頭痛発作時にはトリプタンを中心とした,急性期治療薬を用いる.予防療法にはロメリジン(Ca拮抗薬),バルプロ酸,トピラマート(抗てんかん薬),プロプラノロール,メトプロロール(β遮断薬),アミトリプチン(三環系抗うつ薬)などがエビデンスの高い薬剤として使用されている.TTHは両側性,非拍動性の頭痛である.頭痛の頻度により,稀発反復性,頻発反復性,慢性に大別している.稀発反復性TTHは鎮痛薬が有効である.頻発反復性TTHの一部と慢性TTHは予防療法が必要である.アミトリプチリンがエビデンスの高い薬剤として使用されている.TACは群発頭痛とその類縁疾患をまとめた疾患概念であり,2014年に刊行された国際頭痛分類第2版から導入されている.一側の三叉神経第1枝領域の激痛と同側の自律神経症状が特徴である.結膜充血,流涙,鼻閉,鼻汁漏,前額部と顔面の発汗,紅潮,縮瞳,眼瞼下垂などを伴うが,これらは副交感神経の活動性亢進に伴うものと理解されている.頭痛発作の持続時間,インドメタシンへの反応性などにより,群発頭痛,発作性片側頭痛,短時間持続性片側神経痛様発作,持続性片側頭痛などに細分類されている.発作性片側頭痛,持続性片側頭痛はインドメタシンにより完全寛解することが診断基準にも記載されている.群発頭痛は発作時のスマトリプタン皮下注が有効である.群発頭痛発作に対する,経口トリプタンのエビデンスは乏しく,少なくとも発作持続時間が1時間以内のケースでは有用性はない.経口トリプタンの群発期における予防的使用は複数の報告があるが,保険適用外である.群発期の予防療法薬としては高用量のベラパミルが標準的に使用されている.プレドニゾロンは有効であるがその使用には賛否があり,少なくとも長期連用は推奨できない.群発期終了後の予防薬の継続については有用性がないと考えられている.すなわち,非群発期に予防薬を使用しても次の群発期の発現を抑制することはできない.発作性片側頭痛,持続性片側頭痛はインドメタシンが有効であるが,胃腸障害等の副作用のため十分量が使用できなかったり,継続が困難となることがある.ガバペンリン,トピラマート,プレガバリンなどが試みられている.短時間持続性片側神経痛様発作は極めて難治性のTACで,治療抵抗性の疾患である.リドカインの点滴静注が一時的であるが奏功することが多く,診断的な価値も期待されている.ラモトリギンが有用との報告がある.その他の一次性頭痛には様々な頭痛が掲載されている.一次性雷鳴頭痛は可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)との異同が注目されている.貨幣状頭痛など表在頭痛,睡眠時頭痛,新規発症持続性連日性頭痛なども記載されている.本レクチャーでは一次性頭痛疾患の診断と治療の最近のトピックスについて,重要なポイントを示し概説したい.文献:日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会訳.国際頭痛分類第3版beta版.東京:医学書院;2014.p1?193◆ 職歴1984 鳥取大学医学部 卒業1988 鳥取大学医学部大学院博士課程修了,鳥取大学医学部附属病院・脳神経内科 助手1992?1993 米国・国立衛生研究所 Visiting Fellow1996 鳥取大学医学部・脳神経内科 講師2005 鳥取大学医学部脳神経内科 准教授(助教授)2010 寿会 富永病院 神経内科部長,頭痛センター長2011 寿会 富永病院 副院長,京都大学医学部 臨床教授◆学会活動日本神経学会 代議員,専門医,指導医,診療向上委員,専門医試験委員;日本神経治療学会 評議員;日本頭痛学会,理事,専門医,指導医,広報委員長,国際頭痛分類委員長,専門医委員長,ガイドライン委員会副委員長,診療向上委員会副委員長,編集委員;日本内科学会 総合内科専門医;日本自律神経学会 評議員;日本リハビリテーション医学会 専門医;日本老年医学会 代議員;日本認知症学会 専門医,指導医;米国神経科学会;国際頭痛学会;米国頭痛学会,運動障害学会神経治療 Vol. 33 No. 5(2016)S146
目次 Vol. 33
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=4&kijiCd=33_497&screenID=AF06S010 神経治療学 第33巻 第4号目   次Editorial(論説)神経治療学のこれから:医師主導治験で考えたこと桑原  聡 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 499特 集 神経疾患治療の進歩2015年脳血管障害の治療の進歩 桂 研一郎 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 502認知症の治療の進歩 脇田 英明,冨本 秀和 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 506感染症の治療の進歩 中嶋 秀人 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 510免疫介在性中枢神経疾患の治療の進歩藤岡 俊樹 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 515Parkinson病および関連疾患の治療の進歩村上 秀友,小野賢二郎,河村  満 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 518脊髄小脳変性症の治療の進歩 矢部 一郎,佐々木秀直 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 522運動ニューロン疾患の治療の進歩鈴木 直輝,加藤 昌昭,割田  仁,青木 正志 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 529腫瘍性および肉芽腫性疾患の治療の進歩高橋 育子,佐々木秀直 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 533末梢神経の治療の進歩 桑原  基,楠   進 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 537自律神経疾患の治療の進歩 山元 敏正 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 542機能性疾患の治療の進歩 星山 栄成,辰元 宗人,平田 幸一 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 546原 著肺炎球菌性髄膜炎に肺炎・感染性心内膜炎を合併したAustrian症候群の1例原  大祐,山徳 雅人,佐々木 直,篠原 健介,長谷川泰弘 . . . . . . . . . . . . . . 550Rivastigmine patchと作業療法により日常生活動作能力が著しく改善したParkinson病の1例桑原 拓己,加藤 恵子,武井 麻子,田村  至,森若 文雄 . . . . . . . . . . . . . . 555持続陽圧呼吸療法中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群における一次性頭痛の合併頻度とその治療効果渡邉 悠児,鈴木 圭輔,宮本 雅之,宮本 智之,平田 幸一 . . . . . . . . . . . . . . 560ZonisamideによるLewy小体型認知症の行動・心理症状への効果の検証―有効性探索試験―鷲見 幸彦,伊藤 健吾,東海林幹夫,羽生 春夫,尾内 康臣,片山 禎夫,渡辺 千種,鈴木 啓介 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 566標準的神経治療:不眠・過眠と概日リズム障害 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 573日本神経治療学会会報 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 615編集後記 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 616神経治療 Vol. 33 No. 4(2016)497
神経疾患に対する鍼治療効果とその作用機序  ―神経内科との連携とその成果― 山口 智 Vol. 34
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S171&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録メディカルスタッフレクチャー11神経疾患に対する鍼治療効果とその作用機序 ―神経内科との連携とその成果―やまぐち さとる埼玉医科大学東洋医学科 山口  智鍼灸治療は,2000年以上の長い歴史を有する東洋古来の伝統医療であり,数多くの疾病や症状に効果が期待できる.また,鍼灸治療は,機械的刺激や温熱的刺激により,局所や中枢を介しさまざまな器官に影響を及ぼすことが知られている.1972年に中国での鍼麻酔の報道を契機に,わが国においても鍼治療の基礎・臨床研究が進められた.さらに,1997年には米国国立衛生研究所(national institute of health:NIH)の合意形成声明が報告され,世界的に鍼治療への関心が高まり,近年,特に欧米においても鍼治療の臨床や研究が進んでいる.鍼治療の適応症については,NIHやWHOから数多くの疾患が挙げられた.2014年にはCochraneより慢性頭痛,緊張型頭痛,頸部障害,術後の嘔気・嘔吐,原発性月経困難症,妊娠中の腰痛・骨盤痛,陣痛軽減などが肯定的な疾患として示されている.本学における東洋医学部門の経緯は,1984年に第二内科の一部門として発足し,30年にわたりこの分野の診療や研究・教育に従事してきた.研究面においては,開設当時より神経内科をはじめ,多くの教室と共同で鍼治療の効果やその作用機序に関する研究を推進してきた.当科では,日常の診療で取り扱う頻度が高い,片頭痛や緊張型頭痛,脳血管障害,末梢性顔面神経麻痺,非特異的腰痛,シェーグレン症候群,悪性腫瘍,慢性腎不全等に対する鍼治療の効果と作用機序について,国内外の関係医学会にその成果を報告してきた.これらの成果の中で,鍼治療は単に局所の反応のみならず,高位中枢を介し,症状の改善に寄与していることが明らかとなった.また,鍼治療による生体反応は,疾病や症状を有する患者群と健常者ではその反応に差異があり,鍼治療は生体の恒常性に関与する可能性が示唆された.こうした鍼治療による生体の正常化作用が伝統医療の特質と考えている.本講演では,先に述べたように神経内科と連携し診療や研究を推進してきた一次性頭痛,脳血管障害,末梢性顔面神経麻痺等に対する鍼治療効果とその作用機序(脳循環・自律神経)について紹介し,医療連携の必要性の高いことを強調する.こうした知見より,医療連携を推進し現代西洋医学と融合することで,伝統医療である鍼灸治療が新しい時代の医療として確立されることを強く念願している.◆略歴学歴1992年 埼玉医科大学大学院専攻生課程修了1995年 博士(医学)職歴1981年 (財)東洋医学技術研修センター研究員1988年 筑波大学講師(兼任)2002年 埼玉医科大学 東洋医学診療科 主任現在,埼玉医科大学 医学部講師◆学会活動全日本鍼灸学会理事,第58回全日本鍼灸学会学術大会々長,日本東洋医学系物理療法学会理事・副会長,日本疼痛心身医学会理事,日本東洋医学会代議員・学術教育委員,日本温泉気候物理医学会評議員・学術研究委員,日本自律神経学会・日本頭痛学会評議員,第15回日本統合医療学会大会副会長神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S171
しびれの病態と治療―末梢神経を中心に― 小池 春樹 Vol. 34
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S166&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録メディカルスタッフレクチャー6しびれの病態と治療―末梢神経を中心に―こいけ はるき名古屋大学大学院医学系研究科神経内科 小池 春樹末梢神経障害(ニューロパチー)はしびれの主要な原因であり,様々な要因で生じることが知られている.病態に応じた治療が可能な場合が多いことから,不可逆な変化が生じる前の早期診断と治療介入が重要である.病歴,臨床症候,血液・髄液検査所見,画像所見,電気生理学的所見,病理学的所見などに基づいて総合的に診断する必要があるが,原因が多様であるために確定が困難であることも稀ではない.神経生検は,血管炎,アミロイド,類上皮細胞性肉芽腫,リンパ腫の浸潤などの比較的疾患特異性の高い所見を直接証明する以外に,脱髄や軸索変性の有無や程度,障害される神経線維(大径有髄線維,小径有髄線維,無髄線維など)の選択性などから原因疾患を推定することも可能であり,診断が困難な症例においては有用な検査である.浸襲的な検査であることを念頭においた慎重な適応の判断が必要であるが,例えば,初期に慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(chronicinflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy ; CIDP)の電気生理学的診断基準を満たした症例でも後にアミロイドニューロパチーやリンパ腫に伴うニューロパチーであることが明らかになるような症例も報告されており,非典型例では施行する価値がある.病理学的には,ニューロパチーは末梢神経伝導検査と同様,おおまかには脱髄性ニューロパチーと軸索変性性ニューロパチーに分類される.脱髄性ニューロパチーの代表的疾患はCIDPであり,診断の際には臨床病型と末梢神経伝導検査所見が重視されるが,神経生検ではマクロファージによる髄鞘の貪食像がみられる場合がある.軸索変性性ニューロパチーでは,神経線維の障害の選択性から原因の特定が可能な場合がある.つまり,大径線維優位の障害をきたすタイプ(大径線維優位型)と小径線維優位の障害をきたすタイプ(小径線維優位型)があり,前者は傍腫瘍性神経症候群やシェーグレン症候群などで,後者はアミロイドーシス,ファブリー病,糖尿病の一部などでみられることが知られている.本日は,このような観点からニューロパチーの病態と治療について概説する.◆略歴学歴平成 7年 3月 東北大学医学部卒業平成14年 3月 名古屋大学大学院 医学系研究科修了(医学博士)職歴平成 7年 6月 春日井市民病院臨床研修医平成 9年 4月 愛知県済生会病院神経内科医員平成14年 4月 名古屋大学大学院医学系研究科神経内科医員平成20年 4月 名古屋大学大学院医学系研究科神経内科客員研究者平成20年10月 名古屋大学医学部附属病院病院助手平成21年 4月 名古屋大学医学部附属病院病院助教平成25年 2月 名古屋大学医学部附属病院病院講師平成26年 4月 名古屋大学医学部附属病院講師平成28年 1月 名古屋大学大学院医学系研究科 准教授現在に至る所属学会:日本神経学会(代議員),日本内科学会,日本末梢神経学会(監事,Peripheral Nerve 末梢神経 編集委員),日本自律神経学会(評議員,第68回日本自律神経学会総会副会長),日本神経免疫学会,日本老年医学会,日本神経治療学会,Peripheral Nerve Societyその他:Nutrition, Editorial Advisory Board神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S166
臨床でよく出会う自律神経症状とその解釈 國本 雅也 Vol. 34
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S156&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録マラソンレクチャー14臨床でよく出会う自律神経症状とその解釈くにもと まさなり医療法人伸援会くにもとライフサポートクリニック 國本 雅也自律神経系は私たちのからだの恒常性維持に重要な神経系で,その反応が異常になったときに臨床症状として気づかれることになる.今回は心血管系,発汗系,瞳孔系について,臨床的によく出会う症状を取り上げる.1)心血管系では起立性低血圧が最も多い.強い症状はpandysautonomia,多系統萎縮症,レビー小体型認知症で出現する.臨床症状は立ちくらみ,めまい感,失神である.ベッドサイドでは起立試験,詳しくはヘッドアップティルト試験で評価する.同時に起立前後で血中ノルアドレナリン値を測定すると節後神経の障害が強い例では基礎値が低い.また同時にバソプレシンを測ることで,圧受容体から脳幹・視床下部への求心路機能を評価できる.交感神経・副交感神経の障害では,臨床的に体位変換で心拍数が増加しないことが見られる.多系統萎縮症では起立時逆に減少することもあり,心臓交感神経β系の高度低下と迷走神経機能の残存が示唆される.視神経脊髄炎では延髄病変で頻脈が見られた.2)発汗系では後天性特発性全身性無汗症では汗腺レベルの障害により強い全身性無汗とうつ熱を生じる.基礎に免疫異常が考えられており,ステロイドパルス治療により改善する.Fabry病も初期の例では皮膚交感神経活動が捉えられるが発汗は低下しているので,汗腺の障害が先行すると考えられる.節後神経の障害では糖尿病性ニューロパチーや家族性アミロイドポリニューロパチーで四肢遠位,体幹に斑状に無汗・低汗域を生じる.脳血管障害の大脳病変では対側で亢進,脳幹部病変では同側で低下.その理由は前者では大脳皮質から対側に向かう発汗抑制路の障害,後者は視床下部から同側を下降する発汗促進路の障害と考えられている.多系統萎縮症では下肢遠位からの発汗低下が進行とともに上行する.パーキンソン病も同様の傾向を示すがその他のパターンもある.前者が胸髄中間質外側核の節前ニューロンの脱落が尾側から上行するのがメインの障害に対し,後者は節後・節前・中枢の障害が様々に重複するためであろう.AIDSの視床下部病変では発汗亢進となったケースがある.3)瞳孔系ではホルネル症候群が多い.星状神経節ブロックや手術による後遺障害の他,肺尖部癌の浸潤で生じている場合がある.同側の顔面皮膚温も上昇し,発汗低下は顔面のみならず体幹部でも低下する.アディー症候群は強い散瞳状態に驚くことがあるが,視力や視野には影響がない.◆略歴1979年 山口大学医学部 卒業1981年 日本赤十字社医療センター 神経内科 専修医1983年 国立療養所下志津病院 神経内科 技官1984年 東京大学医学部附属病院 神経内科 医員1989年 スウェーデン王国イェーテボリ大学 臨床神経生理学部門 研究員1991年 横浜労災病院 神経内科 副部長,1996年 部長2001年 国立国際医療センター 神経内科医長2007年 済生会横浜市東部病院 脳神経センター長2011年 済生会神奈川県病院 診療部長 神経内科部長2012年 くにもとライフサポートクリニック 院長 現在に至る神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S156
末梢神経障害の診断と治療 増田 曜章, 植田 光晴, 安東 由喜雄 Vol. 33
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=2&kijiCd=33_158&screenID=AF06S010 末梢神経障害の診断と治療●特集/メディカルスタッフ教育講演(疾患シリーズ)6末梢神経障害の診断と治療*増田 曜章** 植田 光晴** 安東由喜雄**Key Words:peripheral neuropathy, small fiber neuropathy, autonomic dysfunction, amyloidosis, familialamyloid polyneuropathy(神経治療33:158?161,2016)はじめに み,ふらつきが主体の感覚障害優位型,起立性低血圧,発汗末梢神経障害(ニューロパチー)は,手足の痺れや筋力低 障害,膀胱直腸障害などが主体の自律神経障害優位型に分け下などを呈し,日常診療で非常に多く遭遇する疾患である. られる.障害分布による分類では,一つの末梢神経にのみ障末梢神経障害の原因は多種多様であり,詳細な病歴聴取およ 害がみられる単神経障害,左右対称性に末梢優位に障害がみび神経学的所見の評価に基づき,種々の検査を行うことが診 られる多発神経障害,非対称性に複数の末梢神経に障害がみ断に重要である.また,看護師,検査技師など多職種が診断 られる多発単神経障害に分けられる.発症様式の分類では,と治療に関与することから,医師以外のメディカルスタッフ 急性型,亜急性型,慢性型に分けられる.病因による分類でにおいても本症を把握しておく必要がある.神経生理検査で は,炎症性・自己免疫性,膠原病性,代謝・栄養障害性,腫は,神経伝導速度検査が最も頻繁に行われている.しかし, 瘍性・傍腫瘍性,薬剤性,中毒性,感染性,遺伝性,その他本検査は主に大径有髄神経の機能を反映しているため,糖尿 に分けられる.また,神経線維の種類により,大径線維優位病性ニューロパチー,アミロイドニューロパチーなどの発症 に障害されるか,小径線維優位かに区分する分類もある.本早期より小径線維優位型のニューロパチーの評価法としては 症の診断においては,遭遇した臨床像を上記のように分類発症早期には有用でない1).末梢神経障害の診療において, し,該当する疾患を推測し,検査を進めていく.末梢神経障大径神経のみならず,小径神経の機能評価を行うことが重要 害の病態評価法は,主に神経生理検査と病理組織学的検査でである.小径神経障害で発症し,病状の進行とともに大径神 ある.前者は神経伝導速度と針筋電図検査が最も頻繁に行わ経障害が合併する代表的疾患として,遺伝的に変異したトラ れる検査である.神経伝導検査では,運動神経伝導検査,感ンスサイレチン(transthyretin:TTR)が原因で起こる家 覚神経伝導検査を行い,脱髄性か軸索性か,末梢神経の局在族性アミロイドポリニューロパチー(familial amyloid poly- 診断を主に行う.また,本検査は治療効果判定など,予後判neuropathy:FAP)がある.近年,肝移植療法に加え,四 定にも重要である.神経伝導検査よりは侵襲が高いが,針筋量体安定化剤が実用化し,現在もgene silencing療法など 電図も障害の分布や局在診断の検討する上で重要である.し様々な治験がすすめられている.本稿では,末梢神経障害の かし,これらの検査では,アミロイドニューロパチー,糖尿分類と診断へのアプローチ,小径線維機能評価,FAPについ 病性ニューロパチーなどの発症早期からAδ線維やC線維のて概説する. 障害を主とする小径線維優位型のニューロパチーの早期診断法としては有用でなく,様々な自律神経機能検査をはじめとI .末梢神経障害の分類と診断へのアプローチする生理機能検査法を応用する必要がある.病理組織学的検末梢神経障害の原因は非常に多いため,まず,臨床像をカ 査としては,腓腹神経生検を行い,神経密度を算定する方法テゴリー化することが本症の診断に役立つ.症状による分類 やときほぐし法による脱髄や軸索変性の度合いを調べる.しでは,筋力低下や筋萎縮が主体の運動障害優位型,痺れ,痛 かし,腓腹神経生検は痛み伴い,生検後に支配領域のカウザ* Diagnosis and therapy of peripheral neuropathy.** 熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学分野 Teruaki MASUDA, Mitsuharu UEDA, Yukio ANDO : Department of Neurology, Graduate School of MedicalSciences, Kumamoto Universityhttp://doi.org/10.15082/ jsnt.33.2_158神経治療 Vol. 33 No. 2(2016)158末梢神経障害の診断と治療Fig. 1 Analysis of small?fiber neuropa-thy using various autonomic function Corneal confocal microscopytestsR-R interval study Head-up Tilt Test123I-MIBG scintigraphy ElectrogastrographyGastric mucosal biopsyCapsule type sweating ratemeter Skin biopsyLaser-Doppler flowmetry Quantitative sensation testingルギーなどの頑固な痛み,痺れを呈する可能性があるなどの 記録する.また,簡便な手法として生検皮膚をH.E.染色し,問題点もある.近年,侵襲が低く経時的評価も可能な皮膚生 汗腺の形態を評価することも有用である.検による表皮内神経密度を算定する方法も注目されている. 3. 定量的感覚検査また,末梢神経障害の非侵襲的評価法として,神経超音波検 小径神経障害の有無の客観的指標として,quantitative査およびMagnetic resonance neurography(MRN)が末梢 sensory testing(QST)が役立つ.被験者に各種刺激(熱,神経障害の形態と病態の評価法として注目されている2, 3). 冷却,電流,振動等)を与え,その強度を変化させた時の応答によって知覚閾値を定量化する検査である.当院では,II .小径線維機能評価PNS?7000+NM?990Wや,Computer Aided Sensory Eval-我々の施設では,FAPの早期診断法として考案してきた uation System (CASE)? IVを用いている.様々な自律神経機能検査を中心に,小径線維機能の評価を 4. 上部消化管の検査行っている(Fig. 1). 糖尿病性胃症などの上部消化管機能異常も小径線維優位型1. レーザードプラ皮膚血流検査 のニューロパチー患者でみられる症状である.胃の活動にお足底など皮膚無毛部の皮膚血管は,深呼吸や運動負荷など いて,胃体上部1/3大攣側には,胃のペースメーカーが存在の物理的刺激や,暗算などの精神的ストレスに反応して収縮 し,ここから1分間に約3回の収縮活動と,摂食活動によりし,速やかに皮膚血流量を減少させる.レーザードプラ皮膚 出現する蠕動運動が発生し,輪状に幽門部に伝播する.胃電血流計を用い,各種ストレスによる皮膚血流量の変化を確認 図検査では,これらを体表面から電気生理学的に解析でき,すれば,C線維の障害度を類推できる.FAP患者において 小径線維優位型のニューロパチー患者では,健常者に比べ空は,発症早期のみならず,asymptomaticな時期においても 腹時(食前)における胃の電気活動が低下し,食事摂取後の異常を認めることがあり,小径線維障害の発症をとらえる上 胃の電気活動のピークも遅延する.その他,病理組織学的にでも極めて鋭敏な検査法である4). 胃粘膜内の小径線維密度やCajal細胞密度を評価する方法も2. 発汗機能検査 ある.全小径線維ニューロパチー患者の74%に早期から発汗障害 5. 心臓の自律神経機能検査を認める報告があり5),汗腺に分布するコリン作動性交感神 心臓の自律神経機能障害も小径線維優位型の各種ニューロ経節後線維(C線維)の機能評価が重要である.発汗機能検 パチー患者で,高頻度にみられる症状の一つである.従来の査として,ミノール氏法,定量的軸索反射性発汗試験など 従来の心電図R?R間隔変動係数と組み合わせて,心臓交感神様々な検査法があるが,最も簡便かつ定量的検査が,直接換 経密度を可視化し,視覚的かつ定量的に交感神経機能を評価気カプセル法である.早期から障害を受けやすい下腿部外側 できる123I?MIBG心筋シンチグラフィーを用いている6).と,ニューロパチーがかなり進行しないと障害を受けにくい 6. その他大腿部の2か所において安静時発汗,ならびに各種発汗誘発 近年は,侵襲の低い繰り返し施行可能な病理組織学的検査刺激(暗算,ピンチ刺激,深呼吸など)に対する発汗反応を 法として皮膚生検を用いた表皮内神経線維密度,角膜共焦点神経治療 Vol. 33 No. 2(2016)159末梢神経障害の診断と治療A B Fig. 2 The density of intraepidermalnerve fibers is reduced in TTR?FAP pa-tient (A) compared to healthy control(B). (Scale bars : 50μm.)顕微鏡を用いた角膜神経密度の評価も,小径神経障害の指標 臓型,脳髄膜型の3型に分類できる.熊本県と長野県,石川として臨床応用されている7). 県に患者集積地が確認されていたが,近年,日本各地に集積地と関連のない高齢発症の弧発例のVal30Met症例が分布しIII .アミロイドーシスていることが明らかになっている.非集積地のFAPは,自1. 疾患概念・定義 律神経障害が軽微であることから,慢性炎症性脱髄性多発神アミロイドーシスは,難溶性のアミロイド線維が細胞外に 経炎などの他の末梢神経障害と診断されていることもしばし沈着し,様々な機能障害を起こす疾患群の総称である8).全 ば認められ,注意が必要である.FAPで最多のVal30Met型身諸臓器に沈着する全身性アミロイドーシスと,特定の臓器 では,一般的にアミロイド沈着により,小径無髄線維から大に限局して沈着する限局性アミロイドーシスに大別され,更 径有髄線維の順に障害が進行するため,下肢末端のしびれに種々のアミロイド線維の前駆蛋白質の種類により分類され 感,温痛覚障害を主体とする解離性感覚障害にはじまり,進る.現在までに30種類以上の異なる原因蛋白質が同定され 行とともに深部感覚,運動神経を含めた,全感覚が障害されている.近年,高齢化社会の到来に伴い患者数は増加してお る.また,下痢,便秘,などの消化器症状,起立性低血圧にり,アミロイドーシス診断技術の発展により,適切に診断さ よる失神などの自律神経障害で初発することも多い.神経伝れる症例が増加している. 導検査や前述の様々な自律神経機能検査を用いて病勢を評2. 診断および検査 価する.その他,心エコーにて心室中隔の肥厚,granularアミロイドーシスは,前駆蛋白質やそれぞれの臨床病型に sparkling,輝度の上昇など,アミロイド心筋症の所見が検より,沈着臓器が異なるため,多彩な症候を呈する.そのた 出され,MRNでは末梢神経の肥大などが認められる.また,め,臨床症状,基礎疾患,家族歴から本症を疑わないと診断 発症早期より表皮内神経密度が減少し,感覚障害の重症度やが遅れ,有効な治療を受けることができなくなる.本症の確 罹病期間と負の相関を示すことから,皮膚生検は小径線維機定診断に生検組織の病理学的評価が必須である.アミロイド 能の評価に極めて有用である(Fig. 2).FAPの治療としてはコンゴ・レッド染色で橙赤色に染まり,偏光顕微鏡下で緑 は,異型TTRの95%以上が肝臓で産生されるため,肝移植色の偏光を呈する.アミロイド沈着を認めた場合,アミロイ 療法が実施される場合がある.若年発症のFAP ATTRド前駆蛋白質に対する抗体を用いた免疫組織化学染色を行 Val30Metに対して病初期に肝移植を施行すると,術後に症い,病型を診断する.しかし,免疫組織化学染色単独では, 状の進行が停止し,生命予後が改善することが明らかに確定診断が困難な場合も少なくない.コンゴ・レッド染色し なっている10).しかし,移植後も網膜の色素上皮細胞から異たアミロイド沈着部位をレーザーマイクロダイセクションで 型TTRが産生されるため,アミロイド沈着による眼症状は分取し,高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置 移植では阻止できず,また,移植後も心症状や肥大が進行す法で解析することで,アミロイド前駆蛋白質を同定すること るなどの問題もある.ドナー不足の問題から,FAPの肝臓はが可能である.また,遺伝性アミロイドーシスが疑われる場 異型TTRを産生する以外の肝機能は正常なため,FAP患者合は,アミロイド原因蛋白質の遺伝子解析も必要に応じて行 の肝臓が重症肝疾患患者にドミノ移植されることがある.こう. れらのセカンド・レシピエントの患者に,アミロイド3. FAP ニューロパチーを発症した症例が世界各地で近年報告され最も多いFAPはTTRがアミロイド前句蛋白質となり生じ ている.本症に対する新たな治療として,TTRの四量体の立るTTR型FAPである.これまでに130種類以上のTTRの遺 体構造を安定化させるタファミジスがニューロパチーの進行伝子変異型が報告されている9).表現型は,末梢神経型,心 を遅延させることが明らかになり,近年臨床応用された11).神経治療 Vol. 33 No. 2(2016)160末梢神経障害の診断と治療その他,TTRの産生を抑える治療法として,siRNA,アンチ thyas analyzed by laser Doppler flowmetry, capsule hydro-センスなどによる gene silencing 治療の治験が行われ, graph, and cardiographic R?R interval. Muscle Nerve 15 :507?512, 1992siRNAの治験に関しては本邦でも,熊本大学,信州大学,5)Low VA, Sandroni P, Fealey RD et al : Detection of small?名古屋大学で行われている.さらに,ミスフォールディングfiber neuropathy by sudomotor testing. Muscle Nerve 34 :を起こしたTTRの分子表面に露出した新たな抗原に対する 57?61, 2006抗体治療,アミロイドの重合を抑制する化合物の投与研究な 6)Ando Y, Obayashi K, Tanaka Y et al : Radiolabelled meta?io-ども行われている. dobenzylguanidine in assessment of autonomic dysfunction.Lancet 343 : 984?985, 19947)Quattrini C, Tavakoli M, Jeziorska M et al : Surrogate mark-本論文はCOI報告書の提出があり,開示すべき項目はありません. ers of small fiber damage in human diabetic neuropathy.Diabetes 56 : 2148?2154, 2007文   献 8)Westermark P, Benson MD, Buxbaum JN et al : A primer of1)Ando Y, Suhr OB : Autonomic dysfunction in familial amyloi- amyloid nomenclature. Amyloid 14 : 179?183, 2007dotic polyneuropathy (FAP). Amyloid 5 : 288?300, 1998 9)Ando Y, Coelho T, Berk JL et al : Guideline of transthyretin?2)Zaidman CM, Al?Lozi M, Pestronk A : Peripheral nerve size related hereditary amyloidosis for clinicians. Orphanet Jin normals and patients with polyneuropathy : an ultrasound Rare Dis 8 : 31, 2013study. Muscle Nerve 40 : 960?966, 2009 10)Yamashita T, Ando Y, Okamoto S et al : Long?term survival3)Kollmer J, Hund E, Hornung B et al : In vivo detection of after liver transplantation in patients with familial amyloidnerve injury in familial amyloid polyneuropathy by magnetic polyneuropathy. Neurology 78 : 637?643, 2012resonance neurography. Brain 138 : 549?562, 2015 11)Coelho T, Maia LF, Martins da Silva A et al : Tafamidis for4)Ando Y, Araki S, Shimoda O et al : Role of autonomic nerve transthyretin familial amyloid polyneuropathy : a random-functions in patients with familial amyloidotic polyneuropa- ized, controlled trial. Neurology 79 : 785?792, 2012Diagnosis and therapy of peripheral neuropathyTeruaki MASUDA, Mitsuharu UEDA, Yukio ANDODepartment of Neurology, Graduate School of Medical Sciences, Kumamoto UniversityPeripheral neuropathies are common disorders in the type sweating ratemeter, electrogastrography, R?R inter-daily medical practice, and often cause weakness, numb- val study, 123I?MIBG myocardial scintigraphy, head?upness, pain, and autonomic symptoms. The several specific tilt test, and intraepidermal nerve fiber density, are use-clinical laboratory tests are useful for the diagnosis of pe- ful. TTR?FAP is an autosomal?dominant inherited disor-ripheral neuropathies. Nerve conduction studies are not der characterized by systemic accumulation of amyloid fi-useful for evaluating small fibre neuropathy, such as early brils in various organs and peripheral nerves. To date,stage of transthyretin?related familial amyloid polyneur- more than 130 mutations in the TTR gene have been re-opathy (TTR?FAP) characterized by involvement of small ported. In TTR?FAP, several therapies have been devel-fibres such as Aδ and C fibres. To evaluate small fiber oped in the recent decade. In addition to liver transplanta-neuropathies, various autonomic function tests, such as tion, tetramer structure stabilizers were developed. Also,laser?Doppler flowmetry, sweating tests using capsule gene silencing drugs are under clinical trials.神経治療 Vol. 33 No. 2(2016)161
Parkinson病 柏原 建一 Vol. 33
                   
                   
                    (2016)
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=3&kijiCd=33_313&screenID=AF06S010 Parkinson病●特集/メディカルスタッフ教育講演(疾患シリーズ)7Parkinson病*柏原 建一**Key Word:motor symptoms, non?motor symptoms, pathology, diagnosis, management(神経治療 33:313?317,2016)はじめに Table 1 Motor and non?motor symptoms of Parkinson's diseaseParkinson病(Parkinson's disease:PD)はAlzheimer Parkinson病の運動,非運動症状病と並ぶ代表的神経変性疾患の一つである.わが国では人口 運動症状10万人あたり150人程度が罹患する.50歳以後発症が増え,  4主徴:動作緩慢,静止時振戦,筋強剛,姿勢反射障害70歳以降は概ね100人に1人の有病率である1).主な症状に動  すくみ,姿勢障害(腰曲がり,Pisa徴候,首下がり),構音・嚥下障害 運動合併症:ウエアリングオフ*,ジスキネジア*作緩慢,静止時振戦,筋強剛,姿勢反射障害があり,4主徴とされる.進行すると薬物が効きにくい嚥下,構音障害,す 非運動症状くみ,易転倒などが出現し,コントロール困難となる.運動  自律神経症状:口渇,流涎,便秘,腹満,頻尿,性機能障害,起立性低血圧,発汗過多障害以外にも自律神経障害,精神障害,認知機能障害,睡眠 睡眠障害:REM睡眠行動障害,不眠,中途覚醒,日中過眠*,突発的睡障害など,非運動症状と呼ばれる様々な障害がいずれも高頻眠*,下肢静止不能症候群(レストレスレッグズ症候群)度に現れる2)(Fig. 1).薬効が服薬後短時間で失われるウエ 認知・精神機能障害:うつ,不安,パニック,アパシー,アンヘドニアリングオフ,口・舌,四肢・体幹が過剰かつ不随意に動く ア,幻覚・妄想,認知機能障害,衝動制御障害*ジスキネジア,下腿浮腫,日中過眠,突発的睡眠,衝動制御  その他:嗅覚障害,感覚障害,疲労障害(性欲亢進,ギャンブル熱,過食)など,一部の症状は *薬剤誘発性治療薬によって引き起こされる.これら症状をTable 1にまとめた.呈する同一病態の疾患群(Lewy小体病)である.I .PDの病態過半数の症例でLewy病理は末梢から中枢へと上行する3, 4).運動障害は中脳黒質のドパミンニューロンの変性で生じる すなわち,PD症状は便秘や立ちくらみなど末梢の自律神経が,他にもコリン系,セロトニン系,ノルアドレナリン系な 障害から始まり,延髄,橋(RBD),青班核(うつ)などをどの中枢神経系が系統的に変性,脱落する.末梢の自律神経 巻き込みつつ上行し,中脳の黒質がある程度障害された時点系にも変性を生じる.PDにおける多彩な臨床症状は,末梢 でPD特有の運動障害が出現する.更に進展して大脳が障害から中枢に及ぶ広範な神経系の変性が背景となる.神経変性 されると幻覚・妄想や認知機能障害が明らかとなる.嗅覚障に際し,Lewy小体と呼ばれる封入体かその類似体が出現す 害に始まって病態が上,下行する例,大脳皮質に始まって下るのが特徴である.PD以外にも,起立性低血圧を主徴とす 行する例もある4).る純粋自律神経失調症,就寝中に叫んだり,荒々しい寝ぼけII .PD症状と診断症状を伴う夢の行動化を特徴とするREM睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder:RBD),物忘れや幻覚が早 PD発病は運動症状が発現した時点とされるが,実際には期から顕在化するLewy小体型認知症(dementia with Lewy 便秘,頻尿,起立性低血圧などの自律神経障害,腰痛や下肢body:DLB)などが知られるが,いずれも同じLewy病理を 痛などの感覚障害,RBD,嗅覚障害,うつ,不安,パニッ* Parkinson's disease.** 岡山旭東病院神経内科 Kenichi KASHIHARA : Department of Neurology, Okayama Kyokuto Hospitalhttp://doi.org/10.15082/ jsnt.33.3_313神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)313100All?n=1806040200ク等,一部の非運動症状が先行する(Fig. 2).従って運動 が有効であるが,運動合併症のため治療反応が不安定か,副障害を元にPDと診断した時点では既に多彩な非運動症状が 作用のため薬物使用が困難であり,かつ認知機能障害のない出現しており,患者はしばしば運動以外の症状を主訴に受診 症例である.する.対応する医師の注目点により初期診断も便秘症,起立 更に進行すると認知機能障害,幻覚,妄想が顕在化し,運性低血圧,過活動膀胱,腰痛症,更年期障害,RBD,うつ 動障害の重症化と相俟って介護困難となる.このような進行病,パニック障害など,多彩な診断名となる.中高年以後に 期には身体の前傾や側屈を呈する姿勢異常も顕在化する.姿これらの症状が初発した患者では,PDかDLBを想定し,幅 勢異常は早期から見られ,動作緩慢,仮面様顔貌とともに,広く運動,非運動障害を拾い上げる姿勢が正しい診断に重要 患者が診察室に入ってきた瞬間にPDの診断名を思い浮かべである.また,非運動障害の検出は早期確定診断の参考と る契機となる.60歳で発症した患者が自活できる期間は平均なる. して15年程度であるが,個人差が大きく,30年以上自活で発症後の経過であるが,運動障害発現後5年間程度運動症 きている例もある.概して若年発症者では自活期間が長く,状はドパミン補充療法によく反応して改善し,ハネムーン期 高齢初発者では短縮する.と呼ばれる(Fig. 2).その後,レボドパの副作用としてウエ 鑑別疾患には正常圧水頭症,血管障害,本態性振戦,多系アリングオフ,ジスキネジアなどが出現するようになり,治 統萎縮症,進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症,療が困難となる.このような症例では,脳深部刺激術などの sulpirideなどで生じる薬剤性パーキンニズムが挙げられる.脳外科的手術を考慮することがある.対象患者は,レボドパ 鑑別には非運動症状を含む臨床症状の把握,経過,家族歴,Fig. 1 Frequency of non-motor symp-(%)toms in Parkinson's disease by its severi-ty072?Parkinson病の重症度別非運動症状出現率HY 1?n=167?Barrone et al2)の図を改変.HY 1.5-2?n=515?HY 2.5-3?n=325?HY 4-5?n=49???????????????????????????B?????????≧?? ?????? ??????????ぬ??????≧??? ???≧ ??? ????? ???-???? ? ? ?? ?? ??? Fig. 2 Clinical co???????≧????urse of Parkinson'sdiseaseParkinson病の臨床経過Gershanik5)の図を改変.Parkinson病神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)314Parkinson病Fig. 3 Guideline to start medication forParkinson's disease デ?Parkinson病治療開始時の薬物使用指針Parkinson病治療ガイドライン6)による.????????? ??? ???デ?????????? ?????????? ???????70?75????????????????≧???????? ?? L-??????????? *?????Hoehn-Yahr 3????????????≧??????? ???????????????????????????*? ?????????????????? ? L-??????????? ????≧?????? ?????????????? ????????? L-?≧?????? L-?????????????? ?? ?????????????? ??????ほ? ??ほ????????? ??????L-??????????服薬歴,頭部MRI像などが重要である.近年,脳内ドパミ Table 2 Drugs used to manage Parkinson's diseaseン終末の変性を検出できるドパミントランスポーターイ Parkinson病の治療薬ドパミン補充療法薬メージング(ダットスキャン)が利用出来るようになった.黒質におけるドパミン細胞病変の検出には3T?MRIによるメ  レボドパ製剤ラニン画像も参考になる.これらは黒質,線条体におけるド   レボドパ,レボドパ/DCI,レボドパ徐放,持続注入パミンニューロンの障害を反映するが,PDに限らず,多系  ドパミン受容体作動薬(ドパミンアゴニスト)統萎縮症などの非定型パーキンソニズムや多発性脳梗塞でも   麦角系(bromocriptine,pergolide,cabergoline)異常を呈する.一方,MIBG心筋シンチグラフィーは心臓の   非麦角系(pramipexole,ropinirole,apomorphine(注射薬,レスキュー用),rotigotine(貼付剤))交感神経終末の機能を反映しており,Lewy病理の病態診断 MAO?B阻害薬(selegiline),COMT阻害薬(entacapone)に有用である. ドパミン賦活型Parkinson病治療薬(zonisamide)III .治   療  ドパミン放出促進(+NMDA受容体拮抗)薬(amantadine)ノルアドレナリン作動薬(DOPS)PDの治療は,その症状のため日常生活に支障を生じる抗コリン薬(artane)ようになった段階で開始する.日本神経学会が作成したアデノシン受容体拮抗薬(istradefylline)Parkinson病治療ガイドライン20116)に示された治療導入時の薬物選択のアルゴリズムをFig. 3に示す.Parkinson病治療薬をTable 2に示した.基本的には変性脱落したドパミン系の機能を補うドパミン補充療法薬が用いられる.レボド 効が不安定となり,ウエアリングオフや,ジスキネジアなどパ製剤はドパミンニューロンに取り込まれてドパミンに代謝 の運動合併症を生じることがある.ドパミンニューロンの変され,シナプス間隙に放出される.ドパミンアゴニストはシ 性脱落によるシナプス前終末の減少に加え,間欠的なシナプナプス後ドパミン受容体を直接刺激して改善効果を示す. ス後ドパミン受容体の過剰刺激が感受性亢進を招き,反応をselegilineやentacaponeはドパミンやレボドパの代謝を阻害 不安定にする.運動合併症を生じやすいのは若年患者であし,その有効利用を延長させる薬物もある.ドパミン系以外 り,早期からレボドパ製剤を一日400mg/日以上服用する場に作用する薬物もある.治療ガイドラインに示された様に, 合に生じやすいと考えられている.運動合併症の出現予防目レボドパ製剤とドパミンアゴニストとが2大選択薬である. 的で,若年患者では半減期の長いドパミンアゴニストから開レボドパは安価ながら運動障害改善効果が高く,かつ短期的 始することがある.同じ目的でレボドパを用いる場合は,少副作用は少ない.しかし,若年患者を中心に,長期使用で薬 量分割頻回投与するか,半減期の長いドパミンアゴニストを神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)315Parkinson病併用し,ドパミン受容体を強過ぎない一定強度で持続的に刺 検討した国際的研究から,良いQOLのためには@初診時に激するような投薬法が奨められる.持続的刺激を重視する立 医師による納得できる十分な疾患の説明があること,A患者場からは,レボドパの効果を延長するentacapone,ドパミ が生活に対して楽観的であること,が重要と指摘されていン代謝を阻害して作用時間を延長させるselegiline,徐放性 る8).対応する医師による症状への十分な説明と前向き生活ドパミンアゴニスト(pramipexole,ropinirole)や貼付剤 への励ましがとても大切である.(rotigotine)が有用である.ドパミン系以外に作用して運動障害を改善し得る薬物としてzonisamide, istradefyllineも利 本論文に関連し,開示すべきCOI状態にある企業・組織や団体は以用可能である.急な運動障害悪化時にはレスキュー薬として 下の通り.apomorphineの注射薬が利用出来る. 講演料:第一三共株式会社,協和発酵キリン株式会社,大塚製薬株これら対応をしてもなお薬効変動が顕著な若年患者では, 式会社視床下核刺激術,淡蒼球刺激術が考慮される.レボドパへの治療反応性が良く,手術時年齢が若いほど手術の効果が高い 文   献傾向にある.レボドパで改善しない症状には手術も無効で 1)Yamawaki M, Kusumi M, Kowa H et al : Changes in preva-lence and incidence of Parkinson's disease in Japan during aある.quarter of a century. Neuroepidemiology 32 : 263?269, 2009IV .リハビリテーション 2)Barone P, Antonini A, Colosimo C et al : The PRIAMO study :A multicenter assessment of nonmotor symptoms and their運動療法は薬物療法とともに治療の両輪をなす.リハビリ impact on quality of life in Parkinson's disease. Mov DisordテーションはParkinson病患者の身体機能,筋力,バラン 24 : 1641?1649, 20093)Braak H, Del Tredici K, R?b U et al : Staging of brain pathol-ス,歩行速度,quality of life(QOL)の改善に有効と証明ogy related to sporadic Parkinson's disease. Neurobiol Agingされている.薬物治療に反応し難いすくみに対しては,外部24 : 197?211, 2003刺激,特に掛け声,音楽によるリズム刺激などの聴覚刺激 4)Zaccai J, Brayne C, McKeith I et al : Patterns and stages ofや,床に引いたラインをまたぐことでの改善が期待出来る. alpha?synucleinopathy : Relevance in a population?based co-運動症状改善以外にも,生活リズムを整え,日中過眠を改善 hort. Neurology 70 : 1042?1048, 2008し,前向き気分にし,身体機能,認知機能を高める効果が期 5)Gershanik OS : Clinical problems in late?stage Parkinson'sdisease. J Neurol 257(Suppl 2) : S288?S291, 2010待できる7).いずれも患者による前向きな参加,取り組みが6)日本神経学会(監修),「パーキンソン病治療ガイドライン」作必要である.積極的長期的参加を促すには患者の意欲を保 成委員会(編集):パーキンソン病治療ガイドライン2011.医ち,楽しく取り組める工夫が求められる. 学書院,東京 20117)Petzinger GM, Fisher BE, McEwen S et al : Exercise?en-おわりに hanced neuroplasticity targeting motor and cognitive circuitryin Parkinson's disease. Lancet Neurol 12 : 716?726, 2013治療法の進歩により,60歳以後の発症では,寿命は健常者8)Global Parkinson's Disease Survey Steering Committee : Fac-とほとんど変わらなくなった.患者さんに質の良い生活を楽 tors impacting on quality of life in Parkinson's disease : re-しんでいただくためにも,身体状況が許す範囲内において積 sults from an international survey. Mov Disord 17 : 60?67,極的な日常生活活動の継続を促す必要がある.患者QOLを 2002神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)316Parkinson病Parkinson's diseaseKenichi KASHIHARADepartment of Neurology, Okayama Kyokuto HospitalParkinson's disease (PD) is a progressive disorder of the ral dementia, parkinsonism restricted to the lower limbs,nervous system that affects motor, neuropsychiatric, treatment with dopamine receptor blocker, etc. Drugs,sleep, autonomic, and sensory functions. Motor symptoms deep brain stimulation (DBS), and rehabilitation areof PD may include tremor, bradykinesia, muscle rigidity, measures to manage PD. Levodopa and dopamine ago-postural instability, and speech and swallowing disturban- nists are the cardinal drugs to treat motor symptoms.ces. Neuropsychiatric symptoms include depression, apa- Levodopa tended to induce motor complications such asthy, anxiety, cognitive impairment, hallucinations, and de- wearing off and dyskinesia if used in the larger amount oflusions. Sleep problems include insomnia, REM sleep more than 400 mg/day to PD patients with younger onset.behavioral disorder, excessive daytime sleepiness and sud- Dopamine agonists induce motor complication less fre-den onset of sleep. Main autonomic symptoms include con- quently than levodopa, but may include hallucinations,stipation, urinary dysfunction, orthostatic hypotension, daytime sleepiness and impulse control disorders such assexual dysfunction, drenching sweat. Anosmia and senso- hypersexuality, gambling, and eating. Apomorphine isry symptoms also are frequent complications of PD. Diag- used for quick relief. DBS is a surgical procedure to treatnosis of PD is determined by detecting these symptoms. motor symptoms of PD. Nowadays, increasing evidencesThe essential criterion is parkinsonism, which is defined support that physical activity improve motor and non-mo-as bradykinesia, in combination with at least 1 of rest tor symptoms of PD. Global Parkinson's disease surveytremor or rigidity. In addition, diagnosis of clinically es- steering committee concluded in 2002 that“satisfactiontablished PD requires absence of absolute exclusion crite- with the explanation of the condition at diagnosis”andria, at least two supportive criteria, and no red flags. “current feelings of optimism”have a significant impactExclusion criteria includes cerebellar abnormalities, on health-related quality of life of PD patients.downward vertical supranuclear gaze palsy, frontotempo-神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)317
日常診療でよく見られる自己免疫性脳症の診察ポイントと治療の実際 嶋 博 Vol. 34
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=3&kijiCd=34_160&screenID=AF06S010 自己免疫性脳症の診察ポイントと治療の実際●特集/教育講演4日常診療でよく見られる自己免疫性脳症の診察ポイントと治療の実際*嶋  博**Key Words:Hashimoto's encephalopathy, autoimmune encephalopathy, ganglionic ACh receptor antibody,psychosomatic disorders, conversion disorder(神経治療 34:160?162,2017)はじめに 軽症例が数多く日常外来を受診している.治療効果も得られ自己免疫性脳症は,抗NMDAR,Hu,Ma2,VGKC関連 やすく,診断マーカーもあるためわかりやすい疾患である1).など多様で,それぞれがはっきりとした臨床病型を呈する疾 さらにはこの範疇に入らず,自己抗体陰性の自己免疫脳症患もあるが,一方では橋本脳症の様に意識障害から比較的軽 も臨床の現場では多く遭遇するため,自己免疫脳症の種類はくありふれた症状を呈するなど幅が広いものもある1).また, かなり多いのであろう.我々は,そのような中で,自己免疫出産後,外傷後,手術後,注射後,事故後などに,必要以上 脳症については多くの自験例を治療し,免疫抑制による治療に重い神経症状が残存し,慢性化する症例を経験することも で驚くべき治療効果を上げる例も確認している2).あるが,これらの患者が持つ神経症候は,神経解剖学を中心 例えば,抗gAChR抗体は,1998年にVerninoらが自律神とした従来の神経診察では,全く不合理な所見であり,感覚 経節のACh受容体と結合する抗体を汎自律神経異常症の患異常の分布,麻痺の度合いと部位,腱反射などのほぼすべて 者血清中に検出したことから始まっている3).その疾患は,の神経所見が合理的には説明できないため,ほとんどが心因 autoimmune autonomic ganglinopathy(AAG)であり,発性機序,または,痛みの慢性化による波及した症状ととらえ 汗障害や消化管症状のほか,起立性低血圧などの多彩な自律られているのが現状である. 神経症状を広範に呈す.その後,2009年,抗gAChR抗体α3我々は,数年前から不合理な神経症状をもつ患者の原因解 サブユニット陽性で脳症を来した47歳女性の報告があり,当明を積極的に行い,その多くが免疫的な機序によるびまん性 初は,満腹感や便秘,羞明といった症状があり,IVIg,PSL脳障害であることがわかってきた2).ここで述べるびまん性 pulse,などで軽快した.その5か月後に歩行障害,眼振,錐脳障害というのは,脳がびまん性に少しずつ障害された状態 体路症状などの脳症状を見ている4).この報告と並行して,で,たとえば運動のなめらかさがない,持続ができにくいな 我々は,自律神経症状を呈する認知症など,自律神経障害とどの運動症状,様々な部位の疼痛や異常知覚,振動覚低下な 脳障害の関連する自己免疫性脳症を多数診療し,これまで25どの感覚の異常,記憶の低下や学習能力の低下などの高次機 例の抗gAChR抗体の陽性例を見いだしている.抗体と疾患能の障害,視覚の様々異常など視覚処理システムの障害な の直接の関連が完全に確立されたわけではないが,抗gAChRど,脳が行っていると思われる機能のうち,複数の脳機能が 抗体が,細胞表面の受容体への抗体であり,症状への強い関障害されることを想定している.これは,脳卒中的な一カ所 わりが示唆される.が集中して障害される局所解剖学的な考え方では理解しがた これらの疾患と鑑別となるDSM?IVの身体化障害(Soma-い症候となるので,注意が必要である. toform disorders)は,30歳以前に多数の身体的愁訴,少なその中心となる疾患のひとつでわかりやすい疾患に橋本脳 くとも4つの疼痛症状と2つの胃腸症状(嘔気,鼓腸,下痢症があり,そのほかにも多くの自己免疫脳症が存在する.た など),1つの性的症状(性的無関心,月経不順など)およびとえば橋本脳症は,従来考えられているよりきわめて多様で, 一つ以上の偽神経学的症状があることで診断される.この偽* Diagnostic tips and treatment of autoimmune encephalopathy.** 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経病学講座神経内科・老年病学 Hiroshi TAKASHIMA : Department of Neurology and Geriatrics, KagoshimaUniversity Graduate School of Medical and Dental Scienceshttp://doi.org/10.15082/ jsnt.34.3_160神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)160自己免疫性脳症の診察ポイントと治療の実際神経症状というのが,疼痛に限らず,神経学的疾患を示唆す あった.自己免疫性脳症では,脳のさまざまな部位が色々なるような協調運動障害,平衡の障害,麻痺,部分的な脱力, 程度に障害されているので,そのような分布になるのはむし嚥下困難,喉に塊がある感じ,失声,尿閉,幻覚,触覚,複 ろ自然であろう.それゆえ我々は,つじつまの合わない感覚視,盲,聾,けいれんなどの転換性症状,記憶喪失などの 障害をみると第一に自己免疫性脳症を考え,実際の診断に有解離性症状,失神以外の意識消失と定義されており,抗 効であることを確認している.gAChR抗体陽性脳炎と極めて近い症状であるため,両者の 非典型的な不随意運動を18名(28.6%)で認めたが,それ鑑別は極めて難しい.もしかしたらかなりのオーバーラップ らは,頚部や四肢の横揺れ,下肢の屈伸運動,体幹の屈曲伸があるかもしれない.バビンスキーが主張したように,心的 展,様々な部位のジストニア,偽クローヌスなど多彩である.原因の有無や心理学的特質からヒステリーと診断するより 橋本脳症の例で,1年半にわたって,特異な不随意運動を呈も,神経症候そのもの,即ち,ヒステリーの陽性徴候から, した例が,ステロイドパルス療法ですぐに運動が止まった例早期に積極診断を目指すべきという考え方もある5).しかし, や,全くParkinson病と区別がつかないパーキンソニズムの自己免疫性脳症の症候がわかるにつれ,その手法では誤診が 例なども経験している.Sydenham舞踏病など免疫機序の不多発してしまう危険がある.自己免疫性脳症の症状と身体表 随意運動はよく知られている.不随意運動においても,原因現性障害の類似性を考えれば,心因性疾患は,明らかな心因 精査においては自己免疫性脳炎を常に考える必要がある.の存在とその心因を除去することにより治る例の所見を重ねることで詳細が明らかになると考えられるが,これまでの報 まとめ告の診断はあまりにも簡単に鑑別され,神経症候中心で診断 我々のここ数年の実践では,ここに記載した診察法,とくがなされているので,この点が最大の問題であろう. に,give?way weakness,非典型的な感覚障害などは,きわ我々は,2013?15年に当科に入院した自己免疫性脳症を解 めて簡易に自己免疫性脳症患者をピックアップできる有用な析した2).症例は,橋本脳症(19例),子宮頸がんワクチン関 所見であり,これがみられた場合には,甲状腺抗体の測定,連脳症(24例),その他の自己免疫性脳症(20例)の合計63 脳SPECTの実施,そして免疫治療(たとえばプレドニン例である.その結果,その3つのグループで,持っている症 50mg・7日間など)の反応性などで,かなり多くの治療可能状に類似性があり,症状の多い順に四肢異常 感覚,筋力低 な患者を日常診療から診断しうるので,是非,実践いただき下,四肢運動障害,歩行障害,睡眠障害,不随意運動などで たい.あった.また,神経所見では,運動障害,上下肢のいずれかに麻痺を認めた42例中35名(83.3%)にgive?way weak- 本論文はCOI報告書の提出があり,開示すべき項目はありません.nessを認めた.このgive?way weaknessの所見のとり方は,具体的には,上腕二頭筋の徒手筋力テストのときに,患肢に 謝辞力を込めるように指示をすると,脱力の有無にかかわらず, 抗ganglionic AChR抗体を測定いただきました,熊本大学の中根ある一定の筋収縮を持続的に出すことが出来ず,ガクガクと 俊成先生に深謝いたします.その肘を曲げた姿が崩れてしまうものである.基底核?皮質の運動ループの障害により,持続的に力が入れられないもの 文   献と推定している.仮病や詐病でない証拠には,これらの障害 1)牧 美充,嶋 博:橋本脳症の診断と治療.BRAIN andは,よく右半身,左半身などの脳障害のパターンに合わせて NERVE 68(9) : 1025?1033, 20162)畑克徳,高嶋 博:自己免疫性脳症を見きわめるための新しみられることも多く,何回試行しても同じような筋力しか出い神経診察の提案 ―身体表現性障害との鑑別―.神経治療学ない.Give?way weaknessが心因性の所見として現在は捉 33(1) : 9?18, 2016えられているが,もし心因であるならばどのようなメカニズ 3)Vernino S, Adamski J, Kryzer TJ et al : Neuronal nicotinicムで,一側半身の伸展,屈曲などにかかわらず,同じような Ach receptor antibody in subacute autonomic neuropathy and筋力の持続が阻害されるという現象が起こるのか,不思議な cancer?related syndromes. Neurology 50 : 1806?1813, 19984)Baker SK, Morillo C, Vernino S : Autoimmune autonomic gan-ことである.glionopathy with late?onset encephalopathy. Autonomic Neu-また,感覚障害のある44名中36名(81.8%)に非典型的 roscience 146 : 29?32, 2009な感覚障害を認め,ほとんどの自己免疫性の脳症の感覚障害 5)園生雅弘:ヒステリー(転換性障害)の神経学.BRAIN andは,解剖学的な分布からするとつじつまが合わないもので NERVE 66(7) : 863?871, 2014神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)161自己免疫性脳症の診察ポイントと治療の実際Diagnostic tips and treatment of autoimmune encephalopathyHiroshi TAKASHIMADepartment of Neurology and Geriatrics, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental SciencesAutoimmune encephalopathies are clinically and immu- tary movement. We observed memory loss, PNES (psycho-nologically heterogeneous disorders. Many different types genic non?epileptic seizure), dissociative amnesia, hyper-of autoimmune encephalopathy have been discovered, and ventilation, opsoclonus, epilepsy, or autonomic symptomsmost common type may be Hashimoto encephalopathy in amongst our patients. Although give?way weakness, ana-it. In clinical situations, we often recognize that patients tomically unexplainable pain, and strange involuntarywith autoimmune encephalopathy are often misdiagnosed movements were thought to be psychogenic, the presenceas exhibiting functional psychogenic movement, conver- of one of these three symptoms was indicative of autoim-sion, or somatoform disorders. We clinically analyzed 63 mune encephalopathy. As autoimmune encephalitis exhib-patients with autoimmune encephalopathy. Two?thirds of its diffuse involvement with the whole brain, these symp-patients showed motor disturbance mostly with give?way toms were entirely understandable. Except for theweakness. About 70% of patients showed sensory abnor- presence of organic disease, most patients were classifiedmalities such as strong pain, deep muscle pain, dysesthe- into somatoform disorders or functional movement dis-sia, paresthesia, or fast neurologic pain. Most pain was orders. Without first excluding autoimmune encepha-distributed in manner that was not explainable anatomi- lopathy, physicians should not diagnose somatoformcally. 27% of patients exhibited involuntary movements disorders.such as tremor entrainment, dystonia, or coarse involun-神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)162
遺伝性ATTRアミロイドーシスの病態に基づいた 疾患修飾療法の開発 関島 良樹 Vol. 34
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S99&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録シンポジウム2 難治性ニューロパチーの新規治療展望?1遺伝性ATTRアミロイドーシスの病態に基づいた疾患修飾療法の開発せきじま よしき信州大学医学部脳神経内科,リウマチ・膠原病内科 関島 良樹遺伝性ATTR(ATTRm)アミロイドーシスは従来家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)と呼称されていた疾患であるが,国際アミロイドーシス学会はATTRmアミロイドーシスの疾患名を用いることを推奨しており,本講演ではこれを用いる.ATTRmアミロイドーシスは,トランスサイレチン(TTR)遺伝子の変異を原因とする常染色体優性の遺伝性疾患である.本症患者では,全身臓器にTTR由来のアミロイドが沈着することにより,手袋靴下型の感覚・運動性ニューロパチー,下痢・便秘,嘔吐発作,インポテンツ,起立性低血圧などの自律神経症状,心伝導障害や拘束型心筋症などの心アミロイドーシス,硝子体混濁や緑内障などの眼アミロイドーシスを呈する.本症は従来,集積地のみに認められる非常に稀な疾患と考えられていたが,近年診断率が向上し,全世界・日本全国に存在する比較的頻度の高い遺伝性のニューロパチーであることが明らかになっている.ATTRmアミロイドーシスに対しては既に肝移植の有効性が確立しているが,移植の適応外の患者が多く,より一般的で侵襲性の低い新しい治療法の開発が望まれていた.我々は,TTR遺伝子変異に起因するTTR四量体構造の不安定化が本症の主要な病態であることを明らかにし,TTR四量体構造を安定化する低分子化合物による本症の新規治療を考案した.これまでに,TTR四量体安定化薬であるジフルニサルとタファミジス(ビンダケル)の末梢神経障害に対する有効性が国際的なランダム化比較試験で証明され,タファミジスは2013年末に本邦でATTRmアミロイドーシス治療薬として認可された.更に現在,ATTRmアミロイドーシスに対するsiRNAを用いた遺伝子治療の世界的な第III相臨床試験が進行中である.前駆蛋白質を減少させることによるアミロイドーシスの治療効果は,ATTRmアミロイドーシスに対する肝移植,ALアミロイドーシスに対する化学療法,AAアミロイドーシスに対する生物学的製剤などで既に実証されている.第II相試験までに,siRNA製剤の点滴静注により血中TTR濃度が著減することが示されており,本治療は有望なATTRmアミロイドーシスに対する治療戦略である.ほとんどの神経変性疾患はATTRmアミロイドーシスと同様に異常タンパク質が生体に沈着・蓄積するprotein misfolding diseaseであることが明らかになっており,本症における創薬開発が今後他の神経変性疾患に波及することが期待される.◆略歴1991年 信州大学大学医学部 卒業2001年 信州大学大学医学部 脳神経内科,リウマチ・膠原病内科 助手2002年 米国Scripps研究所 留学(post?doctoral research fellow)2005年 信州大学大学医学部 脳神経内科,リウマチ・膠原病内科 講師2006年 信州大学大学医学部附属病院 遺伝子診療部 准教授2013年 信州大学大学医学部 脳神経内科,リウマチ・膠原病内科 准教授 現在に至る神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S99
パーキンソン病の非運動症状の治療方針 高橋 一司 Vol. 34
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S98&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録シンポジウム1 パーキンソン病:新規の診療ガイドライン?4パーキンソン病の非運動症状の治療方針たかはし かずし埼玉医科大学神経内科 高橋 一司パーキンソン病(PD)の中核症状は運動障害であるが,ほとんどの患者で多彩な非運動症状がみられ,その疾患概念は多彩な非運動症状を包括し,大きく変貌した.病理学的にも,神経変性は黒質線条体系のドパミンニューロンをこえて,非ドパミンニューロン系(ノルアドレナリン系,セロトニン系,アセチルコリン系など)へ広がり,非運動症状の出現に関与している.また非運動症状は,PDの病期によっても,発症前駆期/発症時にみられるもの,ウェアリングオフ現象に伴って変動を呈するもの(Nonmotor fluctuations)と,L?ドパ治療に抵抗性のものに大別される.さらに非運動症状の一部は,抗PD薬投与に関連して惹起・増悪する点にも十分な注意が必要である.非運動症状は,運動症状の重症度とは独立してQOL低下をきたすが,患者からの訴えられることは少なく,的確な治療の前提として,適切な症状の把握を心がける必要がある.運動症状に比し,非運動症状の治療に関する臨床試験は,その規模や質に限界があるのが現状である.しかしながら近年,臨床試験の成果も着実に蓄積されており,多彩な非運動症状への対応は,改善されつつある.睡眠障害(日中過眠,突発的睡眠,夜間不眠,レム睡眠行動異常症,下肢静止不能症候群;むずむず脚症候群など),気分障害(うつ,不安,アパシーなど)・疲労,精神・神経症状(幻覚・妄想,衝動制御障害・ドパミン調節障害,認知症など),自律神経症状(起立性低血圧,排尿障害,便秘,性機能障害,発汗発作など),感覚障害(痛み)などに関するup?to?dateな治療方針について,今後の課題も含め,概説したい.さらに,認知症が合併した場合の薬物治療はどうするか,抗コリン剤はPD患者の認知機能を悪化させるか,など臨床現場において役に立つ,実戦的なQ & Aも含めて,紹介する.◆略歴1987年 慶應義塾大学医学部卒業1991年 慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了1991年 慶應義塾大学医学部助手(内科学)1992年 浦和市立病院(現さいたま市立病院)神経内科1995年 米国ペンシルバニア大学 Cerebrovascular Research Center留学1999年 国立病院東京医療センター神経内科2005年 慶應義塾大学医学部神経内科専任講師2012年 東京都立神経病院脳神経内科部長2014年 埼玉医科大学 神経内科教授,現在にいたる神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S98
免疫性神経疾患と自己抗体:Update 楠 進 Vol. 34
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S88&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録教育講演12免疫性神経疾患と自己抗体:Updateくすのき すすむ近畿大学医学部神経内科 楠   進免疫性神経疾患では,しばしば自己抗体がみられ,診断および病態解明の手掛かりとして注目されている.中枢神経の代表的な炎症性脱髄疾患である多発性硬化症(MS)では,特異的な自己抗体は知られていないが,同じく中枢神経の炎症性疾患である視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)ではaquaporin?4に対する抗体が特異的に陽性となりアストロサイトを障害することが報告されている.MSとNMOSDでは治療法が異なることから,自己抗体測定は臨床的にきわめて重要である.また最近中枢神経の炎症性疾患の新たな自己抗体としてmyelin?oligodendrocyte glycoprotein(MOG)に対する抗体も報告されている.近年,NMDA受容体抗体やVGKC関連抗体が辺縁系脳炎で陽性となることが報告された.チャネルや受容体など細胞表面の抗原に対する抗体は,神経障害の発症機序に直接関わっている可能性が考えられ,陽性例では免疫療法に比較的反応がよいことが知られている.自己免疫性脳炎では,その他にも各種の抗体が報告されている.免疫性ニューロパチーの中で,ギラン・バレー症候群(GBS)とその亜型,およびIgM M蛋白を伴うニューロパチー(IgM?N)では,糖脂質や糖タンパクの糖鎖を認識する抗体が高頻度にみられる.糖脂質の中でも糖鎖にシアル酸を含むガングリオシドが標的分子となることが多い.近年,新たな標的としてガングリオシド複合体(GSC)が見出された.グライコアレイ法はGSC抗体を網羅的に解析する手段として有用である.IgM?Nでは,myelin?associated glycoprotein(MAG)や糖脂質のSGPGに反応するIgM M蛋白を伴う症例の頻度が高い.慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)では近年neurofascin 155に対する抗体が約1割程度の症例で陽性となることが報告された.また自己免疫性自律神経障害性ニューロパチーとganglionic acetylcholine receptorに対する抗体の関連も知られている.重症筋無力症(MG)ではアセチルコリン受容体抗体が陽性となることがよく知られているが,同抗体陰性のMGにおいてmuscle?specifickinase(MuSK)に対する抗体がみられることがある.免疫性神経疾患における自己抗体は,特有の臨床像や治療反応性と関連することがしばしばある.自己抗体の詳細な検討は免疫性神経疾患のテーラーメード医療を含む新規治療ストラテジーの開発につながることが期待される.◆略歴1978年3月 東京大学医学部医学科卒1980年6月 東京大学医学部神経内科入局1985年7月〜1987年7月 米国エール大学留学1999年4月 東京大学医学部神経内科講師2003年4月 近畿大学医学部神経内科主任教授現在に至る(2012年10月〜2014年9月 近畿大学医学部長)(2008年 4月〜2014年3月 厚生労働省免疫性神経疾患調査研究班班長)学会:日本神経学会(理事),日本神経免疫学会(理事長),日本末梢神経学会(理事長),日本神経治療学会(理事)神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S88
脳循環代謝と片頭痛 荒木 信夫 Vol. 34
                   
                   
                    (2017)
                   
                   
                    No. 6
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S73&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録会長講演脳循環代謝と片頭痛あらき のぶお埼玉医科大学神経内科 荒木 信夫脳循環代謝は,私が慶應義塾大学神経内科入局以来,今日まで続く大きなテーマであった.はじめは脳循環の神経性調節に関する研究を手掛けたが,その後,脳虚血の問題に取り組むことになり,photomultiplierを使って脳内の蛍光色素の変化をとらえることにより,脳組織のカルシウム代謝の研究を行った.次に,microdialysis法を用い,脳虚血時のカテコールアミンやアミノ酸の変化に関する脳代謝研究をおこなった.さらに,microdialysis法による脳での一酸化窒素(NO)代謝に関する研究を行い,NO合成酵素(NOS)のノックアウトマウスを用いて,このNOの起源はどこにあるかを明らかにしてきた.本講演では,脳虚血と一酸化窒素(NO)代謝およびフリーラジカル代謝との関係について,我々の研究によって得られた結果を示したい.また,脳虚血に対する様々な治療薬を用いた際のNO代謝,フリーラジカル代謝についても述べたい.一方,片頭痛に関する自律神経機能の研究も続けてきた.そして,片頭痛患者において,頭痛間歇期に交感神経機能が低下していることを明らかにした.一方,片頭痛発作時の血圧・脈拍およびそのスペクトル解析の検討により,発作時には,交感神経機能低下が認められなくなっていることも示した.また,片頭痛患者において様々なニューロペプチドの検討を行い,最近話題になっているCGRPについても特異な変化を示すことを報告してきた.さらに,片頭痛発作時の脳血流をMRIによるarterial spin labeling法を用い検討し,発作時に視床下部付近の脳血流が低下していること,また発作間歇期には鍼治療による脳血流の変化が健常人に比して広い範囲で生じることも明らかにした.◆略歴昭和53年 3月31日 慶應義塾大学医学部卒業昭和53年 4月 1日 慶應義塾大学 医学部大学院医学研究科入学昭和57年 3月31日 慶應義塾大学 医学部大学院医学研究科修了昭和57年 4月 1日 慶應義塾大学内科学教室(神経内科)助手昭和63年 7月 1日 米国ペンシルバニア大学脳血管研究所留学平成 2年 9月 1日 慶應義塾大学内科学教室助手に復帰平成 6年 7月 1日 日本鋼管病院内科医長平成10年11月 1日 埼玉医科大学 神経内科講師平成11年12月 1日 埼玉医科大学 神経内科助教授平成16年 1月 1日 埼玉医科大学 神経内科教授平成20年 4月 1日 埼玉医科大学 学生部長(〜23.3.31)平成23年 4月 1日 埼玉医科大学 教育センター長(〜28.3.31)平成24年 4月 1日 埼玉医科大学 副医学部長(〜28.3.31)平成26年 4月 1日 埼玉医科大学 図書館長を兼任神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S73
頭痛診療:Update:二次性頭痛 古和 久典 Vol. 34
                   
                   
                    (2017)
                   
                   
                    No. 6
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=6&kijiCd=34_S176&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録メディカルスタッフレクチャー16頭痛診療:Update:二次性頭痛こわ ひさのり国立病院機構松江医療センター神経内科 古和 久典二次性頭痛とは原因となる基礎疾患に関連した頭痛を指し,片頭痛や緊張型頭痛,三叉神経・自律神経性頭痛など頭痛そのものが病気である一次性頭痛に対比した頭痛の総称である.『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』によれば,(1)突然の頭痛,(2)今まで経験したことがない頭痛,(3)いつもと様子が異なる頭痛,(4)頻度と程度が増していく頭痛,(5)50歳以降に初発の頭痛,(6)神経脱落症状を有する頭痛,(7)癌や免疫不全の病態を有する患者の頭痛,(8)精神症状を有する患者の頭痛,(9)発熱,項部硬直,髄膜刺激症状を有する頭痛,の場合には,二次性頭痛を疑って積極的な検索が必要であると推奨している.国際頭痛学会による国際頭痛分類第3版beta版によれば,二次性頭痛は,「頭頸部外傷・傷害による頭痛」,「頭頸部血管障害による頭痛」,「非血管性頭蓋内疾患による頭痛」,「物質またはその離脱による頭痛」,「感染症による頭痛」,「ホメオスターシス障害による頭痛」,「頭蓋骨,頸,眼,耳,鼻,副鼻腔,歯,口あるいはその他の顔面・頭蓋の構成組織の障害による頭痛あるいは顔面痛」,「精神疾患による頭痛」という8つのグループに分類され,その下に置かれたタイプやサブタイプから構成されている.慢性片頭痛や慢性緊張型頭痛との鑑別診断に苦慮する「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,medication overuse headache:MOH)は,「物質またはその離脱による頭痛」の中に分類されている.近年の画像診断技術,とりわけMR画像診断の進歩により,二次性頭痛の原因となる器質的疾患の鑑別診断を進めるうえで,頭頸部MR検査が有力なツールの一つとなっている.しかし,ルーチン条件のMR画像検査でわかるものばかりではない.脳動脈解離や脳静脈血栓症,可逆性脳血管攣縮症候群(Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome:RCVS)などの様に,鑑別診断に挙げて疑うことによって適切な画像条件で撮像し,その病態を確認できる疾患も少なくない.疾患に特徴的な頭痛の性状や随伴症状に留意し,検索していくことが重要である.日常頭痛診療においては,二次性頭痛を見逃さないようにすることを常に念頭に置いて対応していくことが大切である.◆略歴1989年 鳥取大学医学部医学科卒業1993年 鳥取大学大学院医学研究科博士課程修了,松江赤十字病院神経内科1996年 鳥取大学医学部附属病院助手2000年 文部省在外研究員(ライデン大学医学部メディカルセンター)2005年 鳥取大学講師医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科部門2009年 鳥取大学医学部脳神経医科学講座脳神経内科学分野講師2010年 鳥取大学医学部脳神経医科学講座脳神経内科学分野准教授2017年 国立病院機構松江医療センター診療部長(神経内科) 現在に至る神経治療 Vol. 34 No. 6(2017)S176
ここまできた!Parkinson病の治療最前線 高橋 良輔 Vol. 33
                   
                   
                    (2016)
                   
                   
                    No. 5
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=5&kijiCd=33_S187&screenID=AF06S010 特別プログラム抄録市民公開講座ここまできた!Parkinson病の治療最前線京都大学医学研究科臨床神経学(神経内科) 高橋 良輔The forefront of therapies for Parkinson's diseaseKyoto University Graduate School of MedicineRyosuke TAKAHASHIParkinson病はお年寄りに多い病気で,徐々に身体の動きが緩慢になり,進行するとバランスも障害され,支えなしに歩くことができなくなる難病です.このような緩徐に進行する運動障害がおこるのは中脳にあるドパミン神経が徐々に変性脱落するためです.Parkinson病はかつては発症して10年で寝たきりになる病気でした.しかし,ドパミンのもとになるレボドパがParkinson病に顕著な効果を示すことが1968年に発表されて以来,Parkinson病は薬でよくなる病気の仲間入りをしました.その後,さまざまな新しい薬が作られる一方,1990年代には脳深部刺激療法という手術で脳に電極を挿入し,電気刺激を加える治療が開発され,薬剤治療が限界に来た患者さんにも優れた効果を示しました.またレボドパをゲル状にして,小腸に持続注入する新しい治療法も,脳深部刺激療法と同様,進行期Parkinson病の症状を著しく改善することが示されています.レボドパゲル持続注入療法は本年からわが国でも販売されることになりました.さらに近い将来にはiPS細胞から作成したドパミン神経を移植して症状改善をもたらす治療も実現するものと期待されています.このようにめざましい進歩を遂げたParkinson病治療の最前線と,Parkinson病根治に向けての将来展望についてわかりやすく解説します.◆職歴1983年 京都大学医学部 卒業1986年 東京都立神経病院神経内科 医員1989年 東京都神経科学総合研究所 主任研究員1999年 理化学研究所脳科学総合研究センター 運動系神経変性研究チーム チームリーダー2005年 京都大学医学研究科臨床神経学(神経内科)教授 現在に至る◆学会活動日本神経学会理事・代表理事,日本神経科学学会理事・副会長,日本パーキンソン病運動障害疾患学会次期会長,日本自律神経学会理事,日本CellDeath学会理事,Mvement Disorder Society International Executive Committee Member,日本神経治療学会評議員,日本認知症学会評議員神経治療 Vol. 33 No. 5(2016)S187
脊髄小脳変性症と多系統萎縮症の診断・治療・ケア 池田 佳生 Vol. 33
                   
                   
                    (2016)
                   
                   
                    No. 3
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=3&kijiCd=33_332&screenID=AF06S010 脊髄小脳変性症と多系統萎縮症の診断・治療・ケア●特集/メディカルスタッフ教育講演(疾患シリーズ)11脊髄小脳変性症と多系統萎縮症の診断・治療・ケア*池田 佳生**(神経治療 33:332,2016)脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD) ている.現時点で,SCDおよびMSAに対する根本的治療法は,主として中枢神経系,特に小脳・脳幹・脊髄を中心と は存在せず,分子メカニズムに則した病態修飾療法の早期のした部位に病変を生じる疾患で,臨床的には小脳性運動失調 開発が望まれている.症を主症状とする原因不明の神経変性疾患である.SCD病型 SCD・MSAに対する有効な治療薬の乏しい状況がある中は大きく遺伝性と孤発性(非遺伝性)に分類されるが,神経 で,徐々に進行する障害を抱えた目前の患者が,残された機変性疾患の中では遺伝性の割合が全SCDの約30%と高いこ 能を有効に活用し,より良く充実した毎日を生活する,つまとを特徴とする.また遺伝性SCDには常染色体優性遺伝, り良好なADLおよびQOLを保つためには,医師のみなら常染色体劣性遺伝および伴性劣性遺伝形式の病型が存在する ず,看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚が,そのうち90%以上の症例が常染色体優性遺伝形式を示 士・栄養士・検査技師・介護士・医療ソーシャルワーカーをすことが知られている.多系統萎縮症(multiple system はじめとする医療に携わる多職種の介入と連携が特に重要でatrophy:MSA)は自律神経症状,小脳性運動失調症, ある.パーキンソン症状を特徴とする晩発性・孤発性の神経変 本講演ではメディカルスタッフの方々に,SCD・MSAに性疾患である.MSA病型は大きく,小脳性運動失調症を主 関する病型診断や各々の病態について理解を深めていただ症状とするMSA?Cとパーキンソン症状を主症状とする き,患者さんにより良い療養環境を提供することを目的としMSA?Pに分類され,本邦ではMSA?Cの頻度が高い.SCD て,基本的な事項から最近のトピックスまで,わかりやすくおよびMSAは難病新法の下では,共に指定難病に規定され 解説を行いたいと思います.* Diagnosis, treatment and care of spinocerebellar degeneration and multiple system atrophy.** 群馬大学大学院医学系研究科脳神経内科学 Yoshio IKEDA : Department of Neurology, Gunma University Graduate School of Medicinehttp://doi.org/10.15082/ jsnt.33.3_332神経治療 Vol. 33 No. 3(2016)332
〈神経治療学〉特集テーマ一覧 Vol. 34
                   
                   
                    (2017)
                   
                   
                    No. 1
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=1&kijiCd=34_58&screenID=AF06S010 〈神経治療学〉特集テーマ一覧〔1 巻 1 号〜 8 巻 6 号「神経内科治療」〕 2 号 放射線脊髄症と脳症(radiation?myelopathy and 1 巻 1 号 1 錐体外路系疾患の治療と対策 encephalopathy)の治療と予防2 神経系感染症の内科的治療 3 号 神経疾患治療効果の判定2 号 1 免疫性神経疾患の治療─最近の経験を中心に 4 号 腫瘍関連神経症候群 paraneoplastic neurological 2 てんかんの治療 syndrome の治療2 巻 1 号 1 パーキンソン病の新しい治療の開発(総説) 5 号 第 10 回総会特集(1)2 神経因性膀胱の最近の治療(総説) 6 号 第 10 回総会特集(2)2 号 意識障害の病態と治療T 10 巻 1 号 神経疾患における精神症状とその対策3 号 意識障害の病態と治療U 2 号 神経疾患における薬物臨床試験4 号 末梢神経障害の治療 ─その科学性と倫理性─3 巻 1 号 頭痛の予防と治療T 3 号 変性性神経筋疾患治療の展望2 号 頭痛の予防と治療U 4 号 慢性神経疾患の在宅療法3 号 自律神経障害の治療 5 号 救命救急医療と神経疾患4 号 筋萎縮性側索硬化症の治療とその問題点 6 号 第 11 回総会特集4 巻 1 号 虚血性脳血管障害の治療T 11 巻 1 号 脳腫瘍の外科的治療2 号 虚血性脳血管障害の治療U 2 号 脊髄腫瘍の治療3 号 アルコール性神経障害とその治療 3 号 新しい抗パーキンソン病薬4 号 薬物の神経副作用とその対策 4 号 不随意運動症の最近の治療5 巻 1 号 不随意運動の治療と対策 5 号 第 12 回総会特集(1)2 号 頭蓋内出血の治療と対策 6 号 第 12 回総会特集(2)3 号 ミオパチーの治療 12 巻 1 号 脳血管障害 最近の治療(1)4 号 第 6回学術集会特集 2 号(神経疾患治療薬一覧)不随意運動,その病態と薬物治療(シンポジウム) 3 号 脳血管障害 最近の治療(2)6 巻 1 号 痴呆と対策 4 号 機能性頭痛2 号 (神経内科治療薬一覧) 5 号 第 13 回総会特集(1)3 号 髄膜炎・脳炎の治療の選択と進め方 6 号 第 13 回総会特集(2)4 号 薬物副作用としての神経障害T 13 巻 1 号 Guillain?Barr? 症候群の診断基準5 号 薬物副作用としての神経障害U ─原典への復帰─(論説)6 号 第 7回学術集会特集 2 号 神経疾患治療雑考(論説)めまいの治療(シンポジウム) 症候性頭痛7 巻 1 号 薬物副作用としての神経障害V 3 号 パーキンソン病における挺舌の障害から2 号 (神経内科治療薬一覧) ─ midline neurology ─(論説)3 号 痛みの治療とその適応 多系統萎縮症の治療計画4 号 リハビリテーション 4 号 論文の書き方で運命が変わる5 号 免疫性神経疾患に対する血液浄化療法 ─ ISAACS症候群を中心に─(論説)6 号 第 8回学術集会特集 神経疾患治療の進歩と薬剤による神経系神経・筋疾患:新しい治療の展望(シンポジウム) 副作用の概観(1995 年)8 巻 1 号 睡眠障害とその治療 5 号 第 14 回総会特集(1)2 号 (神経内科治療薬一覧) 6 号 第 14 回総会特集(2)3 号 頚髄・頚椎疾患の治療 14 巻 1 号 ヒトの脳重・体重と極限寿命(論説)4 号 神経疾患の最近の経過と予後T ボツリヌス治療5 号 神経疾患の最近の経過と予後U 14 巻 2 号 Ceteris Paribus から二重盲検法まで6 号 第 9回学術集会特集 ─歴史的考察─(論説)難治性神経・筋疾患の治療 政策医療としての神経・筋疾患の治療・療養─最近のトピックスから─(シンポジウム) 14 巻 3 号 重症筋無力症─症候,予後,QOL─今昔─(論説)〔9 巻 1 号〜「神経治療学」と改題〕 言語障害 失語と構音障害の治療9 巻 1 号 神経疾患の最近の経過と予後V 14 巻 4 号 Levodopa 時代のパーキンソン病の予後(論説)神経治療 Vol. 34 No. 1(2017)58神経疾患の治療の進歩(1996 年) Parkinson 病の治療14 巻 5 号 第 15 回総会特集(1) 19 巻 2 号 画像診断の進歩と脳血管障害の診断(論説)14 巻 6 号 第 15 回総会特集(2) Neurological Intensive Care15 巻 1 号 客観的薬効評価の問題点─ Guillain─Barr? 症候 19 巻 3 号 第 20 回日本神経治療学会総会抄録集群の大量免疫グロブリン療法を行うに当たって─ 19 巻 4 号 神経疾患治療の進歩(2001 年)(論説) 19 巻 5 号 Evidence?based medicine(EBM)と治療ガイド 15 巻 2 号 ルー・ゲーリック病のケア(論説) ライン(論説)神経疾患に伴う睡眠障害の治療 神経治療に関する最近の問題と対策15 巻 3 号『七新薬』と司馬凌海─西欧式薬物治療日本への導 19 巻 6 号 第 20 回総会特集入事始め──(論説) 20 巻 1 号 人為的原因による神経疾患の予防と対策:感染性神経疾患に対する新しい免疫的治療の試み Creutzfeldt?Jakob 病から学ぶもの(論説)15 巻 4 号 脳卒中の治療──一次予防と二次予防について── 頭痛診療の進歩(論説) 20 巻 2 号 神経疾患の治療と quality of life(QOL)神経疾患の治療の進歩(1997 年) 20 巻 3 号 第 21 回日本神経治療学会総会抄録集15 巻 5 号 第 16 回総会特集(1) 20 巻 4 号 神経疾患治療の変遷と将来展望(論説)15 巻 6 号 第 16 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2002 年)16 巻 1 号 医療における分化と統合──「神経治療学とEBM」 20 巻 5 号 21 世紀の神経疾患治療の展望(論説)特集に因んで(論説) 神経難病の代表的疾患である筋萎縮性側索硬化症に神経治療学とEvidence?based medicine(EBM) 対する治療への挑戦16 巻 2 号(神経疾患治療薬一覧) 20 巻 6 号 第 21 回総会特集16 巻 3 号 脳血管性痴呆の臨床(論説) 21 巻 1 号 重症筋無力症の病態と治療に関する最近の話題神経治療薬の適応外処方 21 巻 2 号 神経疾患の医療手順(論説)16 巻 4 号 Informed consent と医の倫理(論説) 神経疾患の医療手順神経疾患の治療の進歩 21 巻 3 号 第 22 回日本神経治療学会総会抄録集16 巻 5 号 第 17 回総会特集(1) 21 巻 4 号 神経治療学の更なる発展を目指して(論説)16 巻 6 号 第 17 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2003 年)17 巻 1 号(原著のみ掲載) 21 巻 5 号 神経治療研究の将来展望(論説)17 巻 2 号 神経学関連の遺伝子治療(論説) ミオパチーの病態と治療に関する最近の話題脳血管障害の抗血栓療法 21 巻 6 号 第 22 回総会特集17 巻 3 号 免疫と遺伝子からのレセプター病概説(論説) 22 巻 1 号 神経疾患治療薬一覧抗てんかん薬 anti?epileptic drugs(AED) 22 巻 2 号 医療制度の変革と神経治療学(論説)17 巻 4 号 ヘルペス脳炎の診療(論説) 脳梗塞の脳保護医療と再生神経疾患治療の進歩(1999 年) 22 巻 3 号 第 23 回日本神経治療学会総会抄録集17 巻 5 号 第 18 回総会特集(1) 22 巻 4 号 神経内科学と神経治療学の広報活動の重要性(論説)17 巻 6 号 第 18 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2004 年)18 巻 1 号 動の Neurology の必要性と Evidence?based Neu- 22 巻 5 号 新しい時代のてんかんを考える(論説)rology(論説) 医療制度の変革と神経疾患慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)に 22 巻 6 号 第 23 回総会特集対するγ?globulin 大量療法 23 巻 1 号 神経治療の未来 ─ 再生医療 ─(論説)18 巻 2 号 パーキンソニズムを中心とする変性疾患の概念(論 RNA干渉による神経疾患の治療の可能性について説) 23 巻 2 号 脳梗塞急性期治療の breakthrough(論説)自律神経疾患の最近の治療 23 巻 3 号 第 24 回日本神経治療学会総会抄録集18 巻 3 号 ブロック療法─不随意運動,痙縮,疼痛の治療の現 23 巻 4 号 日本神経治療学会の独自性と融和(論説)状と今後 神経疾患治療の進歩(2005 年)18 巻 4 号 医療,とくに神経病の治療との関連性から見た介助 23 巻 5 号 Transient ischemic attack(TIA)の新しい定義(論犬(論説) 説)神経疾患治療の進歩(2000 年) 経頭蓋磁気刺激療法 ─ 脳刺激が神経・精神疾患の治18 巻 5/6 合併号 療法として有用か ─第 19 回総会特集 23 巻 6 号 第 24 回総会特集19 巻 1 号 筋萎縮性側索硬化症治療への動向(論説) 24 巻 1 号 日本神経治療学会の 25年の歩みと今後の課題(論説)神経治療 Vol. 34 No. 1(2017)59超急性期脳梗塞における t?PA 静注療法 28 巻 1 号 第 28 回総会特集(2)24 巻 2 号 認知症治療における増大する神経内科医の役割(論 28 巻 2 号 前頭筋収縮の左右差(論説)説) 末梢神経障害の治療の進歩Alzheimer 病治療の進歩 標準的神経治療:めまい24 巻 3 号 第 25 回日本神経治療学会総会抄録集 28 巻 3 号 てんかん診療と本学会の果たすべき役割(論説)24 巻 4 号 神経変性疾患の病態抑止療法への展望 脳卒中のトータルケア─発症予防から地域連携パス─治療研究のパラダイムシフト─(論説) まで─神経疾患治療の進歩(2006 年) 標準的神経治療:本態性振戦24 巻 5 号 めざすべき神経内科治療(論説) 28 巻 4 号 脳梗塞治療の新展開(論説)Parkinson 病治療に関する最近の話題 神経疾患治療の進歩 2010 年24 巻 6 号 第 25 回総会特集 28 巻 5 号 第 29 回日本神経治療学会総会抄録集25 巻 1 号 神経疾患のステロイド治療(論説) 28 巻 6 号 超急性期脳梗塞の予後改善には Pre-hospital Stroke 神経変性疾患の病態抑止治療(分子標的治療)への Care へのインセンティブが必要─逆転の発想で,救展望 急隊へフィードバック実施病院に加算を─(論説)標準的神経治療:手根管症候群 認知症:最新治療とトピック25 巻 2 号 医療崩壊解決の処方箋=瀕死状態の医療の治療法は 29 巻 1 号 神経疾患新規治療薬のこれから(論説)あるか?(論説) 免疫性神経疾患の治療:標準的治療とトピックス標準的神経治療:ベル麻痺 標準的神経治療:Restless legs 症候群25 巻 3 号 第 26 回日本神経治療学会総会抄録集 29 巻 2 号 第 29 回総会特集(1)25 巻 4 号 水と水チャネル(論説) 29 巻 3 号 第 29 回総会特集(2)神経疾患治療の進歩(2007 年) 29 巻 4 号 免疫性神経疾患の治療ガイドライン作成において考標準的神経治療:片側顔面痙攣 えたこと(論説)25 巻 5 号 日本における臨床研究の現状と問題点(論説) 神経疾患治療の進歩 2011 年脳梗塞治療の現状と展望 標準的神経治療:高齢発症てんかん25 巻 6 号 第 26 回総会特集 29 巻 5 号 第 30 回日本神経治療学会総会抄録集26 巻 1 号 医療保険委員会(論説) 29 巻 6 号 自律神経学の臨床への応用─神経治療の普遍化に対脳炎・脳症をめぐる話題と治療 する本学会への期待─(論説)26 巻 2 号 神経内科医は何を診てそして何を治療してゆくのか コミュニティにおける神経治療(論説) 30 巻 1 号 これからの多発性硬化症診療 30年(論説)片頭痛治療の進歩 末梢・中枢神経疾患の自律神経障害に対する治療26 巻 3 号 第 27 回日本神経治療学会総会抄録集 30 巻 2 号 第 30 回総会特集(1)26 巻 4 号 医療における神経内科の課題,その他(論説) 標準的神経治療:重症神経難病の呼吸管理・リハビ神経疾患治療の進歩 リテーション26 巻 5 号 神経学の新しいパースペクティブ(論説) 30 巻 3 号 第 30 回総会特集(2)神経心理学的治療 30 巻 4 号 臨床神経学における専門医制度(論説)26 巻 6 号 第 27 回総会特集 神経疾患治療の進歩 2012 年神経治療研究の将来展望─Part 2(論説) 標準的神経治療:ボツリヌス治療27 巻 1 号 多系統萎縮症の治療と療養指導 30 巻 5 号 第 31 回日本神経治療学会総会抄録集標準的神経治療:三叉神経痛 30 巻 6 号 女性と神経疾患治療(論説)27 巻 2 号 頭痛研究の進歩(論説) 中枢神経疾患の早期治療:その意義と課題神経疾患に伴う睡眠障害の治療 標準的神経治療:視神経脊髄炎標準的神経治療:高齢発症重症筋無力症 31 巻 1 号 新規治療の症例報告をしよう(論説)27 巻 3 号 第 28 回日本神経治療学会総会抄録集 中枢神経系感染症と周辺疾患の治療動向27 巻 4 号 学会誌の発展を期待して(論説) 31 巻 2 号 第 31 回総会特集(1)神経疾患治療の進歩 2009 年 31 巻 3 号 第 31 回総会特集(2)標準的神経治療:慢性疼痛 31 巻 4 号 細菌性髄膜炎診療ガイドライン 2014 の作成(論説)27 巻 5 号 我が国の創薬研究─医学・薬学の融合的研究の必要 神経疾患治療の進歩 2013 年性─(論説) 標準的神経治療:神経疾患に伴う嚥下障害頸動脈病変の治療,予防 31 巻 5 号 第 32 回日本神経治療学会総会抄録集27 巻 6 号 第 28 回総会特集(1) 31 巻 6 号 今,求められている神経変性疾患の臨床診断基準の神経治療 Vol. 34 No. 1(2017)60在り方(論説) 認知症の予防と早期介入:その危険因子と防御因子ニューロリハビリテーションの新たな展開:脳血管 33 巻 1 号 自己免疫性脳症の診断・病態・治療障害からの機能回復 33 巻 2 号 第 33 回総会特集(1)32 巻 1 号 片頭痛,群発頭痛と自律神経(論説) 33 巻 3 号 第 33 回総会特集(2)日本における Parkinson 病治療の歴史と将来展望 33 巻 4 号 神経治療学のこれから:医師主導治験で考えたこと32 巻 2 号 第 32 回総会特集(1) (論説)32 巻 3 号 第 32 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩 2015 年32 巻 4 号 Parkinson 病の遺伝子治療:これからの展開(論説) 標準的神経治療:不眠・過眠と概日リズム障害神経疾患治療の進歩 2014 年 33 巻 5 号 第 34 回日本神経治療学会総会抄録号標準的神経治療:結核性髄膜炎 33 巻 6 号 希少疾患の治験を成功させるためには(論説)32 巻 5 号 第 33 回日本神経治療学会総会抄録集 免疫介在性壊死性ミオパチー32 巻 6 号 免疫性ニューロパチーの治療:問題点と将来展望 (論説)神経治療 Vol. 34 No. 1(2017)61
〈神経治療学〉特集テーマ一覧 Vol. 34
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=3&kijiCd=34_326&screenID=AF06S010 〈神経治療学〉特集テーマ一覧〔1 巻 1 号〜 8 巻 6 号「神経内科治療」〕 2 号 放射線脊髄症と脳症(radiation?myelopathy and 1 巻 1 号 1 錐体外路系疾患の治療と対策 encephalopathy)の治療と予防2 神経系感染症の内科的治療 3 号 神経疾患治療効果の判定2 号 1 免疫性神経疾患の治療─最近の経験を中心に 4 号 腫瘍関連神経症候群 paraneoplastic neurological 2 てんかんの治療 syndrome の治療2 巻 1 号 1 パーキンソン病の新しい治療の開発(総説) 5 号 第 10 回総会特集(1)2 神経因性膀胱の最近の治療(総説) 6 号 第 10 回総会特集(2)2 号 意識障害の病態と治療T 10 巻 1 号 神経疾患における精神症状とその対策3 号 意識障害の病態と治療U 2 号 神経疾患における薬物臨床試験4 号 末梢神経障害の治療 ─その科学性と倫理性─3 巻 1 号 頭痛の予防と治療T 3 号 変性性神経筋疾患治療の展望2 号 頭痛の予防と治療U 4 号 慢性神経疾患の在宅療法3 号 自律神経障害の治療 5 号 救命救急医療と神経疾患4 号 筋萎縮性側索硬化症の治療とその問題点 6 号 第 11 回総会特集4 巻 1 号 虚血性脳血管障害の治療T 11 巻 1 号 脳腫瘍の外科的治療2 号 虚血性脳血管障害の治療U 2 号 脊髄腫瘍の治療3 号 アルコール性神経障害とその治療 3 号 新しい抗パーキンソン病薬4 号 薬物の神経副作用とその対策 4 号 不随意運動症の最近の治療5 巻 1 号 不随意運動の治療と対策 5 号 第 12 回総会特集(1)2 号 頭蓋内出血の治療と対策 6 号 第 12 回総会特集(2)3 号 ミオパチーの治療 12 巻 1 号 脳血管障害 最近の治療(1)4 号 第 6回学術集会特集 2 号(神経疾患治療薬一覧)不随意運動,その病態と薬物治療(シンポジウム) 3 号 脳血管障害 最近の治療(2)6 巻 1 号 痴呆と対策 4 号 機能性頭痛2 号 (神経内科治療薬一覧) 5 号 第 13 回総会特集(1)3 号 髄膜炎・脳炎の治療の選択と進め方 6 号 第 13 回総会特集(2)4 号 薬物副作用としての神経障害T 13 巻 1 号 Guillain?Barr? 症候群の診断基準5 号 薬物副作用としての神経障害U ─原典への復帰─(論説)6 号 第 7回学術集会特集 2 号 神経疾患治療雑考(論説)めまいの治療(シンポジウム) 症候性頭痛7 巻 1 号 薬物副作用としての神経障害V 3 号 パーキンソン病における挺舌の障害から2 号 (神経内科治療薬一覧) ─ midline neurology ─(論説)3 号 痛みの治療とその適応 多系統萎縮症の治療計画4 号 リハビリテーション 4 号 論文の書き方で運命が変わる5 号 免疫性神経疾患に対する血液浄化療法 ─ ISAACS症候群を中心に─(論説)6 号 第 8回学術集会特集 神経疾患治療の進歩と薬剤による神経系神経・筋疾患:新しい治療の展望(シンポジウム) 副作用の概観(1995 年)8 巻 1 号 睡眠障害とその治療 5 号 第 14 回総会特集(1)2 号 (神経内科治療薬一覧) 6 号 第 14 回総会特集(2)3 号 頚髄・頚椎疾患の治療 14 巻 1 号 ヒトの脳重・体重と極限寿命(論説)4 号 神経疾患の最近の経過と予後T ボツリヌス治療5 号 神経疾患の最近の経過と予後U 14 巻 2 号 Ceteris Paribus から二重盲検法まで6 号 第 9回学術集会特集 ─歴史的考察─(論説)難治性神経・筋疾患の治療 政策医療としての神経・筋疾患の治療・療養─最近のトピックスから─(シンポジウム) 14 巻 3 号 重症筋無力症─症候,予後,QOL─今昔─(論説)〔9 巻 1 号〜「神経治療学」と改題〕 言語障害 失語と構音障害の治療9 巻 1 号 神経疾患の最近の経過と予後V 14 巻 4 号 Levodopa 時代のパーキンソン病の予後(論説)神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)326神経疾患の治療の進歩(1996 年) Parkinson 病の治療14 巻 5 号 第 15 回総会特集(1) 19 巻 2 号 画像診断の進歩と脳血管障害の診断(論説)14 巻 6 号 第 15 回総会特集(2) Neurological Intensive Care15 巻 1 号 客観的薬効評価の問題点─ Guillain─Barr? 症候 19 巻 3 号 第 20 回日本神経治療学会総会抄録集群の大量免疫グロブリン療法を行うに当たって─ 19 巻 4 号 神経疾患治療の進歩(2001 年)(論説) 19 巻 5 号 Evidence?based medicine(EBM)と治療ガイド 15 巻 2 号 ルー・ゲーリック病のケア(論説) ライン(論説)神経疾患に伴う睡眠障害の治療 神経治療に関する最近の問題と対策15 巻 3 号『七新薬』と司馬凌海─西欧式薬物治療日本への導 19 巻 6 号 第 20 回総会特集入事始め──(論説) 20 巻 1 号 人為的原因による神経疾患の予防と対策:感染性神経疾患に対する新しい免疫的治療の試み Creutzfeldt?Jakob 病から学ぶもの(論説)15 巻 4 号 脳卒中の治療──一次予防と二次予防について── 頭痛診療の進歩(論説) 20 巻 2 号 神経疾患の治療と quality of life(QOL)神経疾患の治療の進歩(1997 年) 20 巻 3 号 第 21 回日本神経治療学会総会抄録集15 巻 5 号 第 16 回総会特集(1) 20 巻 4 号 神経疾患治療の変遷と将来展望(論説)15 巻 6 号 第 16 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2002 年)16 巻 1 号 医療における分化と統合──「神経治療学とEBM」 20 巻 5 号 21 世紀の神経疾患治療の展望(論説)特集に因んで(論説) 神経難病の代表的疾患である筋萎縮性側索硬化症に神経治療学とEvidence?based medicine(EBM) 対する治療への挑戦16 巻 2 号(神経疾患治療薬一覧) 20 巻 6 号 第 21 回総会特集16 巻 3 号 脳血管性痴呆の臨床(論説) 21 巻 1 号 重症筋無力症の病態と治療に関する最近の話題神経治療薬の適応外処方 21 巻 2 号 神経疾患の医療手順(論説)16 巻 4 号 Informed consent と医の倫理(論説) 神経疾患の医療手順神経疾患の治療の進歩 21 巻 3 号 第 22 回日本神経治療学会総会抄録集16 巻 5 号 第 17 回総会特集(1) 21 巻 4 号 神経治療学の更なる発展を目指して(論説)16 巻 6 号 第 17 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2003 年)17 巻 1 号(原著のみ掲載) 21 巻 5 号 神経治療研究の将来展望(論説)17 巻 2 号 神経学関連の遺伝子治療(論説) ミオパチーの病態と治療に関する最近の話題脳血管障害の抗血栓療法 21 巻 6 号 第 22 回総会特集17 巻 3 号 免疫と遺伝子からのレセプター病概説(論説) 22 巻 1 号 神経疾患治療薬一覧抗てんかん薬 anti?epileptic drugs(AED) 22 巻 2 号 医療制度の変革と神経治療学(論説)17 巻 4 号 ヘルペス脳炎の診療(論説) 脳梗塞の脳保護医療と再生神経疾患治療の進歩(1999 年) 22 巻 3 号 第 23 回日本神経治療学会総会抄録集17 巻 5 号 第 18 回総会特集(1) 22 巻 4 号 神経内科学と神経治療学の広報活動の重要性(論説)17 巻 6 号 第 18 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2004 年)18 巻 1 号 動の Neurology の必要性と Evidence?based Neu- 22 巻 5 号 新しい時代のてんかんを考える(論説)rology(論説) 医療制度の変革と神経疾患慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)に 22 巻 6 号 第 23 回総会特集対するγ?globulin 大量療法 23 巻 1 号 神経治療の未来 ─ 再生医療 ─(論説)18 巻 2 号 パーキンソニズムを中心とする変性疾患の概念(論 RNA干渉による神経疾患の治療の可能性について説) 23 巻 2 号 脳梗塞急性期治療の breakthrough(論説)自律神経疾患の最近の治療 23 巻 3 号 第 24 回日本神経治療学会総会抄録集18 巻 3 号 ブロック療法─不随意運動,痙縮,疼痛の治療の現 23 巻 4 号 日本神経治療学会の独自性と融和(論説)状と今後 神経疾患治療の進歩(2005 年)18 巻 4 号 医療,とくに神経病の治療との関連性から見た介助 23 巻 5 号 Transient ischemic attack(TIA)の新しい定義(論犬(論説) 説)神経疾患治療の進歩(2000 年) 経頭蓋磁気刺激療法 ─ 脳刺激が神経・精神疾患の治18 巻 5/6 合併号 療法として有用か ─第 19 回総会特集 23 巻 6 号 第 24 回総会特集19 巻 1 号 筋萎縮性側索硬化症治療への動向(論説) 24 巻 1 号 日本神経治療学会の 25年の歩みと今後の課題(論説)神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)327超急性期脳梗塞における t?PA 静注療法 28 巻 1 号 第 28 回総会特集(2)24 巻 2 号 認知症治療における増大する神経内科医の役割(論 28 巻 2 号 前頭筋収縮の左右差(論説)説) 末梢神経障害の治療の進歩Alzheimer 病治療の進歩 標準的神経治療:めまい24 巻 3 号 第 25 回日本神経治療学会総会抄録集 28 巻 3 号 てんかん診療と本学会の果たすべき役割(論説)24 巻 4 号 神経変性疾患の病態抑止療法への展望 脳卒中のトータルケア─発症予防から地域連携パス─治療研究のパラダイムシフト─(論説) まで─神経疾患治療の進歩(2006 年) 標準的神経治療:本態性振戦24 巻 5 号 めざすべき神経内科治療(論説) 28 巻 4 号 脳梗塞治療の新展開(論説)Parkinson 病治療に関する最近の話題 神経疾患治療の進歩 2010 年24 巻 6 号 第 25 回総会特集 28 巻 5 号 第 29 回日本神経治療学会総会抄録集25 巻 1 号 神経疾患のステロイド治療(論説) 28 巻 6 号 超急性期脳梗塞の予後改善には Pre-hospital Stroke 神経変性疾患の病態抑止治療(分子標的治療)への Care へのインセンティブが必要─逆転の発想で,救展望 急隊へフィードバック実施病院に加算を─(論説)標準的神経治療:手根管症候群 認知症:最新治療とトピック25 巻 2 号 医療崩壊解決の処方箋=瀕死状態の医療の治療法は 29 巻 1 号 神経疾患新規治療薬のこれから(論説)あるか?(論説) 免疫性神経疾患の治療:標準的治療とトピックス標準的神経治療:ベル麻痺 標準的神経治療:Restless legs 症候群25 巻 3 号 第 26 回日本神経治療学会総会抄録集 29 巻 2 号 第 29 回総会特集(1)25 巻 4 号 水と水チャネル(論説) 29 巻 3 号 第 29 回総会特集(2)神経疾患治療の進歩(2007 年) 29 巻 4 号 免疫性神経疾患の治療ガイドライン作成において考標準的神経治療:片側顔面痙攣 えたこと(論説)25 巻 5 号 日本における臨床研究の現状と問題点(論説) 神経疾患治療の進歩 2011 年脳梗塞治療の現状と展望 標準的神経治療:高齢発症てんかん25 巻 6 号 第 26 回総会特集 29 巻 5 号 第 30 回日本神経治療学会総会抄録集26 巻 1 号 医療保険委員会(論説) 29 巻 6 号 自律神経学の臨床への応用─神経治療の普遍化に対脳炎・脳症をめぐる話題と治療 する本学会への期待─(論説)26 巻 2 号 神経内科医は何を診てそして何を治療してゆくのか コミュニティにおける神経治療(論説) 30 巻 1 号 これからの多発性硬化症診療 30年(論説)片頭痛治療の進歩 末梢・中枢神経疾患の自律神経障害に対する治療26 巻 3 号 第 27 回日本神経治療学会総会抄録集 30 巻 2 号 第 30 回総会特集(1)26 巻 4 号 医療における神経内科の課題,その他(論説) 標準的神経治療:重症神経難病の呼吸管理・リハビ神経疾患治療の進歩 リテーション26 巻 5 号 神経学の新しいパースペクティブ(論説) 30 巻 3 号 第 30 回総会特集(2)神経心理学的治療 30 巻 4 号 臨床神経学における専門医制度(論説)26 巻 6 号 第 27 回総会特集 神経疾患治療の進歩 2012 年神経治療研究の将来展望─Part 2(論説) 標準的神経治療:ボツリヌス治療27 巻 1 号 多系統萎縮症の治療と療養指導 30 巻 5 号 第 31 回日本神経治療学会総会抄録集標準的神経治療:三叉神経痛 30 巻 6 号 女性と神経疾患治療(論説)27 巻 2 号 頭痛研究の進歩(論説) 中枢神経疾患の早期治療:その意義と課題神経疾患に伴う睡眠障害の治療 標準的神経治療:視神経脊髄炎標準的神経治療:高齢発症重症筋無力症 31 巻 1 号 新規治療の症例報告をしよう(論説)27 巻 3 号 第 28 回日本神経治療学会総会抄録集 中枢神経系感染症と周辺疾患の治療動向27 巻 4 号 学会誌の発展を期待して(論説) 31 巻 2 号 第 31 回総会特集(1)神経疾患治療の進歩 2009 年 31 巻 3 号 第 31 回総会特集(2)標準的神経治療:慢性疼痛 31 巻 4 号 細菌性髄膜炎診療ガイドライン 2014 の作成(論説)27 巻 5 号 我が国の創薬研究─医学・薬学の融合的研究の必要 神経疾患治療の進歩 2013 年性─(論説) 標準的神経治療:神経疾患に伴う嚥下障害頸動脈病変の治療,予防 31 巻 5 号 第 32 回日本神経治療学会総会抄録集27 巻 6 号 第 28 回総会特集(1) 31 巻 6 号 今,求められている神経変性疾患の臨床診断基準の神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)328在り方(論説) 33 巻 2 号 第 33 回総会特集(1)ニューロリハビリテーションの新たな展開:脳血管 33 巻 3 号 第 33 回総会特集(2)障害からの機能回復 33 巻 4 号 神経治療学のこれから:医師主導治験で考えたこと32 巻 1 号 片頭痛,群発頭痛と自律神経(論説) (論説)日本におけるParkinson 病治療の歴史と将来展望 神経疾患治療の進歩 2015 年32 巻 2 号 第 32 回総会特集(1) 標準的神経治療:不眠・過眠と概日リズム障害32 巻 3 号 第 32 回総会特集(2) 33 巻 5 号 第 34 回日本神経治療学会総会抄録号32 巻 4 号 Parkinson 病の遺伝子治療:これからの展開(論説) 33 巻 6 号 希少疾患の治験を成功させるためには(論説)神経疾患治療の進歩 2014 年 免疫介在性壊死性ミオパチー標準的神経治療:結核性髄膜炎 34 巻 1 号 脳梗塞血栓溶解療法のこれまでとこれから(論説)32 巻 5 号 第 33 回日本神経治療学会総会抄録集 脳血管病変と脳疾患32 巻 6 号 免疫性ニューロパチーの治療:問題点と将来展望 34 巻 2 号 遺伝性疾患のモデル作成とその有効性―ショウジョ(論説) ウバエモデルの有効性:Perry 症候群モデルから学認知症の予防と早期介入:その危険因子と防御因子 んだこと(論説)33 巻 1 号 自己免疫性脳症の診断・病態・治療 運動ニューロン病神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)329
専門医が知っておくべきParkinson病の病態と治療の展望 橋 牧郎 Vol. 34
                   
                   
                    (2017)
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=3&kijiCd=34_182&screenID=AF06S010 専門医が知っておくべきPDの病態と治療の展望●特集/マラソンレクチャー5専門医が知っておくべきParkinson病の病態と治療の展望*橋 牧郎**Key Words:α?synuclein, prion?like propagation, microbiota dysbiosis, disease modifying therapy, biomarker(神経治療 34:182?187,2017)はじめに 運動症状発現前よりRBDが出現する.進行するとうつ,アParkinson病の病態解明が進むにつれて,これまで多くの パシー,幻視,記銘力障害などの精神・認知障害をきたしや薬剤が開発されてきたが,臨床医はその適切な使い分けにつ すいことが知られ,非運動症状として治療対象とすべき点がき判断を求められるようになってきた.中でも,振戦,無 注目されている.近年のParkinson病の病理学的知見の蓄積動,固縮,姿勢反射障害などの運動症状を主な治療ター により,病的α?synuclein蛋白が病気の進行とともに嗅球かゲットとして,各種のドパミン薬が開発されてきた経緯があ ら扁桃体,辺縁系より脳内に広がる系と腸管自律神経より迷る.しかし近年,Parkinson病患者の高齢化や罹病期間の長 走神経を介して迷走神経背側核,青斑核,黒質へと上行する期化により,便秘,起立性低血圧などの自律神経症状に加え 系(dual hit仮説)が知られるようになり,α?synucleinがて,レム期睡眠行動異常(REM sleep behavior disorder: 末梢から中枢へと伝播するBraak仮説が受け入れられつつあRBD),うつ,アパシーなどの精神症状,睡眠障害や幻視・ る1).この病理学的進行に相関して,Parkinson病では初期錯視,遂行機能障害といった認知症状,さらには痛み,疲 から嗅覚障害や便秘などの自律神経障害が生じ,進行すると労,腰曲がり,首下がりなどの非運動症状の顕在化が問題視 脳幹背側に病理が及んでノルアドレナリンやドパミン,セロされるようになり,治療対象として無視できないものとなっ トニンなどモノアミン系の障害が出現する.さらに睡眠覚醒ている.これらの症状はBraakらが報告したParkinson病の 中枢と考えられている上行性網様体賦活系の異常により日中α?synuclein病理ステージの進行とも良く相関しており,症 の傾眠,レム期睡眠行動異常症(RBD),変動する認知機能状のみならず病理学的な進行そのものを抑制する疾患修飾薬 障害が認められる.扁桃体を始めとする辺縁系,大脳皮質にの開発が待たれている.また早期発見,早期予防の観点から, 病理が及ぶとアパシーや幻視,認知機能障害なども出現し,発症リスク因子解析とともに前臨床期に正確に診断できるバ いわゆる認知症をともなうParkinson病(Parkinson's dis-イオマーカーの開発も求められている.さらに,Parkinson ease with dementia:PDD)の状態となる(Fig. 1)2).した病の新たな発症機序として腸内細菌叢の異常と迷走神経を介 がっていつからParkinson病の病理は始まるのか,を解明すしたα?synuclein伝播,腸脳連関も注目されている. ることは重要である.Parkinson病の発症前診断の手がかり本講演では現状での各種抗Parkinson病薬治療エビデンス として,リン酸化α?synuclein蛋白が皮膚の細小血管壁や汗や使い分けの私見を述べるとともにα?synucleinの病態に関 腺の自律神経終末3),腸管4),嗅球5),咽頭6),網膜7)などにもわる分子機構と,病的蛋白を標的とした免疫治療や蛋白凝集 運動症状発現前から存在することが近年相次いで報告されて抑制治療の最近の試みなどを含めて概説する. おり,生検によるバイオマーカーとしての診断有用性も期待される.I .Parkinson病の臨床症状と病理学的進展機構の相関II .α?synucleinの生化学的特徴,環境毒,Parkinson病は安静時振戦,筋強剛,寡動,姿勢反射障害炎症性腸内細菌叢との関連などの4大運動症状を主症状とする疾患であるが,早期から起立性低血圧や便秘,発汗過多などの自律神経症状を呈し, Parkinson病の患者においては慢性習慣性便秘が高率にみ* Perspectives of treatment for Parkinson's disease based on the pathophysiology that should be known by neurology experts.** 大阪赤十字病院神経内科 Makio TAKAHASHI : Department of Neurology, Osaka Redcross Hospitalhttp://doi.org/10.15082/ jsnt.34.3_182神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)182専門医が知っておくべきPDの病態と治療の展望Braak Stage Braak Stage Braak Stage1-2 3-4 5-6ViaolfactorybulbVia vagus nerveolfactory dysfunction REM sleep behavioral disorder dementiaorthostatic hypotension Parkinsonism apathyarrhythmia pain depressionconstipation somnolence hallucinationModified from Doty RL. Nat Rev Neurol. 2012Fig. 1 Correlation between α?synuclein propagation and clinical symptoms in Parkinson's diseaseられるが,便秘のある患者は便秘のない患者に比較して 常,神経炎症,α?synucleinの凝集蓄積などがParkinson病Parkinson病の発症リスクは約4倍になると報告されてい の発症メカニズムに関わることが示されている11)が,中でる8).また,そのような患者では腸内細菌叢に異常があり, も加齢に伴う酸化ストレスが強力な発症リスク因子であるこ炎症性細菌叢の増加と抗炎症性細菌叢の低下が指摘されるよ とはいうまでもない.α?synucleinはシナプス小胞の機能維うになった9).さらに,グラム陰性菌細胞壁外膜に存在する 持や神経可塑性に関与するシナプス前蛋白であるが,Par-リポ多糖などのエンドトキシンなどに暴露されると,α? kinson病患者脳では神経細胞内,突起内で異常蓄積し線維性synucleinの蓄積と凝集,病理学的進展が再現されることも 封入体を形成する.生化学的には元来可溶性蛋白であるα?マウスモデル等で示されており10),腸管神経細胞,グリア細 synucleinが病的状態では過剰リン酸化され,不溶性オリゴ胞内で炎症性サイトカインに慢性的に暴露された病的α? マーを形成して凝集・線維化するが,その過程で生じる中間synucleinは迷走神経などを介して延髄の迷走神経背側核, 型毒性オリゴマーが神経細胞死を引きおこすと考えられてい青斑核,黒質と伝播していくことが考えられる(Fig. 2). る.筆者らは酸化ストレスやオートファジーなどの蛋白分解以前から農薬などへの曝露もParkinson病発症リスクとして 機構の破綻により,α?synuclein蛋白の蓄積,凝集が加速す注目されてきたが,これらの炎症や環境毒,炎症性腸内細菌 ることを明らかにした(Fig. 3)12).これらの凝集したα?などとの関わりがParkinson病の発症機構として重要であ synuclein毒性オリゴマーは,細胞から細胞へプリオン蛋白り,疾患修飾治療のターゲットとなる可能性がある. のごとく伝播し,緩徐に脳内に広がっていくことが解明されつつある.実際,胎児由来のドパミン神経移植術を受けたIII .遺伝子解析より解明されたParkinson病のリスク因PD患者脳において,移植片にLewy小体が形成された事実が子とα?synuclein脳内伝播;プリオン仮説は正しいか?きっかけとなり,α?synucleinの細胞から細胞への伝播,いこれまで多くの家族性Parkinson病遺伝子解析の結果か わゆるプリオン様伝播仮説が提唱された13).この現象は培養ら,ミトコンドリア機能障害,酸化ストレス,小胞輸送の異 細胞モデルや動物モデルでも再現され,疾患脳での病態進展神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)183専門医が知っておくべきPDの病態と治療の展望Brainstem type Lewy bodyα-synuclein stainingultra structureEN: enteric neuronLB: Lewy bodyEGC: enteric glial cellTakahashi et al., 2006Modified from Derkinderen P et al.,.  Mov Disord. 2014Fig. 2 Effect of intestinal microbiota on the formation of Lewy bodies propagating into brain in Parkinson's diseaseに関わる分子機構として解明されつつある14).さらに,α? 終末でのシナプス小胞数が減少,ドパミン貯蔵能・放出能がsynucleinに対する免疫治療,抗体医薬により,これらの伝 低下し,シナプス間隙ドパミン量の調節障害をきたすことが播を抑制,あるいは細胞外に放出されたα?synucleinをミク あげられる17).さらには,内服したレボドパは血液脳関門をログリアを介して貪食,分解する効果が動物モデルで示さ 通過後脳内にて芳香族脱炭酸酵素(aromatic L?amino acidれ15),Parkinson病患者対象とした臨床治験にても抗体医薬 decarboxylase:AADC)によりドパミンに変換されるが,ドの安全性が確認されている16). パミン神経が脱落すると代わりにセロトニン神経がレボドパをドパミンに変換する18).ドパミン作動性神経と異なりセロIV .長期的視点に立ったParkinson病の治療の実際トニン作動性神経にはドパミン放出の調節機能がないため,Parkinson病の治療は1967年のレボドパの開発後劇的に進 脳内ドパミン濃度の変動が激しくなることが考えられる.し化し,半世紀が経つ.現在でもレボドパがその中心となるこ たがって,これらの運動合併症を予防する意味でドパミンアとは疑いの余地はないが,その半減期は約90分と短く,長期 ゴニストが開発された.以前は麦角系製剤が主流であったが,の使用やParkinson病の病状の進行とともに,wearing offや 心臓弁膜症や肺線維症などの合併症の問題から最近では非麦dyskinesiaなどの運動合併症が出現することが問題視される 角系製剤が主流となり,徐放剤や貼付剤も使用可能である.ようになった.すなわち,進行期Parkinson病ではレボドパ これらの非麦角系ドパミンアゴニストは半減期が長く,ドパの有効治療域が狭くなり,脳内ドパミン濃度の変動も激しく ミン受容体を持続的に刺激するため,レボドパ単剤治療に比なるため,低濃度の時点ではオフ,高濃度となるとdyskine- 較してジスキネジアなどの運動合併症が出現しにくいことがsiaが出現する.この運動合併症発現の理由として,1)線条 確認されている.しかしながら,突発性睡眠や衝動制御障害体ドパミン神経終末の変性・脱落が進行し,2)ドパミン神経 などの精神症状も報告されており,漫然とした使用には注意神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)184専門医が知っておくべきPDの病態と治療の展望Ascorbic AcidROS FeCl2Oxidative stress lysosomal enzyme ac?va?onGRK2 CK2α Pro-CatDhyperphosphoryla?on DRB/TBBNHSer129 phosphorylation 4ClPepstatin ACalpain1 α-Syn Pα-SynC-terminal CatDtruncation (active)Fragmented ΔC- α-Syn α-Syn α-Syn fibrilsα-Syn (eg.10&12kD) oligomer (Lewy bodies&Lewyneurites)C-terminus fragmenta?on of α-synucleinDegradationModified fromTakahashi M et al., Eur J Neurosci, 2007Fig. 3 Suspected mechanism of α?synuclein aggregation under oxidative stressを要する.運動合併症を減らすためにはドパミン持続投 まとめ与・刺激(continuous dopaminergic delivery/stimulation: Parkinson病の発症機序,発症リスク因子,腸脳連関,脳CDD/CDS)が重要であり,CDD/CDSを具現化する意味で 内伝播と最近のα?synuclein免疫療法について概説した.治もMAO?B阻害薬,COMT阻害薬の併用やその合剤(スタレ 療薬,診断技術の進歩とともにParkinson病の早期発見,早ボ?),レボドパ・カルビドパ空腸内持続投与(levodopa/ 期治療が可能となってきたが,確実な疾患バイオマーカーはcarbidopa intestinel gel:LCIG)が本邦でも保険承認されて 現時点で存在しない.罹病期間の長い高齢Parkinson病患者いる.また,海外ではレボドパ・カルビドの徐放剤(Rytary?) が増えてきた現状ではCDD/CDSを考慮したより持続的なドも使用可能となった.さらに,本邦だけではあるが,非ドパ パミン治療の達成がもとめられる.運動合併症や認知症などミン系薬剤であるゾニサシドやイストラデフィリンといった の非運動症状への予防,対策も必要であり,必要に応じて非薬剤も使用可能となり,ドパミン系薬剤で治療抵抗性の振戦 ドパミン薬の併用や抗うつ薬,抗認知症薬の使用を考慮すべや姿勢異常,歩行などに有効の可能性が示唆される.基礎実 きである.また,腸脳連関の見地からは便秘や腸内細菌叢の験のデータからは,これらの薬剤は神経保護作用も期待され, 改善に関する対策もParkinson病の進行抑制に重要と思われ長期的なParkinson病の進行抑制治療に有効かもしれない. る.さらにはα?synucleinをはじめとするParkinson病の病ただし,Parkinson病の治療薬を全て使用するのは現実的で 理学的進展を抑制する疾患修飾薬の開発が次世代治療としてはなく,副作用も懸念される.Parkinson病の重症度や患者 求められている.一方でiPSなどの細胞移植治療や免疫療法さん個々の臨床的特徴に応じた薬物の使い分けが求められて による病的α?synucleinの除去といった治療が研究・開発さいるが,現時点での筆者の私見をFig. 4に示す. れつつあるが,これらの治療は莫大な医療費がかかることが神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)185専門医が知っておくべきPDの病態と治療の展望Fig. 4 Drug selection for Parkinson'sHoehn-Yahr ?-?(0~5yrs) ?-?(5~10yrs) ?-?(10~15yrs) ?-?(15yrs~) disease according to Hoehn?Yahr StageL-dopa +~++ ++ ++~+++ ++ (Private Opinion)MAOB-I +++ ++ + +~-DA +++ ++ ++ +AMT + ++ +++ (for ++ ( for dyskinesia) dysphagia)ZNS ++( for ++ ++( for +tremor) dyskinesia?)IST - + ++(for +camptocormia?)An?-cholinergic +~- - - -ChE-I - - + ++( for demen?a)DBS -~+ +~++ + -DA: dopamine agonist, AMT: amantadine, ZNS: zonisamide, IST: istradefylline,ChE-I: Cholinesterase inhibitor, DBS: deep brain s?mula?on予想される.Parkinson病の疾患修飾治療,進行抑制治療に 9)Keshavarzian A, Green SJ, Engen PA et al : Colonic bacterialついては費用対効果の面も含めて克服すべき課題は多いもの composition in Parkinson's disease. Mov Disord 30 : 1351?1360, 2015と思われる.10)Kelly LP, Carvey PM, Keshavarzian A et al : Progression ofintestinal permeability changes and alpha?synuclein expres-本論文はCOI報告書の提出があり,開示すべき項目はありません. sion in a mouse model of Parkinson's disease. Mov Disord29 : 999?1009, 2014文   献 11)Br?s J, Guerreiro R, Hardy J : SnapShot : Genetics of Parkin-1)Braak H, Del Tredici K, R?b U et al : Staging of brain pathol- son's disease. Cell 160 : 570?570.e1, 2015ogy related to sporadic Parkinson's disease. Neurobiol Aging 12)Takahashi M, Ko LW, Kulathingal J et al : Oxidative stress?24 : 197?211, 2003 induced phosphorylation, degradation and aggregation of al-2)Doty RL : Olfactory dysfunction in Parkinson disease. Nat pha?synuclein are linked to upregulated CK2 and cathepsinRev Neurol 8 : 329?339, 2012 D. Eur J Neurosci 26 : 863?874, 20073)Zange L, Noack C, Hahn K et al : Phosphorylated α?synu- 13)Li JY, Englund E, Holton JL et al : Lewy bodies in graftedclein in skin nerve fibres differentiates Parkinson's disease neurons in subjects with Parkinson's disease suggest host?from multiple system atrophy. Brain 138 : 2310?2321, 2015 to?graft disease propagation. Nat Med 14 : 501?503, 20084)Ito S, Takao M, Hatsuta H et al : Alpha?synuclein immuno- 14)Lee SJ, Desplats P, Sigurdson C et al : Cell?to?cell transmis-histochemistry of gastrointestinal and biliary surgical speci- sion of non?prion protein aggregates. Nat Rev Neurol 6 :mens for diagnosis of Lewy body disease. Int J Clin Exp 702?706, 2010Pathol 7 : 1714?1723, 2014 15)Spencer B, Valera E, Rockenstein E et al : Anti?α?synuclein5)Saito Y, Shioya A, Sano T et al : Lewy body pathology in- immunotherapy reduces α?synuclein propagation in the axonvolves the olfactory cells in Parkinson's disease and related and degeneration in a combined viral vector and transgenicdisorders. Mov Disord 31 : 135?138, 2016 model of synucleinopathy. Acta Neuropathol Commun 5 : 7,6)Mu L, Chen J, Sobotka S, et al; Arizona Parkinson's Disease 2017Consortium : Alpha?Synuclein Pathology in Sensory Nerve 16)Schenk DB, Koller M, Ness DK et al : First?in?human as-Terminals of the Upper Aerodigestive Tract of Parkinson's sessment of PRX002, an anti?α?synuclein monoclonal anti-Disease Patients. Dysphagia 30 : 404?417, 2015 body, in healthy volunteers. Mov Disord 32 : 211?218, 20177)Bodis?Wollner I, Kozlowski PB et al : α?synuclein in the in- 17)Jankovic J : Levodopa strengths and weaknesses. Neurologyner retina in parkinson disease. Ann Neurol 75 : 964?966, 58(4 Suppl 1) : S19?S32, 20022014 18)Cheshire PA, Williams DR : Serotonergic involvement in lev-8)Abbott RD, Petrovitch H, White LR et al : Frequency of bow- odopa?induced dyskinesias in Parkinson's disease. J Clinel movements and the future risk of Parkinson's disease. Neurosci 19 : 343?348, 2012Neurology 57 : 456?462, 2001神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)186専門医が知っておくべきPDの病態と治療の展望Perspectives of treatment for Parkinson's disease basedon the pathophysiology that should be known by neurology expertsMakio TAKAHASHIDepartment of Neurology, Osaka Redcross HospitalAs the clarification of the nature of Parkinson's disease pathological stage of Parkinson's disease reported byprogresses, many drugs have been developed, and clini- Braak et al. It is awaited to develop disease modifyingcians have been asked to make judgments as to their drugs that suppress not only symptoms but also pathologi-proper use. Until now, various dopaminergic drugs have cal progress itself. At the same time, it is also required tobeen developed against the motor symptoms such as trem- develop biomarkers that can be accurately used in the pre-or, rigidity, akinesia and postural reflex disturbance as clinical phase from the viewpoint of early detection andthe main therapeutic targets. Recently, due to aging and early prevention as well as risk factor analysis. In addi-prolonged disease duration of Parkinson's disease pa- tion, intestinal microbiota dysbiosis and gut?brain axistients, it has become problematic and can not be ignored via the vagus nerve are attracting attention as a newas a treatment target that includes autonomic symptoms pathogenic mechanism of Parkinson's disease. In this pre-such as constipation and orthostatic hypotension, REM sentation, I will present my personal opinion of varioussleep behavioral disorder (RBD), mental disorders such as anti?Parkinson's disease treatment based on clinical evi-depression, apathy, delusion /hallucination, performance dences and its current use, as well as the molecular mech-impairment and cognitive disorders. Moreover, the mani- anisms concerning α?synuclein's pathology. Recent trialfestation of non?motor symptoms such as pain, fatigue, of immunotherapy targeting α?synuclein proteins andcamptocormia, dropped head are focused as the cardinal the suppression of the protein aggregation will also besymptom of Parkinson's complex. Further, these symp- outlined.toms correlate well with the progression of α?synuclein神経治療 Vol. 34 No. 3(2017)187
〈神経治療学〉特集テーマ一覧 Vol. 34
                   
                   
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https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=34&noIssue=2&kijiCd=34_129&screenID=AF06S010 〈神経治療学〉特集テーマ一覧〔1 巻 1 号〜 8 巻 6 号「神経内科治療」〕 2 号 放射線脊髄症と脳症(radiation?myelopathy and 1 巻 1 号 1 錐体外路系疾患の治療と対策 encephalopathy)の治療と予防2 神経系感染症の内科的治療 3 号 神経疾患治療効果の判定2 号 1 免疫性神経疾患の治療─最近の経験を中心に 4 号 腫瘍関連神経症候群 paraneoplastic neurological 2 てんかんの治療 syndrome の治療2 巻 1 号 1 パーキンソン病の新しい治療の開発(総説) 5 号 第 10 回総会特集(1)2 神経因性膀胱の最近の治療(総説) 6 号 第 10 回総会特集(2)2 号 意識障害の病態と治療T 10 巻 1 号 神経疾患における精神症状とその対策3 号 意識障害の病態と治療U 2 号 神経疾患における薬物臨床試験4 号 末梢神経障害の治療 ─その科学性と倫理性─3 巻 1 号 頭痛の予防と治療T 3 号 変性性神経筋疾患治療の展望2 号 頭痛の予防と治療U 4 号 慢性神経疾患の在宅療法3 号 自律神経障害の治療 5 号 救命救急医療と神経疾患4 号 筋萎縮性側索硬化症の治療とその問題点 6 号 第 11 回総会特集4 巻 1 号 虚血性脳血管障害の治療T 11 巻 1 号 脳腫瘍の外科的治療2 号 虚血性脳血管障害の治療U 2 号 脊髄腫瘍の治療3 号 アルコール性神経障害とその治療 3 号 新しい抗パーキンソン病薬4 号 薬物の神経副作用とその対策 4 号 不随意運動症の最近の治療5 巻 1 号 不随意運動の治療と対策 5 号 第 12 回総会特集(1)2 号 頭蓋内出血の治療と対策 6 号 第 12 回総会特集(2)3 号 ミオパチーの治療 12 巻 1 号 脳血管障害 最近の治療(1)4 号 第 6回学術集会特集 2 号(神経疾患治療薬一覧)不随意運動,その病態と薬物治療(シンポジウム) 3 号 脳血管障害 最近の治療(2)6 巻 1 号 痴呆と対策 4 号 機能性頭痛2 号 (神経内科治療薬一覧) 5 号 第 13 回総会特集(1)3 号 髄膜炎・脳炎の治療の選択と進め方 6 号 第 13 回総会特集(2)4 号 薬物副作用としての神経障害T 13 巻 1 号 Guillain?Barr? 症候群の診断基準5 号 薬物副作用としての神経障害U ─原典への復帰─(論説)6 号 第 7回学術集会特集 2 号 神経疾患治療雑考(論説)めまいの治療(シンポジウム) 症候性頭痛7 巻 1 号 薬物副作用としての神経障害V 3 号 パーキンソン病における挺舌の障害から2 号 (神経内科治療薬一覧) ─ midline neurology ─(論説)3 号 痛みの治療とその適応 多系統萎縮症の治療計画4 号 リハビリテーション 4 号 論文の書き方で運命が変わる5 号 免疫性神経疾患に対する血液浄化療法 ─ ISAACS症候群を中心に─(論説)6 号 第 8回学術集会特集 神経疾患治療の進歩と薬剤による神経系神経・筋疾患:新しい治療の展望(シンポジウム) 副作用の概観(1995 年)8 巻 1 号 睡眠障害とその治療 5 号 第 14 回総会特集(1)2 号 (神経内科治療薬一覧) 6 号 第 14 回総会特集(2)3 号 頚髄・頚椎疾患の治療 14 巻 1 号 ヒトの脳重・体重と極限寿命(論説)4 号 神経疾患の最近の経過と予後T ボツリヌス治療5 号 神経疾患の最近の経過と予後U 14 巻 2 号 Ceteris Paribus から二重盲検法まで6 号 第 9回学術集会特集 ─歴史的考察─(論説)難治性神経・筋疾患の治療 政策医療としての神経・筋疾患の治療・療養─最近のトピックスから─(シンポジウム) 14 巻 3 号 重症筋無力症─症候,予後,QOL─今昔─(論説)〔9 巻 1 号〜「神経治療学」と改題〕 言語障害 失語と構音障害の治療9 巻 1 号 神経疾患の最近の経過と予後V 14 巻 4 号 Levodopa 時代のパーキンソン病の予後(論説)神経治療 Vol. 34 No. 2(2017)129神経疾患の治療の進歩(1996 年) Parkinson 病の治療14 巻 5 号 第 15 回総会特集(1) 19 巻 2 号 画像診断の進歩と脳血管障害の診断(論説)14 巻 6 号 第 15 回総会特集(2) Neurological Intensive Care15 巻 1 号 客観的薬効評価の問題点─ Guillain─Barr? 症候 19 巻 3 号 第 20 回日本神経治療学会総会抄録集群の大量免疫グロブリン療法を行うに当たって─ 19 巻 4 号 神経疾患治療の進歩(2001 年)(論説) 19 巻 5 号 Evidence?based medicine(EBM)と治療ガイド 15 巻 2 号 ルー・ゲーリック病のケア(論説) ライン(論説)神経疾患に伴う睡眠障害の治療 神経治療に関する最近の問題と対策15 巻 3 号『七新薬』と司馬凌海─西欧式薬物治療日本への導 19 巻 6 号 第 20 回総会特集入事始め──(論説) 20 巻 1 号 人為的原因による神経疾患の予防と対策:感染性神経疾患に対する新しい免疫的治療の試み Creutzfeldt?Jakob 病から学ぶもの(論説)15 巻 4 号 脳卒中の治療──一次予防と二次予防について── 頭痛診療の進歩(論説) 20 巻 2 号 神経疾患の治療と quality of life(QOL)神経疾患の治療の進歩(1997 年) 20 巻 3 号 第 21 回日本神経治療学会総会抄録集15 巻 5 号 第 16 回総会特集(1) 20 巻 4 号 神経疾患治療の変遷と将来展望(論説)15 巻 6 号 第 16 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2002 年)16 巻 1 号 医療における分化と統合──「神経治療学とEBM」 20 巻 5 号 21 世紀の神経疾患治療の展望(論説)特集に因んで(論説) 神経難病の代表的疾患である筋萎縮性側索硬化症に神経治療学とEvidence?based medicine(EBM) 対する治療への挑戦16 巻 2 号(神経疾患治療薬一覧) 20 巻 6 号 第 21 回総会特集16 巻 3 号 脳血管性痴呆の臨床(論説) 21 巻 1 号 重症筋無力症の病態と治療に関する最近の話題神経治療薬の適応外処方 21 巻 2 号 神経疾患の医療手順(論説)16 巻 4 号 Informed consent と医の倫理(論説) 神経疾患の医療手順神経疾患の治療の進歩 21 巻 3 号 第 22 回日本神経治療学会総会抄録集16 巻 5 号 第 17 回総会特集(1) 21 巻 4 号 神経治療学の更なる発展を目指して(論説)16 巻 6 号 第 17 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2003 年)17 巻 1 号(原著のみ掲載) 21 巻 5 号 神経治療研究の将来展望(論説)17 巻 2 号 神経学関連の遺伝子治療(論説) ミオパチーの病態と治療に関する最近の話題脳血管障害の抗血栓療法 21 巻 6 号 第 22 回総会特集17 巻 3 号 免疫と遺伝子からのレセプター病概説(論説) 22 巻 1 号 神経疾患治療薬一覧抗てんかん薬 anti?epileptic drugs(AED) 22 巻 2 号 医療制度の変革と神経治療学(論説)17 巻 4 号 ヘルペス脳炎の診療(論説) 脳梗塞の脳保護医療と再生神経疾患治療の進歩(1999 年) 22 巻 3 号 第 23 回日本神経治療学会総会抄録集17 巻 5 号 第 18 回総会特集(1) 22 巻 4 号 神経内科学と神経治療学の広報活動の重要性(論説)17 巻 6 号 第 18 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2004 年)18 巻 1 号 動の Neurology の必要性と Evidence?based Neu- 22 巻 5 号 新しい時代のてんかんを考える(論説)rology(論説) 医療制度の変革と神経疾患慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)に 22 巻 6 号 第 23 回総会特集対するγ?globulin 大量療法 23 巻 1 号 神経治療の未来 ─ 再生医療 ─(論説)18 巻 2 号 パーキンソニズムを中心とする変性疾患の概念(論 RNA干渉による神経疾患の治療の可能性について説) 23 巻 2 号 脳梗塞急性期治療の breakthrough(論説)自律神経疾患の最近の治療 23 巻 3 号 第 24 回日本神経治療学会総会抄録集18 巻 3 号 ブロック療法─不随意運動,痙縮,疼痛の治療の現 23 巻 4 号 日本神経治療学会の独自性と融和(論説)状と今後 神経疾患治療の進歩(2005 年)18 巻 4 号 医療,とくに神経病の治療との関連性から見た介助 23 巻 5 号 Transient ischemic attack(TIA)の新しい定義(論犬(論説) 説)神経疾患治療の進歩(2000 年) 経頭蓋磁気刺激療法 ─ 脳刺激が神経・精神疾患の治18 巻 5/6 合併号 療法として有用か ─第 19 回総会特集 23 巻 6 号 第 24 回総会特集19 巻 1 号 筋萎縮性側索硬化症治療への動向(論説) 24 巻 1 号 日本神経治療学会の 25年の歩みと今後の課題(論説)神経治療 Vol. 34 No. 2(2017)130超急性期脳梗塞における t?PA 静注療法 28 巻 1 号 第 28 回総会特集(2)24 巻 2 号 認知症治療における増大する神経内科医の役割(論 28 巻 2 号 前頭筋収縮の左右差(論説)説) 末梢神経障害の治療の進歩Alzheimer 病治療の進歩 標準的神経治療:めまい24 巻 3 号 第 25 回日本神経治療学会総会抄録集 28 巻 3 号 てんかん診療と本学会の果たすべき役割(論説)24 巻 4 号 神経変性疾患の病態抑止療法への展望 脳卒中のトータルケア─発症予防から地域連携パス─治療研究のパラダイムシフト─(論説) まで─神経疾患治療の進歩(2006 年) 標準的神経治療:本態性振戦24 巻 5 号 めざすべき神経内科治療(論説) 28 巻 4 号 脳梗塞治療の新展開(論説)Parkinson 病治療に関する最近の話題 神経疾患治療の進歩 2010 年24 巻 6 号 第 25 回総会特集 28 巻 5 号 第 29 回日本神経治療学会総会抄録集25 巻 1 号 神経疾患のステロイド治療(論説) 28 巻 6 号 超急性期脳梗塞の予後改善には Pre-hospital Stroke 神経変性疾患の病態抑止治療(分子標的治療)への Care へのインセンティブが必要─逆転の発想で,救展望 急隊へフィードバック実施病院に加算を─(論説)標準的神経治療:手根管症候群 認知症:最新治療とトピック25 巻 2 号 医療崩壊解決の処方箋=瀕死状態の医療の治療法は 29 巻 1 号 神経疾患新規治療薬のこれから(論説)あるか?(論説) 免疫性神経疾患の治療:標準的治療とトピックス標準的神経治療:ベル麻痺 標準的神経治療:Restless legs 症候群25 巻 3 号 第 26 回日本神経治療学会総会抄録集 29 巻 2 号 第 29 回総会特集(1)25 巻 4 号 水と水チャネル(論説) 29 巻 3 号 第 29 回総会特集(2)神経疾患治療の進歩(2007 年) 29 巻 4 号 免疫性神経疾患の治療ガイドライン作成において考標準的神経治療:片側顔面痙攣 えたこと(論説)25 巻 5 号 日本における臨床研究の現状と問題点(論説) 神経疾患治療の進歩 2011 年脳梗塞治療の現状と展望 標準的神経治療:高齢発症てんかん25 巻 6 号 第 26 回総会特集 29 巻 5 号 第 30 回日本神経治療学会総会抄録集26 巻 1 号 医療保険委員会(論説) 29 巻 6 号 自律神経学の臨床への応用─神経治療の普遍化に対脳炎・脳症をめぐる話題と治療 する本学会への期待─(論説)26 巻 2 号 神経内科医は何を診てそして何を治療してゆくのか コミュニティにおける神経治療(論説) 30 巻 1 号 これからの多発性硬化症診療 30年(論説)片頭痛治療の進歩 末梢・中枢神経疾患の自律神経障害に対する治療26 巻 3 号 第 27 回日本神経治療学会総会抄録集 30 巻 2 号 第 30 回総会特集(1)26 巻 4 号 医療における神経内科の課題,その他(論説) 標準的神経治療:重症神経難病の呼吸管理・リハビ神経疾患治療の進歩 リテーション26 巻 5 号 神経学の新しいパースペクティブ(論説) 30 巻 3 号 第 30 回総会特集(2)神経心理学的治療 30 巻 4 号 臨床神経学における専門医制度(論説)26 巻 6 号 第 27 回総会特集 神経疾患治療の進歩 2012 年神経治療研究の将来展望─Part 2(論説) 標準的神経治療:ボツリヌス治療27 巻 1 号 多系統萎縮症の治療と療養指導 30 巻 5 号 第 31 回日本神経治療学会総会抄録集標準的神経治療:三叉神経痛 30 巻 6 号 女性と神経疾患治療(論説)27 巻 2 号 頭痛研究の進歩(論説) 中枢神経疾患の早期治療:その意義と課題神経疾患に伴う睡眠障害の治療 標準的神経治療:視神経脊髄炎標準的神経治療:高齢発症重症筋無力症 31 巻 1 号 新規治療の症例報告をしよう(論説)27 巻 3 号 第 28 回日本神経治療学会総会抄録集 中枢神経系感染症と周辺疾患の治療動向27 巻 4 号 学会誌の発展を期待して(論説) 31 巻 2 号 第 31 回総会特集(1)神経疾患治療の進歩 2009 年 31 巻 3 号 第 31 回総会特集(2)標準的神経治療:慢性疼痛 31 巻 4 号 細菌性髄膜炎診療ガイドライン 2014 の作成(論説)27 巻 5 号 我が国の創薬研究─医学・薬学の融合的研究の必要 神経疾患治療の進歩 2013 年性─(論説) 標準的神経治療:神経疾患に伴う嚥下障害頸動脈病変の治療,予防 31 巻 5 号 第 32 回日本神経治療学会総会抄録集27 巻 6 号 第 28 回総会特集(1) 31 巻 6 号 今,求められている神経変性疾患の臨床診断基準の神経治療 Vol. 34 No. 2(2017)131在り方(論説) 認知症の予防と早期介入:その危険因子と防御因子ニューロリハビリテーションの新たな展開:脳血管 33 巻 1 号 自己免疫性脳症の診断・病態・治療障害からの機能回復 33 巻 2 号 第 33 回総会特集(1)32 巻 1 号 片頭痛,群発頭痛と自律神経(論説) 33 巻 3 号 第 33 回総会特集(2)日本における Parkinson 病治療の歴史と将来展望 33 巻 4 号 神経治療学のこれから:医師主導治験で考えたこと32 巻 2 号 第 32 回総会特集(1) (論説)32 巻 3 号 第 32 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩 2015 年32 巻 4 号 Parkinson 病の遺伝子治療:これからの展開(論説) 標準的神経治療:不眠・過眠と概日リズム障害神経疾患治療の進歩 2014 年 33 巻 5 号 第 34 回日本神経治療学会総会抄録号標準的神経治療:結核性髄膜炎 33 巻 6 号 希少疾患の治験を成功させるためには(論説)32 巻 5 号 第 33 回日本神経治療学会総会抄録集 免疫介在性壊死性ミオパチー32 巻 6 号 免疫性ニューロパチーの治療:問題点と将来展望 34 巻 1 号 脳梗塞血栓溶解療法のこれまでとこれから(論説)(論説) 脳血管病変と脳疾患神経治療 Vol. 34 No. 2(2017)132
〈神経治療学〉特集テーマ一覧 Vol. 33
                   
                   
                    (2016)
                   
                   
                    No. 6
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=6&kijiCd=33_704&screenID=AF06S010 〈神経治療学〉特集テーマ一覧〔1 巻 1 号〜 8 巻 6 号「神経内科治療」〕 2 号 放射線脊髄症と脳症(radiation?myelopathy and 1 巻 1 号 1 錐体外路系疾患の治療と対策 encephalopathy)の治療と予防2 神経系感染症の内科的治療 3 号 神経疾患治療効果の判定2 号 1 免疫性神経疾患の治療─最近の経験を中心に 4 号 腫瘍関連神経症候群 paraneoplastic neurological 2 てんかんの治療 syndrome の治療2 巻 1 号 1 パーキンソン病の新しい治療の開発(総説) 5 号 第 10 回総会特集(1)2 神経因性膀胱の最近の治療(総説) 6 号 第 10 回総会特集(2)2 号 意識障害の病態と治療T 10 巻 1 号 神経疾患における精神症状とその対策3 号 意識障害の病態と治療U 2 号 神経疾患における薬物臨床試験4 号 末梢神経障害の治療 ─その科学性と倫理性─3 巻 1 号 頭痛の予防と治療T 3 号 変性性神経筋疾患治療の展望2 号 頭痛の予防と治療U 4 号 慢性神経疾患の在宅療法3 号 自律神経障害の治療 5 号 救命救急医療と神経疾患4 号 筋萎縮性側索硬化症の治療とその問題点 6 号 第 11 回総会特集4 巻 1 号 虚血性脳血管障害の治療T 11 巻 1 号 脳腫瘍の外科的治療2 号 虚血性脳血管障害の治療U 2 号 脊髄腫瘍の治療3 号 アルコール性神経障害とその治療 3 号 新しい抗パーキンソン病薬4 号 薬物の神経副作用とその対策 4 号 不随意運動症の最近の治療5 巻 1 号 不随意運動の治療と対策 5 号 第 12 回総会特集(1)2 号 頭蓋内出血の治療と対策 6 号 第 12 回総会特集(2)3 号 ミオパチーの治療 12 巻 1 号 脳血管障害 最近の治療(1)4 号 第 6回学術集会特集 2 号(神経疾患治療薬一覧)不随意運動,その病態と薬物治療(シンポジウム) 3 号 脳血管障害 最近の治療(2)6 巻 1 号 痴呆と対策 4 号 機能性頭痛2 号 (神経内科治療薬一覧) 5 号 第 13 回総会特集(1)3 号 髄膜炎・脳炎の治療の選択と進め方 6 号 第 13 回総会特集(2)4 号 薬物副作用としての神経障害T 13 巻 1 号 Guillain?Barr? 症候群の診断基準5 号 薬物副作用としての神経障害U ─原典への復帰─(論説)6 号 第 7回学術集会特集 2 号 神経疾患治療雑考(論説)めまいの治療(シンポジウム) 症候性頭痛7 巻 1 号 薬物副作用としての神経障害V 3 号 パーキンソン病における挺舌の障害から2 号 (神経内科治療薬一覧) ─ midline neurology ─(論説)3 号 痛みの治療とその適応 多系統萎縮症の治療計画4 号 リハビリテーション 4 号 論文の書き方で運命が変わる5 号 免疫性神経疾患に対する血液浄化療法 ─ ISAACS症候群を中心に─(論説)6 号 第 8回学術集会特集 神経疾患治療の進歩と薬剤による神経系神経・筋疾患:新しい治療の展望(シンポジウム) 副作用の概観(1995 年)8 巻 1 号 睡眠障害とその治療 5 号 第 14 回総会特集(1)2 号 (神経内科治療薬一覧) 6 号 第 14 回総会特集(2)3 号 頚髄・頚椎疾患の治療 14 巻 1 号 ヒトの脳重・体重と極限寿命(論説)4 号 神経疾患の最近の経過と予後T ボツリヌス治療5 号 神経疾患の最近の経過と予後U 14 巻 2 号 Ceteris Paribus から二重盲検法まで6 号 第 9回学術集会特集 ─歴史的考察─(論説)難治性神経・筋疾患の治療 政策医療としての神経・筋疾患の治療・療養─最近のトピックスから─(シンポジウム) 14 巻 3 号 重症筋無力症─症候,予後,QOL─今昔─(論説)〔9 巻 1 号〜「神経治療学」と改題〕 言語障害 失語と構音障害の治療9 巻 1 号 神経疾患の最近の経過と予後V 14 巻 4 号 Levodopa 時代のパーキンソン病の予後(論説)神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)704神経疾患の治療の進歩(1996 年) Parkinson 病の治療14 巻 5 号 第 15 回総会特集(1) 19 巻 2 号 画像診断の進歩と脳血管障害の診断(論説)14 巻 6 号 第 15 回総会特集(2) Neurological Intensive Care15 巻 1 号 客観的薬効評価の問題点─ Guillain─Barr? 症候 19 巻 3 号 第 20 回日本神経治療学会総会抄録集群の大量免疫グロブリン療法を行うに当たって─ 19 巻 4 号 神経疾患治療の進歩(2001 年)(論説) 19 巻 5 号 Evidence?based medicine(EBM)と治療ガイド 15 巻 2 号 ルー・ゲーリック病のケア(論説) ライン(論説)神経疾患に伴う睡眠障害の治療 神経治療に関する最近の問題と対策15 巻 3 号『七新薬』と司馬凌海─西欧式薬物治療日本への導 19 巻 6 号 第 20 回総会特集入事始め──(論説) 20 巻 1 号 人為的原因による神経疾患の予防と対策:感染性神経疾患に対する新しい免疫的治療の試み Creutzfeldt?Jakob 病から学ぶもの(論説)15 巻 4 号 脳卒中の治療──一次予防と二次予防について── 頭痛診療の進歩(論説) 20 巻 2 号 神経疾患の治療と quality of life(QOL)神経疾患の治療の進歩(1997 年) 20 巻 3 号 第 21 回日本神経治療学会総会抄録集15 巻 5 号 第 16 回総会特集(1) 20 巻 4 号 神経疾患治療の変遷と将来展望(論説)15 巻 6 号 第 16 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2002 年)16 巻 1 号 医療における分化と統合──「神経治療学とEBM」 20 巻 5 号 21 世紀の神経疾患治療の展望(論説)特集に因んで(論説) 神経難病の代表的疾患である筋萎縮性側索硬化症に神経治療学とEvidence?based medicine(EBM) 対する治療への挑戦16 巻 2 号(神経疾患治療薬一覧) 20 巻 6 号 第 21 回総会特集16 巻 3 号 脳血管性痴呆の臨床(論説) 21 巻 1 号 重症筋無力症の病態と治療に関する最近の話題神経治療薬の適応外処方 21 巻 2 号 神経疾患の医療手順(論説)16 巻 4 号 Informed consent と医の倫理(論説) 神経疾患の医療手順神経疾患の治療の進歩 21 巻 3 号 第 22 回日本神経治療学会総会抄録集16 巻 5 号 第 17 回総会特集(1) 21 巻 4 号 神経治療学の更なる発展を目指して(論説)16 巻 6 号 第 17 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2003 年)17 巻 1 号(原著のみ掲載) 21 巻 5 号 神経治療研究の将来展望(論説)17 巻 2 号 神経学関連の遺伝子治療(論説) ミオパチーの病態と治療に関する最近の話題脳血管障害の抗血栓療法 21 巻 6 号 第 22 回総会特集17 巻 3 号 免疫と遺伝子からのレセプター病概説(論説) 22 巻 1 号 神経疾患治療薬一覧抗てんかん薬 anti?epileptic drugs(AED) 22 巻 2 号 医療制度の変革と神経治療学(論説)17 巻 4 号 ヘルペス脳炎の診療(論説) 脳梗塞の脳保護医療と再生神経疾患治療の進歩(1999 年) 22 巻 3 号 第 23 回日本神経治療学会総会抄録集17 巻 5 号 第 18 回総会特集(1) 22 巻 4 号 神経内科学と神経治療学の広報活動の重要性(論説)17 巻 6 号 第 18 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2004 年)18 巻 1 号 動の Neurology の必要性と Evidence?based Neu- 22 巻 5 号 新しい時代のてんかんを考える(論説)rology(論説) 医療制度の変革と神経疾患慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)に 22 巻 6 号 第 23 回総会特集対するγ?globulin 大量療法 23 巻 1 号 神経治療の未来 ─ 再生医療 ─(論説)18 巻 2 号 パーキンソニズムを中心とする変性疾患の概念(論 RNA干渉による神経疾患の治療の可能性について説) 23 巻 2 号 脳梗塞急性期治療の breakthrough(論説)自律神経疾患の最近の治療 23 巻 3 号 第 24 回日本神経治療学会総会抄録集18 巻 3 号 ブロック療法─不随意運動,痙縮,疼痛の治療の現 23 巻 4 号 日本神経治療学会の独自性と融和(論説)状と今後 神経疾患治療の進歩(2005 年)18 巻 4 号 医療,とくに神経病の治療との関連性から見た介助 23 巻 5 号 Transient ischemic attack(TIA)の新しい定義(論犬(論説) 説)神経疾患治療の進歩(2000 年) 経頭蓋磁気刺激療法 ─ 脳刺激が神経・精神疾患の治18 巻 5/6 合併号 療法として有用か ─第 19 回総会特集 23 巻 6 号 第 24 回総会特集19 巻 1 号 筋萎縮性側索硬化症治療への動向(論説) 24 巻 1 号 日本神経治療学会の 25年の歩みと今後の課題(論説)神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)705超急性期脳梗塞における t?PA 静注療法 28 巻 1 号 第 28 回総会特集(2)24 巻 2 号 認知症治療における増大する神経内科医の役割(論 28 巻 2 号 前頭筋収縮の左右差(論説)説) 末梢神経障害の治療の進歩Alzheimer 病治療の進歩 標準的神経治療:めまい24 巻 3 号 第 25 回日本神経治療学会総会抄録集 28 巻 3 号 てんかん診療と本学会の果たすべき役割(論説)24 巻 4 号 神経変性疾患の病態抑止療法への展望 脳卒中のトータルケア─発症予防から地域連携パス─治療研究のパラダイムシフト─(論説) まで─神経疾患治療の進歩(2006 年) 標準的神経治療:本態性振戦24 巻 5 号 めざすべき神経内科治療(論説) 28 巻 4 号 脳梗塞治療の新展開(論説)Parkinson 病治療に関する最近の話題 神経疾患治療の進歩 2010 年24 巻 6 号 第 25 回総会特集 28 巻 5 号 第 29 回日本神経治療学会総会抄録集25 巻 1 号 神経疾患のステロイド治療(論説) 28 巻 6 号 超急性期脳梗塞の予後改善には Pre-hospital Stroke 神経変性疾患の病態抑止治療(分子標的治療)への Care へのインセンティブが必要─逆転の発想で,救展望 急隊へフィードバック実施病院に加算を─(論説)標準的神経治療:手根管症候群 認知症:最新治療とトピック25 巻 2 号 医療崩壊解決の処方箋=瀕死状態の医療の治療法は 29 巻 1 号 神経疾患新規治療薬のこれから(論説)あるか?(論説) 免疫性神経疾患の治療:標準的治療とトピックス標準的神経治療:ベル麻痺 標準的神経治療:Restless legs 症候群25 巻 3 号 第 26 回日本神経治療学会総会抄録集 29 巻 2 号 第 29 回総会特集(1)25 巻 4 号 水と水チャネル(論説) 29 巻 3 号 第 29 回総会特集(2)神経疾患治療の進歩(2007 年) 29 巻 4 号 免疫性神経疾患の治療ガイドライン作成において考標準的神経治療:片側顔面痙攣 えたこと(論説)25 巻 5 号 日本における臨床研究の現状と問題点(論説) 神経疾患治療の進歩 2011 年脳梗塞治療の現状と展望 標準的神経治療:高齢発症てんかん25 巻 6 号 第 26 回総会特集 29 巻 5 号 第 30 回日本神経治療学会総会抄録集26 巻 1 号 医療保険委員会(論説) 29 巻 6 号 自律神経学の臨床への応用─神経治療の普遍化に対脳炎・脳症をめぐる話題と治療 する本学会への期待─(論説)26 巻 2 号 神経内科医は何を診てそして何を治療してゆくのか コミュニティにおける神経治療(論説) 30 巻 1 号 これからの多発性硬化症診療 30年(論説)片頭痛治療の進歩 末梢・中枢神経疾患の自律神経障害に対する治療26 巻 3 号 第 27 回日本神経治療学会総会抄録集 30 巻 2 号 第 30 回総会特集(1)26 巻 4 号 医療における神経内科の課題,その他(論説) 標準的神経治療:重症神経難病の呼吸管理・リハビ神経疾患治療の進歩 リテーション26 巻 5 号 神経学の新しいパースペクティブ(論説) 30 巻 3 号 第 30 回総会特集(2)神経心理学的治療 30 巻 4 号 臨床神経学における専門医制度(論説)26 巻 6 号 第 27 回総会特集 神経疾患治療の進歩 2012 年神経治療研究の将来展望─Part 2(論説) 標準的神経治療:ボツリヌス治療27 巻 1 号 多系統萎縮症の治療と療養指導 30 巻 5 号 第 31 回日本神経治療学会総会抄録集標準的神経治療:三叉神経痛 30 巻 6 号 女性と神経疾患治療(論説)27 巻 2 号 頭痛研究の進歩(論説) 中枢神経疾患の早期治療:その意義と課題神経疾患に伴う睡眠障害の治療 標準的神経治療:視神経脊髄炎標準的神経治療:高齢発症重症筋無力症 31 巻 1 号 新規治療の症例報告をしよう(論説)27 巻 3 号 第 28 回日本神経治療学会総会抄録集 中枢神経系感染症と周辺疾患の治療動向27 巻 4 号 学会誌の発展を期待して(論説) 31 巻 2 号 第 31 回総会特集(1)神経疾患治療の進歩 2009 年 31 巻 3 号 第 31 回総会特集(2)標準的神経治療:慢性疼痛 31 巻 4 号 細菌性髄膜炎診療ガイドライン 2014 の作成(論説)27 巻 5 号 我が国の創薬研究─医学・薬学の融合的研究の必要 神経疾患治療の進歩 2013 年性─(論説) 標準的神経治療:神経疾患に伴う嚥下障害頸動脈病変の治療,予防 31 巻 5 号 第 32 回日本神経治療学会総会抄録集27 巻 6 号 第 28 回総会特集(1) 31 巻 6 号 今,求められている神経変性疾患の臨床診断基準の神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)706在り方(論説) 標準的神経治療:結核性髄膜炎ニューロリハビリテーションの新たな展開:脳血管 32 巻 5 号 第 33 回日本神経治療学会総会抄録集障害からの機能回復 32 巻 6 号 免疫性ニューロパチーの治療:問題点と将来展望 32 巻 1 号 片頭痛,群発頭痛と自律神経(論説) (論説)日本におけるParkinson 病治療の歴史と将来展望 認知症の予防と早期介入:その危険因子と防御因子32 巻 2 号 第 32 回総会特集(1) 33 巻 1 号 自己免疫性脳症の診断・病態・治療32 巻 3 号 第 32 回総会特集(2) 33 巻 2 号 第 33 回総会特集(1)32 巻 4 号 Parkinson 病の遺伝子治療:これからの展開(論説) 33 巻 3 号 第 33 回総会特集(2)神経疾患治療の進歩 2014 年 33 巻 5 号 第 34 回日本神経治療学会総会抄録号神経治療 Vol. 33 No. 6(2016)707
〈神経治療学〉特集テーマ一覧 Vol. 33
                   
                   
                    (2016)
                   
                   
                    No. 4
https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jsnt&noVol=33&noIssue=4&kijiCd=33_610&screenID=AF06S010 〈神経治療学〉特集テーマ一覧〔1 巻 1 号〜 8 巻 6 号「神経内科治療」〕 2 号 放射線脊髄症と脳症(radiation?myelopathy and 1 巻 1 号 1 錐体外路系疾患の治療と対策 encephalopathy)の治療と予防2 神経系感染症の内科的治療 3 号 神経疾患治療効果の判定2 号 1 免疫性神経疾患の治療─最近の経験を中心に 4 号 腫瘍関連神経症候群 paraneoplastic neurological 2 てんかんの治療 syndrome の治療2 巻 1 号 1 パーキンソン病の新しい治療の開発(総説) 5 号 第 10 回総会特集(1)2 神経因性膀胱の最近の治療(総説) 6 号 第 10 回総会特集(2)2 号 意識障害の病態と治療T 10 巻 1 号 神経疾患における精神症状とその対策3 号 意識障害の病態と治療U 2 号 神経疾患における薬物臨床試験4 号 末梢神経障害の治療 ─その科学性と倫理性─3 巻 1 号 頭痛の予防と治療T 3 号 変性性神経筋疾患治療の展望2 号 頭痛の予防と治療U 4 号 慢性神経疾患の在宅療法3 号 自律神経障害の治療 5 号 救命救急医療と神経疾患4 号 筋萎縮性側索硬化症の治療とその問題点 6 号 第 11 回総会特集4 巻 1 号 虚血性脳血管障害の治療T 11 巻 1 号 脳腫瘍の外科的治療2 号 虚血性脳血管障害の治療U 2 号 脊髄腫瘍の治療3 号 アルコール性神経障害とその治療 3 号 新しい抗パーキンソン病薬4 号 薬物の神経副作用とその対策 4 号 不随意運動症の最近の治療5 巻 1 号 不随意運動の治療と対策 5 号 第 12 回総会特集(1)2 号 頭蓋内出血の治療と対策 6 号 第 12 回総会特集(2)3 号 ミオパチーの治療 12 巻 1 号 脳血管障害 最近の治療(1)4 号 第 6回学術集会特集 2 号(神経疾患治療薬一覧)不随意運動,その病態と薬物治療(シンポジウム) 3 号 脳血管障害 最近の治療(2)6 巻 1 号 痴呆と対策 4 号 機能性頭痛2 号 (神経内科治療薬一覧) 5 号 第 13 回総会特集(1)3 号 髄膜炎・脳炎の治療の選択と進め方 6 号 第 13 回総会特集(2)4 号 薬物副作用としての神経障害T 13 巻 1 号 Guillain?Barr? 症候群の診断基準5 号 薬物副作用としての神経障害U ─原典への復帰─(論説)6 号 第 7回学術集会特集 2 号 神経疾患治療雑考(論説)めまいの治療(シンポジウム) 症候性頭痛7 巻 1 号 薬物副作用としての神経障害V 3 号 パーキンソン病における挺舌の障害から2 号 (神経内科治療薬一覧) ─ midline neurology ─(論説)3 号 痛みの治療とその適応 多系統萎縮症の治療計画4 号 リハビリテーション 4 号 論文の書き方で運命が変わる5 号 免疫性神経疾患に対する血液浄化療法 ─ ISAACS症候群を中心に─(論説)6 号 第 8回学術集会特集 神経疾患治療の進歩と薬剤による神経系神経・筋疾患:新しい治療の展望(シンポジウム) 副作用の概観(1995 年)8 巻 1 号 睡眠障害とその治療 5 号 第 14 回総会特集(1)2 号 (神経内科治療薬一覧) 6 号 第 14 回総会特集(2)3 号 頚髄・頚椎疾患の治療 14 巻 1 号 ヒトの脳重・体重と極限寿命(論説)4 号 神経疾患の最近の経過と予後T ボツリヌス治療5 号 神経疾患の最近の経過と予後U 14 巻 2 号 Ceteris Paribus から二重盲検法まで6 号 第 9回学術集会特集 ─歴史的考察─(論説)難治性神経・筋疾患の治療 政策医療としての神経・筋疾患の治療・療養─最近のトピックスから─(シンポジウム) 14 巻 3 号 重症筋無力症─症候,予後,QOL─今昔─(論説)〔9 巻 1 号〜「神経治療学」と改題〕 言語障害 失語と構音障害の治療9 巻 1 号 神経疾患の最近の経過と予後V 14 巻 4 号 Levodopa 時代のパーキンソン病の予後(論説)神経治療 Vol. 33 No. 4(2016)610神経疾患の治療の進歩(1996 年) Parkinson 病の治療14 巻 5 号 第 15 回総会特集(1) 19 巻 2 号 画像診断の進歩と脳血管障害の診断(論説)14 巻 6 号 第 15 回総会特集(2) Neurological Intensive Care15 巻 1 号 客観的薬効評価の問題点─ Guillain─Barr? 症候 19 巻 3 号 第 20 回日本神経治療学会総会抄録集群の大量免疫グロブリン療法を行うに当たって─ 19 巻 4 号 神経疾患治療の進歩(2001 年)(論説) 19 巻 5 号 Evidence?based medicine(EBM)と治療ガイド 15 巻 2 号 ルー・ゲーリック病のケア(論説) ライン(論説)神経疾患に伴う睡眠障害の治療 神経治療に関する最近の問題と対策15 巻 3 号『七新薬』と司馬凌海─西欧式薬物治療日本への導 19 巻 6 号 第 20 回総会特集入事始め──(論説) 20 巻 1 号 人為的原因による神経疾患の予防と対策:感染性神経疾患に対する新しい免疫的治療の試み Creutzfeldt?Jakob 病から学ぶもの(論説)15 巻 4 号 脳卒中の治療──一次予防と二次予防について── 頭痛診療の進歩(論説) 20 巻 2 号 神経疾患の治療と quality of life(QOL)神経疾患の治療の進歩(1997 年) 20 巻 3 号 第 21 回日本神経治療学会総会抄録集15 巻 5 号 第 16 回総会特集(1) 20 巻 4 号 神経疾患治療の変遷と将来展望(論説)15 巻 6 号 第 16 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2002 年)16 巻 1 号 医療における分化と統合──「神経治療学とEBM」 20 巻 5 号 21 世紀の神経疾患治療の展望(論説)特集に因んで(論説) 神経難病の代表的疾患である筋萎縮性側索硬化症に神経治療学とEvidence?based medicine(EBM) 対する治療への挑戦16 巻 2 号(神経疾患治療薬一覧) 20 巻 6 号 第 21 回総会特集16 巻 3 号 脳血管性痴呆の臨床(論説) 21 巻 1 号 重症筋無力症の病態と治療に関する最近の話題神経治療薬の適応外処方 21 巻 2 号 神経疾患の医療手順(論説)16 巻 4 号 Informed consent と医の倫理(論説) 神経疾患の医療手順神経疾患の治療の進歩 21 巻 3 号 第 22 回日本神経治療学会総会抄録集16 巻 5 号 第 17 回総会特集(1) 21 巻 4 号 神経治療学の更なる発展を目指して(論説)16 巻 6 号 第 17 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2003 年)17 巻 1 号(原著のみ掲載) 21 巻 5 号 神経治療研究の将来展望(論説)17 巻 2 号 神経学関連の遺伝子治療(論説) ミオパチーの病態と治療に関する最近の話題脳血管障害の抗血栓療法 21 巻 6 号 第 22 回総会特集17 巻 3 号 免疫と遺伝子からのレセプター病概説(論説) 22 巻 1 号 神経疾患治療薬一覧抗てんかん薬 anti?epileptic drugs(AED) 22 巻 2 号 医療制度の変革と神経治療学(論説)17 巻 4 号 ヘルペス脳炎の診療(論説) 脳梗塞の脳保護医療と再生神経疾患治療の進歩(1999 年) 22 巻 3 号 第 23 回日本神経治療学会総会抄録集17 巻 5 号 第 18 回総会特集(1) 22 巻 4 号 神経内科学と神経治療学の広報活動の重要性(論説)17 巻 6 号 第 18 回総会特集(2) 神経疾患治療の進歩(2004 年)18 巻 1 号 動の Neurology の必要性と Evidence?based Neu- 22 巻 5 号 新しい時代のてんかんを考える(論説)rology(論説) 医療制度の変革と神経疾患慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)に 22 巻 6 号 第 23 回総会特集対するγ?globulin 大量療法 23 巻 1 号 神経治療の未来 ─ 再生医療 ─(論説)18 巻 2 号 パーキンソニズムを中心とする変性疾患の概念(論 RNA干渉による神経疾患の治療の可能性について説) 23 巻 2 号 脳梗塞急性期治療の breakthrough(論説)自律神経疾患の最近の治療 23 巻 3 号 第 24 回日本神経治療学会総会抄録集18 巻 3 号 ブロック療法─不随意運動,痙縮,疼痛の治療の現 23 巻 4 号 日本神経治療学会の独自性と融和(論説)状と今後 神経疾患治療の進歩(2005 年)18 巻 4 号 医療,とくに神経病の治療との関連性から見た介助 23 巻 5 号 Transient ischemic attack(TIA)の新しい定義(論犬(論説) 説)神経疾患治療の進歩(2000 年) 経頭蓋磁気刺激療法 ─ 脳刺激が神経・精神疾患の治18 巻 5/6 合併号 療法として有用か ─第 19 回総会特集 23 巻 6 号 第 24 回総会特集19 巻 1 号 筋萎縮性側索硬化症治療への動向(論説) 24 巻 1 号 日本神経治療学会の 25年の歩みと今後の課題(論説)神経治療 Vol. 33 No. 4(2016)611超急性期脳梗塞における t?PA 静注療法 28 巻 1 号 第 28 回総会特集(2)24 巻 2 号 認知症治療における増大する神経内科医の役割(論 28 巻 2 号 前頭筋収縮の左右差(論説)説) 末梢神経障害の治療の進歩Alzheimer 病治療の進歩 標準的神経治療:めまい24 巻 3 号 第 25 回日本神経治療学会総会抄録集 28 巻 3 号 てんかん診療と本学会の果たすべき役割(論説)24 巻 4 号 神経変性疾患の病態抑止療法への展望 脳卒中のトータルケア─発症予防から地域連携パス─治療研究のパラダイムシフト─(論説) まで─神経疾患治療の進歩(2006 年) 標準的神経治療:本態性振戦24 巻 5 号 めざすべき神経内科治療(論説) 28 巻 4 号 脳梗塞治療の新展開(論説)Parkinson 病治療に関する最近の話題 神経疾患治療の進歩 2010 年24 巻 6 号 第 25 回総会特集 28 巻 5 号 第 29 回日本神経治療学会総会抄録集25 巻 1 号 神経疾患のステロイド治療(論説) 28 巻 6 号 超急性期脳梗塞の予後改善には Pre-hospital Stroke 神経変性疾患の病態抑止治療(分子標的治療)への Care へのインセンティブが必要─逆転の発想で,救展望 急隊へフィードバック実施病院に加算を─(論説)標準的神経治療:手根管症候群 認知症:最新治療とトピック25 巻 2 号 医療崩壊解決の処方箋=瀕死状態の医療の治療法は 29 巻 1 号 神経疾患新規治療薬のこれから(論説)あるか?(論説) 免疫性神経疾患の治療:標準的治療とトピックス標準的神経治療:ベル麻痺 標準的神経治療:Restless legs 症候群25 巻 3 号 第 26 回日本神経治療学会総会抄録集 29 巻 2 号 第 29 回総会特集(1)25 巻 4 号 水と水チャネル(論説) 29 巻 3 号 第 29 回総会特集(2)神経疾患治療の進歩(2007 年) 29 巻 4 号 免疫性神経疾患の治療ガイドライン作成において考標準的神経治療:片側顔面痙攣 えたこと(論説)25 巻 5 号 日本における臨床研究の現状と問題点(論説) 神経疾患治療の進歩 2011 年脳梗塞治療の現状と展望 標準的神経治療:高齢発症てんかん25 巻 6 号 第 26 回総会特集 29 巻 5 号 第 30 回日本神経治療学会総会抄録集26 巻 1 号 医療保険委員会(論説) 29 巻 6 号 自律神経学の臨床への応用─神経治療の普遍化に対脳炎・脳症をめぐる話題と治療 する本学会への期待─(論説)26 巻 2 号 神経内科医は何を診てそして何を治療してゆくのか コミュニティにおける神経治療(論説) 30 巻 1 号 これからの多発性硬化症診療 30年(論説)片頭痛治療の進歩 末梢・中枢神経疾患の自律神経障害に対する治療26 巻 3 号 第 27 回日本神経治療学会総会抄録集 30 巻 2 号 第 30 回総会特集(1)26 巻 4 号 医療における神経内科の課題,その他(論説) 標準的神経治療:重症神経難病の呼吸管理・リハビ神経疾患治療の進歩 リテーション26 巻 5 号 神経学の新しいパースペクティブ(論説) 30 巻 3 号 第 30 回総会特集(2)神経心理学的治療 30 巻 4 号 臨床神経学における専門医制度(論説)26 巻 6 号 第 27 回総会特集 神経疾患治療の進歩 2012 年神経治療研究の将来展望─Part 2(論説) 標準的神経治療:ボツリヌス治療27 巻 1 号 多系統萎縮症の治療と療養指導 30 巻 5 号 第 31 回日本神経治療学会総会抄録集標準的神経治療:三叉神経痛 30 巻 6 号 女性と神経疾患治療(論説)27 巻 2 号 頭痛研究の進歩(論説) 中枢神経疾患の早期治療:その意義と課題神経疾患に伴う睡眠障害の治療 標準的神経治療:視神経脊髄炎標準的神経治療:高齢発症重症筋無力症 31 巻 1 号 新規治療の症例報告をしよう(論説)27 巻 3 号 第 28 回日本神経治療学会総会抄録集 中枢神経系感染症と周辺疾患の治療動向27 巻 4 号 学会誌の発展を期待して(論説) 31 巻 2 号 第 31 回総会特集(1)神経疾患治療の進歩 2009 年 31 巻 3 号 第 31 回総会特集(2)標準的神経治療:慢性疼痛 31 巻 4 号 細菌性髄膜炎診療ガイドライン 2014 の作成(論説)27 巻 5 号 我が国の創薬研究─医学・薬学の融合的研究の必要 神経疾患治療の進歩 2013 年性─(論説) 標準的神経治療:神経疾患に伴う嚥下障害頸動脈病変の治療,予防 31 巻 5 号 第 32 回日本神経治療学会総会抄録集27 巻 6 号 第 28 回総会特集(1) 31 巻 6 号 今,求められている神経変性疾患の臨床診断基準の神経治療 Vol. 33 No. 4(2016)612在り方(論説) 標準的神経治療:結核性髄膜炎ニューロリハビリテーションの新たな展開:脳血管 32 巻 5 号 第 33 回日本神経治療学会総会抄録集障害からの機能回復 32 巻 6 号 免疫性ニューロパチーの治療:問題点と将来展望 32 巻 1 号 片頭痛,群発頭痛と自律神経(論説) (論説)日本におけるParkinson 病治療の歴史と将来展望 認知症の予防と早期介入:その危険因子と防御因子32 巻 2 号 第 32 回総会特集(1) 33 巻 1 号 自己免疫性脳症の診断・病態・治療32 巻 3 号 第 32 回総会特集(2) 33 巻 2 号 第33回総会特集(1)32 巻 4 号 Parkinson 病の遺伝子治療:これからの展開(論説) 33 巻 3 号 第33回総会特集(2)神経疾患治療の進歩 2014 年神経治療 Vol. 33 No. 4(2016)613